第1章完結記念Ⅰ 『Welcome To Our School!~王立学院へようこそ!~』
遅くなってしまい大変申し訳ありません!
***
キーンコーンカーンコーン
始業の合図である赤銅色の鐘の音が高らかに鳴り響く。
生徒たちは皆席に着き、先生の話に熱心に耳を傾ける(一部は寝ていたりするが)。
ここ王立学院はいわゆる"優等生"が集う、現代で言う「超名門進学校」だ。
由緒正しい家柄の貴族だけでなく、一般市民も普通に通える学院であり、人気はとても高い。
今日はそんな王立学院のことをもっと詳しく知っていこう!!
***
王立学院は、王都グランシャの北側の人目の少ない場所にある。なぜなら、王都と言えど現代日本に比べたら治安は良くはない。特に北側の方は、何故かゴロツキやガラの悪い人々が多い。だから、人目の少ない場所で安全に授業を行おうと頑張った結果、この立地なのだ。
‥‥‥‥もっといいところなかったのか。
*・*
王立学院の名物は、何といっても「宝石樹」だ。
その名の通り宝石が成る木‥‥‥‥とかではない。
これは、葉や幹、花などの色が宝石のようにカクカクした形で、さらに輝いて見えるからそう名付けられたんだとか。
さらに、紅葉などはしない代わりに毎年葉や幹、花の配色が全然違う。一昨年は青い葉っぱに緑の幹、赤い花で、去年は黄色い葉っぱに紫の幹、水色の花だった。
果実は基本的には成らないが100年に1度くらいの確率で一つだけ成り、中には世界で一番美しい宝石が入っているとかいないとか。
何とも夢のある木だ。
***
この学院は「王立」であって「国立」でない。つまり、現代ではここは「私立」にあたるのだ。というのも、先々代の王が我が子を溺愛するあまり、元々あった国立学院と対抗するかのように王立学院を建て、子供たちをそこに通わせた。
何でも、「愛くるしい我が子供たちを、どこの誰がいるかもわからない国立学院に入学させるものか!!」と過保護が発動しまくったんだとか。子供たちがこの親の様子をどう見ていたのかはぜひ知りたいものだ。
***
さて、王立学院は編入生や内部進学生のシステムもなく、6学年一貫、現代でいう中高一貫で、コース別にクラスが存在する。
大きく分けて「貴族クラス」、「人民クラス」、「牧師クラス」の三つに分かれ、そこからさらに特待か一般かで分かれる。
*・*
まずは「貴族特待クラス」、別名「エンペアロウ・エチュージョン」。
入試・試験成績が上位の貴族子息・子女のみで編成されるクラスだ。上位貴族だけのクラスではなく、すべては成績で判断されるので、男爵家や子爵家の子息子女も多数在籍している。
授業は、王国の将来を担うために、王国学や領地経営学、外交学等を重点的に勉強する。
この学院はクラスごとに制服のブレザーの色も変わる。エンペアロウ・エチュージョンはエメラルドのような輝く緑色だ。これは、自然豊かなエヴァルノール王国を守り、発展させてほしいという初代校長の願いが込められているのだとか。
*・*
次に「人民特待クラス」、別名「ベソンダープル・エチュージョン」。
エンペアロウ・エチュージョンと同じく、入試・試験成績が上位の人民のみで編成されるクラスだ。尚、どれだけ貧乏でも通えるように無償の奨学金制度も導入されている。
授業は、将来の王国の産業の発展を担うために、王国産業学や商学、経済学等を重点的に勉強する。
ブレザーはサファイアのような深い青色だ。これは、命の母である、王国の要の海を守り、育ててほしいという初代校長の願いが込められているのだとか。
*・*
次に「牧師特待クラス」、別名「アポステラ・エチュージョン」。
エンペアロウ・エチュージョン、ベソンダープル・エチュージョンと同じく、入試・試験成績が上位の者のみがいる。
* ~小解説~エヴァルノール王国だけでなく、様々な国や地域で広く信仰されている宗教、レーピュラル教の教会の神官や牧師になりたいと事前に志願した人民・貴族で編成されている~*
授業は、将来人々の信仰心・道徳心を高め、王国の社会を安定させるために、宗教学や教会学、心理学等を重点的に勉強する。
ブレザーはアキシナイトのような茶色だ。これは、他の生き物の屍である大地を基盤に生活していることを忘れずにいてほしいという初代校長の願いが込められているのだとか。
**
次は一般系クラスに移ろう。
*・*
まずは「貴族一般クラス」、別名「ノブレッサ・ステュテンド」。
特待クラスに選ばれなかった貴族子息・子女のみで編成されるクラスだ。
授業は、人々を支える貴族になるため、領地経営学や事業商学、倫理学等を重点的に勉強する。
ブレザーはバラのような深い赤色だ。これは、貴族は人々の犠牲の上に生きているということを忘れてはならないという、初代教頭の教えが反映されたものなんだとか。
*・*
次に「人民一般クラス」、別名「ペルソネーニ・ステュテンド」。
ノブレッサ・ステュテンドと同じく、特待クラスに選ばれなかった人民のみで編成されるクラスだ。
授業は、立派な社会を構成する人々の一員となるため、社会機構学、秩序学等を重点的に勉強する。
ブレザーは影のような黒色だ。これは、社会の一員として影でも日向でも活躍することを忘れてはならないという初代教頭の教えが反映されたものなんだとか。
*・*
最後に「牧師一般クラス」、別名「パストラー・ステュテンド」。
ノブレッサ・ステュテンド、ペルソネーニ・ステュテンドと同じく、特待クラスに選ばれなかった牧師志願者のみで編成されるクラスだ。
授業は、人々の生活に寄り添って暮らせるようにするため、教会学、話術学等を重点的に勉強する。
ブレザーは雲のような白色だ。これは、雲の上の存在である神と人間をつなぎとめるべきだという初代教頭の教えが反映されたものなんだとか。
***
さて、最後にざっくりと校内構造を紹介しよう。
正門は金の文様が所々あしらわれた白金製で、くぐった先には白石製の城のような見た目の校舎と、色とりどりの花々や噴水がある中庭が見える。
校舎は、屋上も含めた4階建てで、50個以上の教室だけでなく、食堂や図書館、多目的ホール等設備はとても充実している。
中庭はあまり人が多く集まるところではないが、静かな雰囲気が生徒たちに定評がある。
あと、全寮制で二人一部屋で生活し、長期休暇時には申請すれば家に帰ることもできる。
まあ、何とも良い学校!!!!
***
さて、どうだった?
現代日本と比べても結構いいところだよね。
さあ、これを読んでいるみんな、是非王立学院に入学を!!
読了ありがとうございました。
追記:誤字報告ありがとうございました、大変助かりました。