表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
光と影が交わる一点  作者: 柳瀬 鯨
第一章 王の誕生
12/43

十二話 光と闇の部隊

 数日後。

初仕事を終え、戦場から王都へ戻ったユウとアラン。

 兵士たちの間ではすでに二人の活躍は伝説じみた噂として広がっており、王城に戻る道すがらまで兵士の視線が集まり続けた。

「アレン様だ……! 本当に光で補給隊を丸ごと沈黙させたって……」

「ユウ様は影で砦を堕としたって話だぞ……!」

「影魔法、便利だな」

 二人はどちらも、軽く肩を竦める。

 ユウは「ちょっと恥ずかしかった……」とまだ反省しているし、

 アレンは「いや、影より光の方が実質的に便利だろ」などと密かにライバル心を燃やしていた。

___王城「謁見の間」___

 巨大な柱がそびえ、壁には王国の紋章が燦然と輝く。

 国王バルムント三世が玉座に座り、ユウとアランを真正面から見据えた。

「よくぞ戻った。これぞ王国の若き牙――期待以上の働きであった」

 国王の声は穏やかだが、底に鋼を含んだような重みがある。

「ユウ。お前は影を自在に操り、敵の士気を根こそぎ奪った」

「アレン。お前は光を戦術に昇華し、小規模部隊で補給網を壊滅させた」

 その瞳に宿る評価は高い。

「よって、両名には予言に従い、部隊を預ける。名も授けよう」

 国王は立ち上がり、大臣が手元の黒金の書板を開いた。

「ユウ。お前には“影”という唯一無二の力がある。

 その恐怖は敵にとって終わりの合図……まるで夜の帳が戦場を覆うかのようだ」

 王が杖をコツ、コツ、と床に当てる。

「今日より、お前の部隊は――」玉座の間の空気が冷えたように感じた。

夜帷やとば軍』

「影が戦場を覆う“夜の帳”の名。その名の下、好きに動け、ユウ」

 ユウは胸に手を当て、深く頭を下げる。

「……ありがとうございます。重い名前ですが、必ず応えてみせます」

(ちょっと厨二っぽい……いや、でもカッコいいな……)

 密かに嬉しそうにしているのをアレンはしっかり見ていた。

 国王は次にアレンへと視線を向けた。

「アレン。お前の光は戦場を照らし、道を切り開く。

 兵はその背中を見て進む――まるで暁を告げる太陽のようだ」

 王が手をかざすと、白金の羽根飾りが運ばれてきた。

「アレン。お前の部隊名は――」

晨輝しんき団』

「“明け方の光”という意味だ。お前の魔法は、兵士にとって夜明けの希望となるだろう」

 アレンは跪き、王へ敬意を示す。

「名に恥じぬ戦果を示してみせます、陛下」

(ユウの“夜帷”と対になるじゃん……ちょっと嬉しい)

謁見が終わった後、廊下で二人は歩きながら言葉を交わす。

「“夜帷軍”か……お前らしいな」

「“晨輝団”こそアランに似合ってるよ。まぶしいぐらい」

「え? 褒めてる?」

「褒めてるよ」

 二人は軽く笑った。

 夜を覆う影の軍――

 夜明けを告げる光の団――

 互いの名は、まるで最初から対になるように与えられたものだった。

「これで俺たち、正式に軍の指揮官ってわけだ」

「責任も増えたけど……やりがいあるな」

 王城の廊下に朝の光が差し込む。

 影と光、その両方がまっすぐに伸び、未来へ続いていく。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ