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ファーストバイト 27

「ふっ。豪快な説だな。そうすっと『醤油』も作れるかもしれねえのか。ウチの店の九州人が『こんなしょっぱいだけの醤油は醤油じゃねえ』とか言って『甘口醤油』をドロップするモンスターを必死に探してやがるが、自分で作っちまった方が早いかもしれねえな――と。焼けたな。ほら。食え」


 コンロにフライパンに包丁とまな板ときて、更に皿が取り出されると、その端には箸まで乗せられていた。至れり尽くせりだ。まさに据え膳。食わねば恥か。


「……いただきます」


「どうだ?」


 早いっす。


「もぐもぐもぐ……」……脂の強さ、甘み、赤身の旨味、硬さ、柔らかさ、歯応え、口溶け……これは間違いないだろうな。


「……豚肉だと思います」


 カッコカリは外そう。これは豚肉だ。


「それも、それなりに上等な豚肉じゃないかと。食べ放題の店では出てこないレベルじゃないですかね。もしくは1皿目にだけ出してオカワリは別の肉かな」


「そうか。よくやった。ツノウサギは豚肉――上等な豚肉か」


「……このツノウサギは初心者向けなんですよね?」


「あ? そうだな。それがどうした」


「こういうメタ的な見方は良くないかもしれませんが……グルメファンタジア・オンラインをゲームとして考えた場合でも、最初に倒すであろうモンスターから、多くの日本人が食べ慣れているであろう豚肉が出るっていうのは、十二分にありえる話だと思うんです。序盤も序盤で、変に高級だったりや珍しい動物の肉を出したところで、それを食べたプレイヤーが何の肉だったのかが分からなければ、お高い値段にも希少価値にも気付けずじまいで感動も何もありませんから。食べ慣れていない味は下手をしたら『変な味』だとか『不味い』と思われて、サイアク、このゲームは味の再現が全く出来ていないと捉えられてしまいかねません。なので最初期に示される『味』はプレイヤーがよく知ってる味にすると思うんですよ。ちょっと考えれば分かることでしたね」


「……ちょっと考えれば分かることか。シキトーは頭が良いな。よし。ぶっ飛ばす」


「はぃ!? な、何で――痛ッたぁぁぁぁぁぁぁぃ!?」


 サダノーミに文字通りぶっ飛ばされてしまった以降の記憶は定かではなくて、気が付けば、次の日になっていた……なんてことはなかったけれども。今はフツウにその「次の日」である。


 俺は夕飯を買いに近所のスーパーマーケットへと来ていた。当然、リアルの話だ。グルメファンタジア・オンラインの中の話じゃないぞ。目当てはパンかおにぎりで、自炊用の食材を買いに来たわけじゃなかった。……だったらコンビニに行けって? このバカちんが。コンビニよりもスーパーの方が確実に安いんだよ。

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