――後の勇者である。 17
植物園までの道中、必死のパッチでモンスターの攻撃を避け続けていた俺に、ロンウェンくんは「プレイヤースキル、高過ぎですよ。シキトーって実はゲーマーだったりするんですか?」なんて言ってくれていたけれども。龍文君自体が凄腕のゲーマーだからこその発言だったんだな、あれは。……イマのキミの流麗な大立ち回りを目の当たりにしてしまっては、俺の腕前なんて、まだまだ……としか言えねえぜ。ふッ。
――といった感じで大活躍の二人ではあったが、それであっても多勢に無勢だ。
サダノーミとロンウェンが振るっている大斧と剣とをかいくぐって、俺の目の間にまでやってきてしまうモンスターも1匹や2匹ではなかったが、
「ぎゃーッす!? 討ち漏らしがッ!? 迫ってきてますけどッ!?」
俺が悲鳴を上げるそのたびに、
「ヤラせねぇよッ! テメエの相手は俺だッ!」
「背後がガラ空きですよっと」
本当にギリッギリの間一髪であろうとも確実に、俺が傷付けられるよりは前に襲い掛かってくるモンスターを二人が倒してくれていた。俺の命を救ってくれていた。
……なにこの「お姫様と騎士」プレイ。二人に命懸けで守られて、あたくしってば……トゥンクしちゃうんですけど……。
――10分後。
「これで終わりッと」
ロンウェンのあっさりとした袈裟斬りによって最後の一匹が倒されて、凶悪ヅラのモンスター大集合の幕はようやく閉じてくれたようだった。
短いようで長かった10分間で何匹のモンスターを倒したのやら、わからないくらいの大激闘だったが結局、一度も、一撃も、一かすりも俺には攻撃が当たらなかった。二人の騎士は俺という姫を守り切ってくれたのだ。うむうむ。褒めてつかわそう。
ただ、その代償に――。
「師匠! サダノーミ師匠! なにやらお体が半透明な御様子ですが、それはまた、どういった趣向で……?」
「うるせえぞ、シキトー」
「ぎゃんッ……と思ったら」
勢い良く突き出されたサダノーミのてのひらは、俺の体を少しも押し動かせずに、すかっと突き抜けてしまった。
「……ふっふっふ。そのお体では殴れないようですな。はーっはっはっはっはッ!」
「ちッ」
「まあ、そこはリアルと同じだよね。死んで幽霊になっちゃったら、物とか生きてる人間とかと物理的な接触は出来なくなるっていう」
「……リアルと同じだったら『死んで幽霊になっちゃったヒト』も見えないけどね」
「え……?」
「やだ、ロンウェンくん。なにその『え……?』って。こわいんですけど」




