――後の勇者である。 20
「グルファンの戦闘をヌルいって言えちゃうのは多分、ある程度の腕があるゲーマーだけで。グルファンのユーザー層にそういうゲーマーは少ないのかと」
「う~ん。なるほど……」
「だから。いままでのゲームみたいな廃プレイしなくても比較的カンタンに俺TUEEEできちゃって、楽しいんですよぉ~。もう、気軽に無双状態に入れますから」
「……ロンウェンくん、意外に男の子だな」
「あははは。そんな引かないでくださいよー。シキトーなら分かってくれるかなって思ったんですけど」
「おー……ん」……ロンウェンくんの中で俺は一体、どういうキャラクターになっているんだろうか。もしかしなくても先輩の影響か? 山崎先輩が俺に関してあることないこと弟君に吹き込んでるとしか思えねえんだけども……。
「シキトー?」
「ん。おー。どうした?」
「良かったらまた、サダノーミ経由じゃなくても遊んでください」
「おー。そうな。遊ぼう、遊ぼう」
「ありがとうございます。嬉しいです。あの、フレ申請してもいいですか?」
「おー、おー。バッチこーい」
……俺も高校生の頃とか大学に入ってからも少しの間は、真っ白な灰になっちまうくらいに某オンラインゲームのガチ勢だったりもしたけど。あの頃は画面の向こうに居る人間だの、ゲーム内のコミュニティだのに対して、マジメに向き合い過ぎていたきらいがあったと思うわ。我がことながら。本当に仲良くなった「ともだち」としかフレンド登録はし合わない――みたいな。
交友関係は「狭く深く」が「正解」なんだと青臭く思ってた気がする。
「百人の友達よりも一人の親友」――みたいな。
……いまではぐっとカジュアルな気持ちでフレンド申請を受け付けている。
ロンウェンくんの前にも、サダノーミは当然として、サダノーミの店「ボーダー・リバー」の方々ともすでに俺はフレンドになっていた。
社会人になってみて「はじめまして」と名刺を交換する感覚を知ってしまったからかもしれない。
……カジュアルにフレンド交換し過ぎて、先日のアサミヤ氏との「二度目まして」時には「……何処かでお会いしましたか?」とか言ってしまったけれども。うーん。アサミヤ氏も俺の「フレンド」なのに……いや、すまんかったのぅ。
「――んで『OK』を押して、と。これで無事にフレ登録完了だよな?」
「はい。オッケーです。ありがとうございました」
「……ああ、そうだ。ロンウェン」
「はい?」
「悪いけど俺はIN・OUTの挨拶とかしないでヌルっと遊ぶ派だから。挨拶が無えとか無視された……とか思わんでくれるかな。事務的な義務的な挨拶は別にいらんけど、声は気軽に掛けてもらって大丈夫だし、俺の方からも普通に声を掛けさせてもらうと思うけど」
これは先に言っておかないと。「フレンド」に対する温度差の違いから、笑えない気持ちのすれ違いコントが始まってしまうかもしれない。




