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――後の勇者である。 10

 ……確かに節約生活中ではありますけどね。就職も一人暮らしも一年目でまだまだ収入と支出の程度っちゅうか、バランスがまるで分かってねえもんで。慣れるまでのもうしばらくは無駄遣いを控えたいところではあるんですよね。テキトウに散財するよりは貯めて、ある程度、貯まったら外に旨いメシを食いにも行きてえですし。


「あはは、なに言ってんの。サダノーミ。社会人が500円の課金くらい……あれ? え? マジなんですか? シキトー……なんか、すみません、笑っちゃって」


「ふッ……いまの俺はドレッドノート級だぜ。まさに大船に乗った気持ちでいな」


「あはは。わけわからないです。でも面白いですね、シキトーって。いまのがすごく面白かったからシキトーに投げ銭したい気分なんですけど。500円くらい」


「ロンウェン! やめろ! バカ!」


「ああ、ああ……そげに殴らないであげてくだせえ、サダノーミ。てか、いまのロンウェンくんの『冗談』は凄く面白かったから。俺からも500円を返すよ」


 これで500円が行って来いしてプラマイはゼロだ。「受け取らない」はしないよ。有り難く受け取った上で同額をお返しするのさ。うーん、スマートなオトナだ。


「……すみません。僕、勢いで失礼なことを言ってしまって」


「いやあ、先にド貧乏なんて情けない姿を見せたのは俺の方だから」……てか厳密に言えば、最初のきっかけは先輩の発言だったけど。


「……龍文君はもう高校生になったのかな。前に会ったときはまだ中学生だったよね――おおっと、先輩。殴るのは後にしてつかあさい。今はちょっとだけ真面目な話をさせてもらうんで」


「……はい。この春で高校一年生になりました。それでバイトも始めたんで、つい」


「ああ、うん。俺もお金が本当に無いわけじゃないんだ。それが必要な出費だったら500円と言わずに一万円でも十万円でも出すよ。家賃とかね。ははは。でも――」


 ……ん~。「オンラインゲームの課金アイテムに払う無駄ガネはねえ!」ってのは率直に言い過ぎかな。「ゲーム」っていうか「グルメファンタジア」の優先順位が、俺の中ではあんまり高くない――ぶっちゃけ低いって話なんだけど。先輩は元より、その先輩よりもどうやら「強い」らしい龍文君は、先輩に輪を掛けて、このゲームにハマっているんだろうから。そんな二人を前にしては本音だからこそ言いづらい。

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