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光と影が交わる一点  作者: 柳瀬 鯨
第一章 王の誕生
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第三十一話 影に差す薄光

森を抜け、山を越え、幾つもの村や町を巡った。

アレンはユウの手がかりを求め、リアナはその側で支え続けた。

雨に打たれ、風にさらされ、夜には野営で焚火の前に座り込む日々。

二人の距離はより深く、互いの心の痛みも分かるようになった。

「ユウ様の痕跡、まったく掴めませんね……」

リアナが落胆したように言う。

「それでも……必ず見つける。俺たちは、もう後戻りできないんだ」

アレンの声には決意と覚悟がこもっていた。

ある晩、雪が舞う山間の小村で、古びた旅人宿に泊まった二人。

暖炉の炎の前で、老人の宿主が静かに口を開く。

「……影の魔物を操る者を見かけた者がおる。

 森の奥深くの遺跡で、黒き竜や骸骨を従えて歩く影の青年をな」

アレンの胸が跳ねる。

「ユウだ!。間違いない」

リアナも、目を見開く。

その瞬間、胸の奥で熱い力が渦巻くのを感じた。

翌朝、雪解けの光が二人を包む中、リアナは突然、ひざまずいた。

「アレン様……私、感じます……」

アレンの光に長期間当てられ、内に眠っていた神聖な力が覚醒し、雪や光を通じて周囲の空気を震わせた。

彼女の手から眩い光が放たれ、枯れ木や凍った地面を鮮やかに照らす。

「私……聖女……?」

リアナの声は震えず、力強く、自信に満ちていた。

これまで旅の中で抱えていた弱さや不安が、光の力に変換された瞬間だった。

アレンは驚きながらも微笑む。

「リアナ……君は、本当に……」

「私も、ユウ様を救うためにお役に立てます!」

リアナの瞳が、決意の炎に変わる。

夜、焚火の前で二人は語り合う。

「ユウは孤独の中で戦っている。

 俺たちが行かなければ、永遠に取り戻せない」

アレンの手はリアナの肩に置かれた。

「私も一緒に行きます。

 光の力で、ユウ様を導く……」

リアナの手がアレンの手を強く握る。

二人は互いに頷き合い、次の旅路へ向かう決意を固めた。

幾週間もの探索の果て、ようやくユウの痕跡を辿った二人。

深い森の奥、古代遺跡の廃墟。

「ここだ……魔力が異常に濃い」

アレンが口にする。地面や樹木に残る異様な気配が、ユウの存在を告げていた。

リアナは瞳を輝かせる。

その胸に、聖女として覚醒した力が微かに疼く。

「アレン様……ユウ様はここにいる。絶対に!」

二人は手を取り合い、足早に遺跡の奥へ進む。

カチッ……

いやな予感がする。

いやな予感は的中する。リアナは転移トラップを踏んでいた。

「……ッツ……」

言葉を発する前にリアナは目の前が真っ暗になった。

(どれくらい気を失っていたのでしょうか)

暗い部屋で目を覚まし目が慣れてきたとき一つの足音が聞こえた。

通路の角から顔を出したのはユウだった。以前よりずっと濃い闇を目に宿している。

気にもとめず、立ち去ろうとするユウをリアナは正面に立ち塞がるように止めた。

「もう一人で背負わないでください」

聖女としての力が、黒い影に一筋の光を差し込む。

ユウはその光を一瞬警戒するが、深い闇の奥で静かに心を揺らす。

「……俺は……」

影の鎌が震え、影獣たちが周囲でざわめく。

その時----------

「ここにいたか、異端の影使いめ!」

白銀の鎧を纏った聖騎士たちだ。

教会直属、影魔法を禁忌とする精鋭たち。

ユウの瞳が鋭く光る。

「……また、お前らか」

影が一気に膨れ上がり、鎌を構える。

聖騎士たちは迫力ある隊列で影の領域に踏み込み、刃を光らせる。

「影の魔法を使う者は、この世から消すのみ!」

ユウは咆哮と共に影獣を飛ばし、迷宮を揺らす。

影竜のような巨体が数体、聖騎士たちを押し返すが、精鋭の槍と剣の嵐に苦戦する。

リアナはその隙間を縫い、光の結界で自身を守る。

光が影を断ち、魔力を制御して聖騎士たちが攻撃を抑える。

「ユウ様! 後ろを気にせず、私たちと共に!」

リアナの声に、ユウはほんの一瞬だけ目を細めた。

ユウとリアナは迷宮の奥深く、孤立していた。

聖騎士たちの圧力は増し、森の木々が砕け、枝が飛ぶ。

その時、聖騎士たちが古代の印を描き、呪文を唱え始める。

「異端の影を封じるため、迷宮を糧とし神獣よ顕現せよ!」

突如、地面が激しく震え迷宮が崩れる、森の中に渦巻く黒煙の中から異形が現れた。


•巨大な四肢と翼

•鎧のような外皮

•眩しい光のオーラをまとい、森の生態系すらねじ曲げる力

「――また神獣……!」

ユウは咄嗟に影獣を飛ばすが、その圧倒的な力に影獣たちも押される。

魔獣の咆哮が森を震わせ、倒木や土砂が飛び散る。

リアナは少し離れた場所で、光の結界に包まれている。

光の盾が絶え間なく禁忌魔獣の魔力を遮断し、直撃を防いでいる。

「ユウ様……頑張ってください!」

叫ぶものの、彼女は直接攻撃できない。守ることしかできない立場に歯がゆさを感じる。

巨大魔獣の一撃で森の一部が崩壊し、地形が変わる。

リアナのいる場所は、隆起し山のようになっていた。

影獣が次々と吹き飛ばされ、ユウは全力で立ち向かうしかない。


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