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第十七話 教会視点・影を見た者たち
聖堂会議最奥。
白磁の床に、重々しい沈黙が落ちていた。
「……あの少年が影魔法を使ったのは確かだな?」
「はい。あれは魔族のみが扱う禁忌そのもの。影喰らい……」
報告官の声は震えていた。
影魔法は教会にとって“絶対悪”であり、魔王出現の兆しとすらされる。それを人間が使った。
それだけで教会勢力は揺らぐ。
大司教は杖を握り締めたまま、静かに息を吐く。
「排除するしかあるまい。
あの力を放置すれば、すべてが影に呑まれる。」
教会は影魔法を最も危険な異端として宣言した。
そして精鋭の聖騎士団が密かに派遣される。
――その日の深夜。
黒い霧が立ち籠めた。
「な……に、これ……闇が……」
聖騎士たちの松明は、一つ、また一つと吸い込まれるように消えた。
影が生き物のようにうねり、武具を、鎧を、そして肉体をなぞっていく。
次の瞬間。聖騎士数名の息が絶えた。
そしてその影が地面から一斉に立ち上がった。
“影兵”
ユウの力によって生まれた兵士たち。
悲鳴は、出なかった。
気づけば闇の道は塞がれ、聖騎士団は跡形もなく影の深淵へと沈んでいた。
残ったのは、影に刻まれた形だけ――
恐怖が最後に残された証。
大司教はそれを見て、震えながらつぶやいた。
「……あれはもう、人間ではない。影の支配者だ……」
ユウが手を出すまでもなく教会は壊滅状態に陥った。




