ゴールデン・ウィングス VS 放浪者(ほうろうしゃ)たち
「さあ、登場していただきましょう――狡猾にして鮮やかな大鴉、冬森立秋率いる《ゴールデン・ウィングス》!」
六日を除き、大暑たちの表情は微動だにしない。彼らはすでに自らの立ち位置を決めていたのだ。放浪者たちは高みから新参のチームを見下ろし、とりわけ則保の傲慢な視線は、六日を針の筵に座らせるように居心地悪くさせる。六日は思わず数歩退いたが、長髪の男に前へと押し出される。まるで「怯えるな」と促すかのように。六日とその長髪の男は湿地に立ち、立秋と大暑は森の中に陣取った。
いつの間にか則保と星児の視線が交錯する。星児は恥ずかしそうに顔を背けた。仲間を見捨てたような罪悪感に胸を刺される。そんな彼に雨水が言った。「……所詮はお前の踏み台にすぎない。気にするな。」
「……」
大鐘が鳴り響き、再び彼らは黄金の林檎を目指して駆け出した。
その時――六日の足は、いつの間に仕掛けられた蜘蛛の巣に絡め取られる。則保は林檎よりも六日に執着しているらしく、わざわざ彼女を狙って仕掛けてきた。「おやおや、またあなたと相対するとはね。」
自信に満ちた微笑みを浮かべる則保。六日がグリフォンの力で蜘蛛の巣を蹴り破っても、次の攻撃が矢継ぎ早に繰り出される。覆面の男は六日の身を案じ、全力で援護に回るが、その代償は――煌めく宝石のような黄金の林檎を見失うことだった。
「……ありがとうございます。」
「黄金の林檎は奪われたぞ。」
「えっ?!」
その向こうの草原はまるで一新されたかのように、より俊敏で巧みな動きを見せ、攻撃も鋭く決断的だ。立秋も軽やかにかわし続ける。大鳥である彼の敏捷さは、やはり相手を凌駕していた。
あちらの草地はまるで生まれ変わったかのように、動きは一層しなやかで巧妙になり、攻勢もさらに鋭く果断となった。立秋も軽やかにかわし続ける。大鴉である彼の機動力は、やはり相手を凌駕していた。
この試合のMVPは、逞しい西園准人にほかならなかった。彼はただ大地を一歩強く踏みしめただけで――まるで古代の盤古が天地を切り開くかのように――大地の地形そのものを一瞬で破壊し、全員を虚を突いたのだ。
突如、小黒が雨水の隣に現れ、悲鳴を上げた。「こ、このフィールド、作るの大変なんだぞ!」雨水は動じなかった。どうせ造ったのは自分ではないからだ。
黄金の林檎が敵の手に落ちようとするその時、六日は必死に則保の妨害から逃れようとする。しかし則保はその場であえて挑発を口にした。
「なあ、どうしてあの冬森立秋のような傲慢な男が、あんたみたいなのを仲間に選んだんだ?」
六日は理由も分からず、口ごもる。「わ、わたし……」
則保は嘲るように続ける。「もし私なら、もっと経験豊富で実力のある悪魔を選ぶだろうね。生理が来たばかりかもしれないような、何もかも初歩的な小悪魔じゃなくてね。」
「それに、あんたはあの新星――立夏月光の相棒だろう?」
「……月光のことを知っているの?」
「今や誰もが知っているさ。胡散臭い出自に、目を奪うほどの戦績、自信過剰で傲慢な性格、そしてまるで名匠の筆が描いたような容貌……知らない方が不思議なくらいだ。」
「……」六日は言葉を失った。
「あんたのことも聞いたよ。名門校に通っていて、師たちの誇りと呼ばれる模範生だったそうじゃないか? でも学業の成果なんて誰にでも手に入る。大都市の名門に通ったところで同じこと。悪魔の中には、あんたと同じような者がごろごろいるのさ。彼らはなぜ悪魔になったと思う? ……たとえならなかったとしても、結局は凡庸の中に埋もれていく。」
彼女は少し言葉を区切り、上から鋭い視線を送った。「私は言う。たとえ悪魔になったとしても……今ならまだ引き返せる。」
六日は強い光に目を細めながら、顔を上げざるを得なかった。人工の太陽が照りつけ、まぶしさに思わず息を呑む。「わ、わたしは……わたし……」自分自身さえも説得できないのを悟る。
則保は続けた。「充分な理由もなく、迷いだけを抱えて生きれば、人生は苦しみに満ちる……」彼女はそこで口を閉ざした。さすがの則保も、内心の痛みに気づき、言葉を止めたのだ。
「黒羽雨水があんたを外したのは簡単な話さ。あんたより、あの二人の方が怪しくて、そして強かった。ただそれだけのことだ。」
「……いったい、何が言いたいの?」六日は耐えきれず問い返した。
「ただの、年長者からの忠告さ。」則保の目に、一瞬だけ憐憫の色がよぎる。
「わ、わたしは……強くなってみせる……!」
「……そうかもしれない。だが、今ではない。」言葉を残すと、空から雨粒のようなものが降り注ぐ。六日がよく見ると、それは蜘蛛の糸が液となって落ちるものだった。避けきれず、彼女は湿地に絡め取られ、全身泥だらけとなる。観客席から失笑が漏れた。
こうして放浪者たちはあっけなく勝利を収める。黄金の林檎の輝きは、彼らの栄誉そのものだった。試合が進むにつれ、ランキングは大きく変動する。ルシファー会はこの戦いで二つ順位を上げ、まさに起死回生を果たした。一方、ゴールデン・ウィングスは二つ順位を落とし、低迷の兆しを見せる。
立秋はやや失望を覚えつつも、理性的に言葉を紡いだ。「人は、永遠に順風満帆でいられるものではない。」
雨水は行程表に目を通した。予定は夜の九時までびっしりだ。「ちょっと遅くなるけど、今日の試合が終わったら選手や来賓を招いた宴がある。その時に夕食ってことで、いいか?」
「いいよいいよ!」海棠は今にも足を上げそうな勢いで答えた。
「俺は構わないけど……その前に弁当でも買っておいていい? 絶対お腹空きそうだし。」
「私は爆食するですけど。」月光は直球で言った。
「まあ、体壊すわけにはいかないしな。」
「なんだ、けっこう気の利くやつじゃん……」海棠が言いかけたところで、雨水がさらりと口を挟む。
「いや、単に高校生から金を巻き上げるわけにもいかないだけだ。」
「まだ最後まで言ってないのに……」
「お前もだ、ちゃんと体を大事にしろ。見た目、こじ……いや、なんでもない。とにかく気をつけろ。」
「おい、どういう意味だよ?!」月光が食ってかかった。
その時、アナウンスが響き渡った。「さあ、ここで登場するのは我らがパイモンとエイグン! 彼らが見せてくれるのは一体どんな痛快なバトルか?!」
威風堂々とステージに歩み出るのは冬至マリア。対する相手は、古臭い科学の教科書にでも載っていそうな、レトロなロボットだった。ギシギシとぎこちなく動き、声も不自然に歪んでいる。まるでレストランに置かれた余興用のロボット給仕のようだ。
「ロボット? ロボットで出場していいのか?」月光が首を傾げる。
雨水が説明した。「エイグンのメンバーは、機械に精通した科学の天才集団だ。だからこそ、自作のロボットを出場させる特権を持っている。普通なら誇りを懸けた真剣勝負だが、彼らにとっては巨大な実験場にすぎないんだ。研究こそが最優先だからな。」
「ずいぶんリアルな話だな……」
「でもそのロボット、負けるだろ。結局はひたすら試行錯誤して、相手のデータを集めて更新するのが目的なんだから。」
エイグンとパイモンが挑むのは、砂漠ステージと大海ステージ。大魚は依然として覇者のごとく悠然と泳ぎ回り、まるで獲物が勝手に運ばれてくるのを待っているかのようだ。
エイグンのメンバーはロボットと連携し、あと一歩で金の林檎に手が届く……その瞬間、砂漠に突如として流砂が出現!まるで蟻地獄のように、ロボットを丸ごと呑み込もうとする!
「っ……!」エイグンはさすがに動揺し、慌てて機器を操作してロボットを脱出させようとするが、二本の鞭が容赦なく振り下ろされた。衝撃は彼ら自身にダメージを与え、さらに機材まで一時的に損傷させてしまう。
その頃、冬至まる子が空から優雅に舞い降りる――はずが、最後の最後でバランスを崩し、流砂に落ちかける。
「お姉ちゃーん!小雪ちゃんー!舞姉ー!助けてぇ!」情けない声を張り上げる姿はまるで負け犬だ。
「この……大バカ!」マリアが駆け出そうとしたが、幸いにも、小雪――片目を髪で隠した少女が助けに入った。まる子は彼女に懇願する。「小雪! 逆転ステータスを私にちょうだい!」
「わかった。」小雪は素直に頷き、スマホに数文字を打ち込む。
次の瞬間、まる子は再び元気を取り戻し、むしろ活力に満ち溢れる。「ダーリン、よーく見ててよね!❤」
月光は鳥肌を立て、星児は隣の海棠とヒソヒソ話し始める。
しかしエイグンは終わっていなかった。ロボットが「ドン、ドン」と起動音を鳴らし、大仰に分解を始める。そして変形したのは……巨大な砲台!流砂に呑まれる直前、周囲へ無差別の掃射を開始した。場内は破壊され、ついに大魚までもが目を覚ましてしまう。
だがマリアは一歩も引かない。鞭を振るい、弾丸を避けながら華麗に跳躍。鞭はついに砲台を叩き、零れ落ちた部品が蜘蛛のような機械に変じる。蜘蛛は地面に粘液を吐き、糸を足場にマリアへ迫ってきた。
そして、巨大砲台が火炎を吐く。蜘蛛の糸は導火線と化し、機械蜘蛛は火花へと変じ、マリアめがけて殺到する。だが彼女は臆さない。鞭を旋回させ、その場で舞うように回転し、迫る蜘蛛を薙ぎ払った。
さらに――その姿が変わる。鱗は海の光を映すように煌めき、髪は波のように揺れ、蒼白の肌は水面の斑を反射する。彼女は舞い、歌う――まさしく人魚姫の化身だ。
観客は息を呑み、視線を外せない。口は驚きに開かれたまま。
そして、マリアは鞭で大魚を絡め取り、機械蜘蛛へと叩きつけた。蜘蛛は逃げ場なく、直撃の瞬間、制御不能の火花を散らし――砲台へ逆流。次の刹那、凄まじい爆発が巻き起こった。
爆炎を背に、マリアは林檎が置かれた高台に軽やかに立っていた。魚の尾を持ちながらも、圧倒的な戦士の姿。彼女は勝利を示すように、林檎をひと舐めする。
観客席が一斉に爆発するような歓声を上げた。
「すごーい!!」
「おれもあの林檎になりたい!」
「どけ! 次は俺だ!」
その頃、エイグンのメンバーたちは冷静に電子機器で記録と分析を行い、その場で討論会を始めていた。
「本当に研究熱心だな……」と星児が言った。
「きっと後でもう一体ロボットを作るんだろうね。少し尊敬しちゃうわ。」と海棠も言った。
「この一戦はパイモンの勝利! 続いて、ルシファー会と名無しチームにご登場いただきます!」
「私たちの番だ。」
現在最下位にいるのは「名無し」チームだった。
「名無しチームには強者が多そうですが、どうして最下位なのでしょうか?」と月光が思わず尋ねた。
「裏社会のやり方を持ち込んで、なるべく目立たないようにしているんだろうな。あるいは私たちを油断させようとしているのかもしれない。」と雨水が言った。「雷道驚蛰ってやつは侮れない。さあ、小僧ども、行くぞ。」
闘技場の外。
則保の足取りは乱れていた。冷静な彼女でも、どうしていいか分からない瞬間がある。彼女はポケットから一枚の写真を取り出した。それは彼女とある少女とのツーショットで、その少女の容貌は六日にどこか似ていた。則保はその大切な品を胸に抱きしめ、切なさと想いに満ちたつぶやきを漏らした。
「百合……」弱々しい声は壁に吸い込まれ、心の中にすら反響を残さなかった。




