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――後の勇者である。 11

「いまの俺は社会人一年生だからね。働いて貰ったお給料の使い方を勉強中なんだ。いままでもアルバイトはしてきたし、そのバイト代のほとんどは遊ぶカネになってたけど。就職して一人暮らしを始めたいまはこのお金で生活をしていかないといけないからね。いまの俺にとっては500円って凄く大切でさ、龍文君がくれた500円もいまの俺には凄く重いんだよ。いまの龍文君にとってはきっと軽いんだろうなって分かっていてもね。お金に限った話じゃないんだけどさ、相手に贈り物をするときは、自分の手から相手の手に渡ったときにそれがどのくらいの重さに変わるのかも考えてみるとより……スマートにプレゼントを贈れるようになるかもしれない。ナンチャッテ」


「……はい」


「はは。ごめんね。せっかくの御厚意だったのに。お説教みたいなこと。久しぶりに会えたのにねえ」


「いえ。そんなことないです」


 ――……後から思えば、ロンウェンくんには、この辺りから妙に懐かれてしまっていた気がする。お説教みたいなことも懐柔もするつもりなんて全くなかったのに。


「うれしいです」


「ん……?」……ロンウェンくん、今「うれしい」って言った? ……何が?


「……シキトーはカッコイイですね。やっぱり」


 ……「やっぱり」ってなんだべ? 龍文君とは2年以上も前に何度か会ったことがあるだけだ。会って一緒にメシを食っただけで、その場にはもれなく先輩も同席していた。俺は龍文君と二人だけで話をしたこともなかった――はずだ。


 ……先輩と一緒に居るときの俺は、ボコスカと先輩に殴られてばっかりで「カッコイイ」と思っていただけるような姿は一瞬もお見せできていなかったと思うが……。


「ロンウェン。シキトー。もういいだろ。さっさと行くぞ」


 サダノーミは「ふんっ」と鼻を鳴らして、俺たちに背を向けた――そっちの方向に件の植物園があるんですかいな? てか……殴られなかったな。


 さっきはロンウェンを「龍文君」呼びして、その年齢にまで言及してしまったのにお咎めは無しなのか? ……先輩のことだから3歩あるいて忘れちゃったのかな……ナンチャッテ。


「ところで、お二人さん。その植物園とやらには何があるんですかい?」


「ああ、それはですね」


「行けばわかる」


 ぴしゃりだった。……先輩は実の弟に対しても容赦が無いなあ。


 龍文君は先輩の9つも下だ。姉と弟で9歳も離れていたら、もっとベタベタに弟を甘やかしそうなものだけど。リアルな姉弟はどこもこんな感じなんか? 電話一本で要件も伝えずに呼び出したり、ゲームの中のこととはいえなかなかの無茶を言ったりだとか……うーん。先輩なりの愛情だったりするのかね、遠慮が皆無っていうのは。


「りょーかいしました。ネタバレ禁止の出たとこ勝負ですね」


「そういうことだ。楽しみにしておけ」


「ええ……いいんですか、それで……」

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