――後の勇者である。 04
「ふん。そんなに生で食いたかったら生で食え。かじれ」
「ええ? 味付けOKなら調理してくださいよ」
「うるせえ。気が変わった。生で食え」
「サダノーミぃ~。スネんでくださいよぉ~」
「スネてねえわ」
サダノーミこと山崎先輩は一度ヘソを曲げてしまうとまずその話題中は元には戻らない。意固地なおヒトだ。
俺はこの人参を生で食うことになると分かっていながら、
「サぁ~ダノぉーミぃ~」
「歌うな。うっとうしい」
「どうせなら美味しく食いたいっすよぉ~」
「知るか」
「じゃあ、半分はシリシリで、半分はナムルで」
「何が『じゃあ』だ。話が繋がってねえぞ」
「まあまあまあまあ……――痛いっす!?」
殴られるまでは追いすがってみた。
――はい。センドラゴラからドロップした「人参」はちゃんと「人参味」でして、生で食べても大変に美味しゅうございましたよ。
「次は足取り草だな。トラップ系のモンスターだ」
「『アシトリグサ』ですか。ふむ。トラップ系っていうと某ミミックみたいな」
「草原に生えまくってて、基本、見分けはつかねえぞ。他のモンスターとの戦闘中に足を取って転ばそうともしてくる。地味に厄介なやつだ」
「……でも。手でむしるか、つかまれた足を思いっ切り振り上げれば――ッしょい! 草は地面から抜けて、倒せると。これってモンスターじゃなくて子どものイタズラなのでは……――と。ドロップ品は小松菜ですか」
「……ふん。おい、シキトー。本当に小松菜か? ホウレン草と迷わないのか?」
「そうですね。最近は根っこ部分の赤くないホウレン草も多いですけど……この茎のしっかり具合ですとか葉のカタチですとかを見ると、これは小松菜じゃねえかなと。……違いましたか?」
「違わねえよ。それは小松菜だ。……ふん。見てわかっちまうならそれは食わなくていい。さっさと次に行くぞ」
「ええ? もー。なんですか。そっけない。正解だったら褒めてくださいよー」
この後、また場所を変えて今度は「プチゴーレム」を倒した。……ちっせえくせにかってえでやんの。1対1じゃなかったら、1体目を倒すのに時間がかかりすぎて、その間にこちらがボコボコにされていたと思われる。
今回は俺がプチゴーレム1体を必死に削ってる間、サダノーミが一緒に居た残りの3体の相手をしてくれていた。それで俺とサダノーミの戦闘終了のタイミングがほぼ同時なんだから……戦力の差を見せつけてくれるぜ。
ちなみにドロップ品は「豆腐」だった。
「――『豆腐』て!?」




