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あの女たらしの男

「満くん、見て見て!私の新しいネイル、どう?」


美しく手入れされた、あんまり労働とは無縁の両手が、満の目の前に差し出された。


「とても綺麗ですね。あなたの肌は白いから、こういう鮮やかな赤が本当に似合いますよ。上のデコレーションもあなたが選んだんですか?すごく可愛いですね。やっぱりあなたはセンス抜群で、魅力が溢れる女性です。」満はその女性の手をそっと取り、礼儀正しく答えた。


「やだ〜!そんなに褒めても何も出ないんだからね!……じゃあシャンパンもう10本追加して〜!」女の子はおだてられ、すっかり舞い上がって得意げに指示を出す。


「あいつすげぇな、ちょっと褒めただけでシャンパン10本追加かよ。」同僚が感心したように呟く。


「“サタンの弟子”だからかな?」もう一人の同僚は、少し嫉妬交じりに推測する。


宝物庫で流れ出る金砂と金貨のように。


その煌めきだけで人を惹きつけ、目が眩む。たとえ溺れようと、たとえバラバラにされようと、人々は群がる。


たとえ一握りでも、人々はその秘められた場所からの恩恵を望み、手にした瞬間を天の祝福と感じる。


ただ見つめるだけで触れることさえ許されず、それは人々が最も渇望し、酔いしれる、最も貴重な宝。


だがもし、それがすべて山羊の悪魔が仕掛けた罠だったとしたら?


退勤しようとしたその時、新着メッセージが届いた。


満は不機嫌そうにスマホを見やる。関係を絶ったはずの女性から、また連絡が来ていた。一体何を企んでいるのか。


その時、常連客の姿が目に入り、満はすぐに顔を切り替え、人を騙すほど甘い笑顔を浮かべた。


「こんばんは、お二人さん。」


「こんばんは、満ちゃん〜!」*二人の女性が駆け寄り、満の体をさわさわと触る。ストレートヘアの女性が言う。


「今日はお仕事じゃないの?」


「残念、オフなんです〜」満はわざとらしく語尾を伸ばして答える。


「えー、残念〜。満ちゃんに会いに来たのに〜」巻き髪の女性ががっかりした様子で言う。


「ごめね〜また私がいる日に来てくださいね。お二人のこと、ずっと待ってますからね。」


「えー、ほんとに?満ちゃん!」


「もちろんですよ。誰よりもお二人にお会いしたいですから。でも休息とメンテナンスは大事ですからね。残念です〜」


「そうね、しっかり休んで、満ちゃんがずっと綺麗でいられるようにね。じゃあ、またね〜」


「その前に——」満は二人を呼び止めて、二つの投げキスを贈る。二人の女性はうっとりとした顔で中に入っていった。


彼女たちの姿が見えなくなると、満は作り笑いで強張っていた顔をやっと緩め、いつもの倦んだ表情に戻る。


その時、電話が鳴った。見知らぬ番号。また詐欺かと面倒くさそうに受話器を取る。


「もしもし、私です。何が用ですが?」再び甘い声に切り替える。


「満くん、私、今でもよくわからないの。急に関係を絶ちたいって、どうして……?」電話の向こうの女性の声は焦りと不安に満ちていた。


「最初に言ったでしょ?『救済が終わったら去る』って。祥子、貴女は仕事が軌道に乗って忙しくなって、電話しても“今忙しい”とか“通話中”ばかり。貴女はどんどん良くなってる。だから、私は去った。貴女に返すものは全部返したよ。ペアリングも含めてね。」


「だから、わからないの……私、本当にあなたを好きになったのに……それなのに突然、何の連絡もなく消えるなんて……」すすり泣く声がはっきりと聞こえる。


「これは契約だよ、最初からそう言ってた。むしろ、貴女にはもう私は必要ない。だって、貴女はもう完璧な女の子になったですがら。」


「わかんないよ……私、何か間違ってた?もっとちゃんと説明してくれたっていいじゃない……」


「貴女は何も間違ってない。貴女のミッションは完璧に完了した。じゃあ、切るね。バイバイ。」女の子が何か言おうとする前に、満は一方的に電話を切った。そして小声で不満を漏らす。


「わざわざ新しい番号まで作ってかけてくるとはね……」


また別の女を探さないと……


次はどれにしようか?誰を“育てよう”か……?


満はスマホのマッチングアプリを次々と更新し、次の“適任”を探し始めた。



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