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光と影が交わる一点  作者: 柳瀬 鯨
王の歩み
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第五九話 届かぬ氷刃

影の大軍が押し寄せる。


黒い津波。


森が飲まれ、地面が沈む。


レオンは、前に出た。


「団長!」


副官の声。


「総員、防衛線維持」


短い命令。


そして。


一歩。


踏み込んだ瞬間。


地面が白く染まる。


自然氷が奔る。


影兵の前列が、次々に足を取られ、凍結。


レオンは止まらない。


斬る。


首が飛ぶ。


影が霧散する。


無拍。


影騎士の胴が、白く凍る。


砕く。


黒い破片が散る。


速い。


正確。


圧倒的。


だが。


数が、違う。


影兵が三方向から迫る。


槍、斧、牙。


レオンが踏み込む。


一閃。


氷の軌跡が円を描く。


影が十体、崩れる。


背後。


蒼い閃光。


ミレイア。


影槍騎士。


突き。


喉を狙う超速。


レオンが剣で逸らす。


だが、衝撃が重い。


以前よりも、強い。


「進化しているか」


低く呟く。


右から、黒炎。


サラフィナ。


影炎が爆ぜる。


森が焦げる。


レオンが自然氷で熱を逃がす。


だが完全には止められない。


鎧が焦げる。


皮膚が焼ける。


正面。


影虚の残滓のような吸収型。


黒い紋様が展開。


無拍。


凍らない。


吸われる。


「……」


理解する。


これは。


一対一ではない。


影兵が一斉に飛びかかる。


レオンが回転斬撃。


十数体が崩れる。


だが。


背中に衝撃。


牙が食い込む。


振り払う。


蹴り飛ばす。


血が散る。


視界の端。


ユウが立っている。


動かない。


ただ、見ている。


「どうした?」


声が届く。


遠いのに、近い。


レオンが吠える。


踏み込む。


一直線。


ユウへ。


影兵が群がる。


斬る。


凍らせる。


砕く。


進む。


十歩。


二十歩。


だが。


影が、壁になる。


ミレイアの槍が、太腿を貫く。


サラフィナの黒炎が、肩を焼く。


吸収紋様が、氷を奪う。


レオンは止まらない。


無拍。


連続凍結。


影の群れが崩れる。


だが。


体温が落ちる。


呼吸が荒い。


視界が赤い。


ようやく。


ユウの前。


数歩。


ユウが、大鎌を下ろす。


「来たな」


レオンが踏み込む。


全力の斬撃。


ユウが、片手で受ける。


ガギィィン!!


衝撃波。


地面が裂ける。


森が揺れる。


レオンの腕が痺れる。


重い。


「悪くない」


ユウが言う。


次の瞬間。


消える。


背後。


大鎌が振られる。


レオンが振り返る。


間に合わない。


斬撃。


鎧が裂ける。


血が噴く。


吹き飛ぶ。


地面を転がる。


木をへし折り、止まる。


立つ。


ふらつきながら。


「……まだだ」


無拍。


ユウの足元を凍らせる。


凍らない。


影が、溶かす。


ユウが踏み込む。


速い。


レオンの視界から消える。


腹に衝撃。


大鎌の柄。


内臓が揺れる。


膝をつく。


ユウが見下ろす。


「楽しかったぞ」


レオンが睨む。


まだ、折れていない。


全身全霊。


最後の無拍。


ユウの胸元。


凍結。


一瞬。


白が走る。


ユウが、目を細める。


「惜しい」


次の瞬間。


影が爆ぜる。


凍結が砕ける。


大鎌が振り下ろされる。


レオンの剣が弾き飛ばされる。


喉元に、刃。


動けない。


周囲は、影。


味方は遠い。


アレンが叫んでいる。


リアナの光が届こうとしている。


だが、間に合わない。


ユウが、静かに言う。


「お前は強い」


「でも」


刃が、わずかに食い込む。


血が流れる。


「まだ、足りない」


衝撃。


レオンの意識が、暗転する。


倒れる。


氷の王。


影の大軍が、吠える。


森が、完全に黒に染まる。


そして。


ユウは振り返る。

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