ファーストバイト 24
「ふん……作れねえくせに食材の見た目は頭に入ってんのか。お前はマジで……」
とサダノーミに深い溜め息を吐かれてしまった。
これは……ディスられまくる流れか? ……話題を変えよう。すたこらさっさ。
「サダノーミ」
「あん?」
「もしかして。『解体』スキルで手に入る肉の種類はランダムなんですか?」
「まあ、そういうこったな」
「1匹目が『豚バラ』で、2匹目は『豚ヒレ』でしたけど。狩りまくれば、牛肉とか鶏肉とか、それこそワニ肉とかも出ると?」
「いや。それは出ねえな。『解体』で手に入る肉の部位はランダムだが、何の肉かはモンスターごとにきっちりと決まってやがんだ」
「ふむふむ……ツノウサギからは『豚肉』しか出ないと」
「そうだ。いや……『そう思われてる』ってとこだな」
「うぇー……何かイヤな言い方しますねえ」
せっかく話題を変えたのに……これは却ってヤブヘビったか?
もぉー……と一息ついてから。聞いてみる。
「どういうことです?」
「アサミヤのヤツも言ってたろ。グルメファンタジア・オンラインでは食材の正解を公表してねえってな。プレイヤーの多くがツノウサギの肉を『豚肉』だと思ってるがそれを正解だとも不正解だとも公式は発表してねえ。アホなプレイヤーが問い合わせしてみたりもしたらしいが、当然、返ってきた答えは『言えません』だ。公式は何も認めねえ。だから、いちプレイヤーに過ぎない俺らには正解が分からねえ」
「でも。周知の事実って感じなんですよね。皆がそう思ってるなら、そうってことでいいんじゃないですか。……変に波風を立てなくても」
「そうかもな。プレイヤーたちはそう思ってる。信じ込んでる。だがそれが真実とは限らない。……ウチで出してた『親子丼』のワニ肉と同じだ。俺を含めた店の連中、それを食ってた客たちも、皆があの肉を鶏肉だと思ってた。だが」
……「俺を含めた」ですって。サダノーミは自分にキビシイなあ。あの「鶏肉」に違和感を覚えたからこそ、俺に「親子丼」を食わせたくせに。もぉー……。
「って。ちょちょいとお待ちを。あの肉が『ワニ肉じゃね?』って言ったのは確かに俺ですけど、それこそ俺が言ってるだけで。ワニ肉が正解とは限りませんよ。いや、不正解なんじゃねえかなあ。多数決で考えれば『鶏肉』の方が正解なんですよ」
……俺も何でこんなに否定的なことを言ってるのか。だって。何かイヤな予感しかしねえんですもん……。
「シキトー。『真実』は強ぇぞ」
「……いや。ちょっと何言ってるか分かんねえっす」




