魔女の助けにより甲地から乙地に逃れた男が、魔女を助けるために乙地から甲地へと戻る
革命により混乱のさ中にある帝都。
ある遊び人の男が帝都からの脱出を望んだが、厳しい検問が張り巡らされている。手持ちが十分にあれば、賄賂によってそれを通り抜けることもできるのだろうが、今の男にはそれがない。そのため、彼は呪い師の女に帝都脱出を成功報酬で依頼する。
呪い女は魔術によって巧妙に男を隠し、帝都を脱出した。その逃避行の最中、遊び人の男と女呪い師は親交を深める。
たどり着いた某伯爵の領地において、遊び人の男が実は高貴な血筋であることが明るみになる。
彼は此度の脱出を誇りに思ったが、しかしその地の人びとは、呪い師という卑しい身分の女に助けられたことは汚点だとみなした。そしてその事実の隠蔽のために、女呪い師は殺されそうになる。
遊び人の男は、女呪い師を救うために帝都に戻ることを選択する。彼がその地に持っていた財産を投げうち、いくつもの検問を抜け、女呪い師と二人で帝都へと戻った。立場も財産も捨てた男は無一文となったが、帝都にて女呪い師と結ばれる。
この遊び人と女呪い師の話は、革命政権の宣伝工作として広く流布されることになる。貴種の男と魔女。本来ならば触れることすら敵わない階級差の男女が、革命後の世界において結ばれることになるからだ。
人目を嫌う女呪い師にとってはいい迷惑だったが、関所破りの罪を不問としてもらった手前、革命政権への抗議はしなかった。




