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「多数決で正解が決まるとしても。お前が口にした『ワニ肉』説は、今やウチの店の連中に完全に受け入れられてる。最早お前一人の意見じゃねえ。もう広まってんだ。どうして広まった。それはお前の『ワニ肉』説に真実性があったからだ。分かるか」


「もぉー……ッ!」


 ぐいぐいと寄り切られそうだった。相手がサダノーミだけに。


 こうなればもう……俺が何を言ったところで「無駄な抵抗」にしかならない。


「分かりましたよぅ。いや、わけ分かんねえすけど。分かりました。……今度は俺に何をさせる気なんですか?」


「ふッ」


「黒幕みたいな笑い方して」


「簡単な話だ」


「俺のツッコミは華麗にスルーっすか。――ぁ痛ッ!?」


「これからそのツノウサギの肉を食って、シキトーが何の肉だと感じたかを教えろ」


「なんか……責任重大な御依頼に聞こえるんすけど」


 うーん……ここでもし俺がわざと間違って、テキトウな感想を言ったらどうなる。早々に御役御免かにゃ?


「……シキトー。分かってると思うが」


「はーい。わざと間違えるとかしませーん」


 ……「サダノーミ」の目が細められたよ。超怖ぇ……。このゲームの凄みは「味」だけじゃなくて、プレイヤーが操作してるアバターの表現の幅広さというか、反映、再現度の異常なまでの高さじゃねえかね……。さっきの「サダノーミ」は山崎先輩にしか見えなかったんですけど。


「そう構えんな。食ってみて豚肉だと思ったら豚肉だって言えばいいんだ。別に変な答えを期待してるわけじゃねえんだよ。お前の舌がどう感じるかを聞きたいだけだ」


「と言われましても。緊張感がハンパねえっす」


「ぐだぐだ言ってんじゃねえ。おい。さっきの肉よこせ。俺が焼いてやる」


「きゃー、ひったくりよー、あちきの肉がー」……て、他プレイヤーの「持ち物」を奪取できるのかよ。何でもリアルに作ればいいってもんじゃねえぞい……。


「あ? 何だ。シキトー。ナマでかじるか?」


「ナマでかじっても味なんか分からねえっすよ。スンマセンけどリアルで豚の生肉を食った経験がねえもんで。ドイツだと生の豚肉を食う文化があるらしいっすけどね、俺は日本育ちなもんで。ナマ豚はドNGっていう教育に洗脳されきってるんで」


 ……そう考えると生魚はNGな文化圏の外国人が寿司を食ったりするのって、凄え冒険だよな。脱帽しちゃうぜ。生卵も以下同文。


「てか。サダノーミ師匠。この豚肉カッコカリって、ツノウサギのジビエっすよね。狩猟肉。寄生虫とか怖ぇんすけど」


「心配すんな。グルメファンタジアに寄生虫の概念はねえ」


 そこはゲームなのかよッ。……まあ、狩った肉が素直に食えないとなるとゲームにならないか。

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