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――後の勇者である。 21

「はい。分かりました。挨拶だけじゃなくて何か用事を見繕ってから声掛けますね」


「ははは。別にネタ仕込んでこいってわけじゃないから。気軽にな」


「はいッ!」


「……元気だなぁ」


「ありがとうございます」


「そして素直だ」


 サダノーミが先に落ちてしまってから後、取り残されてしまった俺とロンウェンは取り留めのない話をしながら、倒してあったモンスター方の御遺体の山をサクサクと「解体」していた。……「ゲーマー」的には高レベルのフレンドが倒してくれた敵のドロップ品を、戦闘に参加もしていなかった俺が拾い集めるというのは、どうも……寄生行為っぽくて気が進まない部分もありますが――このグルメファンタジア・オンラインではモンスターの御遺体は「食材」だ。このままここに放置して「食べ物」を粗末にしてはアカンからね。自分のPRIDEよりもMOTTAINAIは優先されるべき。今回は有り難ぁ~く頂いておきましょうや。げっへっへ。


「……あれ?」


「どうかしました?」


「ロンウェンくん、オクドラゴラって解体したかい?」


「いえ。僕はしてませんけど」


「オクドラゴラの御遺体が見当たらないんだよね。最初のモンスターだから、最初に倒されてそのまま『解体』待ち時間が過ぎて消えちゃったかな?」


 そんな「待ち時間」制限があるかないかも知らんけど。


「あー、どうでしょう。でも多分、オクドラゴラは倒せてないんじゃないですかね」


「え? 倒せてない? ……マジか」


「サダノーミが倒してた可能性はありますけど、少なくとも僕は倒してないですね。それにオクドラゴラは逃げ足が速いですから。倒すってなると結構、大変ですよ」


「そうなのか……。いや、サダノーミがね、シキトーにはオクドラゴラは抜けねえと思うけど――みたいなことを言ってたのを思い出してね。確かにオクドラゴラは俺が抜く前に自主的に飛び出てきてたから『抜く』どころか触れもしてないんだけど」


「サダノーミはそんなことを言ってたんですか。うーん、オクドラゴラを『抜く』となると……どうすればいいのか僕にも分からないくらい難しいですよ」


「普通に近付くと飛び出るわけだろ。極限まで気配を殺してそぉーっと忍び寄るか、逆に神速で突撃して飛び出る前に掴むか」


「どちらにしてもシキトーの今の初期ステだと無理ですね。神速で攻めるならAGI、忍び寄るなら……DEXかなあ、をかなり上げないと」


「んだな」


 ……とりあえずの目標というか最終目的というか、目指すところは決まったな。


 まだまだ無理だと笑われたオクドラゴラの引っこ抜きをいつの日か、サダノーミに見せ付けて、ぎゃふん! と言ってもらおう。うん。そうしよう。


「ちょっと……頑張ってみるかな。グルメファンタジア・オンライン」


 サダノーミこと山崎先輩がドハマリしてる&激オススメなゲームっぽいことだし。


「あ、嬉しいなあ。シキトーなら大歓迎ですよ! いつでも手伝わせてください」


「まあ、今日までの3回は主体性皆無で連れ回されただけだったから。まずはソロでゲームに慣れることから始めてみようと思う。一足飛びで植物園に来たりしないで、一から順々に遊んでみるよ。でも困ったことがあったらきっと頼らせてもらうから」


「はい。待ってますね。僕も『バッチこーい』です」


「ははは。……眩しいなぁ。ロンウェンは」


「ありがとうございます!」


 ロンウェンこと龍文君のことを見てると、彼があの山崎先輩と血を分けた実の姉弟とは思えなくなってくるな……。


「……ははは」

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