――後の勇者である。 18
「……シキトーは幽霊を見たことがないんですか?」
「『カブトムシ、見たことないの?』みたいなテンションで、そんな……幽霊を見たことがあるのがフツウみたいな言い方をされても……」
「あはは。冗談ですよ。そんなに引かないでください。僕も幽霊は」
「おい。お前ら。クソくだらねえこと言ってんじゃねえぞ。ふんっ。やることやって見るもんも見たし、今日はもう解散だ。俺は落ちるからな」
「……御満足いただけましたようで。俺も腰抜かして、きゃーきゃーと黄色い悲鳴を上げまくった甲斐がありましたよ――って、え、サダノーミ? もう落ちた?」
もしかしたらログアウトではなくて「死に戻り」したのかもしれないけど。
「……消えちゃった。もー、せっかちだなあ、先輩は。仕事が早過ぎるゾ。てかさ、ロンウェンくん。モンスターに殺された後って30秒以内に生き返らせないと自動的に街とかに戻されるとかってのあったりするのかな? このゲームって」
「ああ、いえ。自分で『街に戻る』を選択するまではいつまでもその場に居られますけど……そんなことを聞くってことはシキトーってまだ死んだことないんですか?」
「あー……まあ、まだ3回目のログインだしね」
「今日のコレもそうですけどその1回目、2回目も姉さんに無理矢理というか強引に連れ回されたりしたんじゃないですか? それなのに死んだことがないなんて……。やっぱり、シキトーってゲーマーですよね。さすがです」
……モノホンの凄腕ゲーマーであろう龍文君にそんなことを言われるのは、嬉しいというよりもお恥ずかしいといった気持ちだがそれはそれとして。
「ロンウェンくん。その『姉さん』呼び、サダノーミに殴られるぞ?」
「あはは。シキトーが先に『先輩』とか言ったから。つられちゃったんですよ」
「ん? 言ったか? いや、言ってないんじゃないかな?」
「発言のログ、見直してみます?」
「いやいやいや、事実が真実とは限らないよ、キミぃ」
「あはは。めちゃくちゃですね、敷島さんって」
「ついには俺の名前までッ!? いや、ロンウェンくん。さすがにちょっと気を引き締めようか、お互いに」
「はは、すみません。そうですよね。個人情報でした。すみません」
「うむ。以後、気を付けるよーに。――てか。サダノーミの話だけど」
「はい。――はい?」
「今日はマジで何がしたかったんかな。急にロンウェンくんまで呼び出したりして。俺が腰を抜かして情けなく悲鳴を上げてるシーンを見たがるとかっていうのは正直、サダノーミっぽくないと思うんだけど。何か裏があるんかね? 何か聞いてる?」




