ファーストバイト 23
「ふっ」
「また笑われた――ッ!? って、今度は何です?」
「俺のフレンドの話は疑うくせに俺が見たって話は信じるんだな」
「そりゃあ……」……山崎先輩は嘘が下手だから。嘘ついてたらすぐ分かるしな。
「……ふん。まあいい。最後の3匹目も倒して、今度はスキルで『解体』してみろ」
「ええ。またですか。そんな、ジェノサイドしなくても」
「いいからヤれ」
「へーい。サダノーミ様の仰せのままに」
てか、3匹目のツノウサギはまだこの場に居残ってるのか。
百歩譲って、同種が隣で蹴られていても自分に累が及ばなければ無視を決め込むというのは人間もまたそうであるかもしれないが、すぐ目の前で同種がぐちゃぐちゃに解体されていてもその場から逃げ出さないというのは……危機意識の欠如だ。
「……ふ。神ゲーと言っても所詮はゲームか……」
……いや、ちょっと待て。これが「正常性バイアス」の再現だとしたら、むしろ、リアリティーのある状況なのかもしれない。……神ゲー、侮るべからず……か?
「ぶつぶつ言ってねえで早くヤれ!」
「ぎゃんッ!? もー、わかってますよ。ちょっとした雰囲気作りじゃねえすか」
このままだとツノウサギより先に俺の方がサダノーミに狩られかねない。
ちゃちゃっとヤったりますか。
「キック! え~んど――キック!」
前の2匹と同様に2発のキックで3匹目のツノウサギも難無く撃破してしまう。
本当はキックだけじゃなくて、パンチやナイフを使っての一撃も試しておいた方が良かったんだろうけど。ツノウサギの体高的に蹴りやすすぎて、パンチやナイフでの一撃は当てづらかった。
キック2発で倒せるツノウサギはパンチなら何発で倒せるのか――同じ武器ナシの一撃でもキックとパンチで与ダメに違いが出るのか。ナイフで刺せば一撃で倒せたりするのか――武器アリとナシの差は。とか、気になるところではあったんだけどね。
「倒したな。ほら。ぼけっとするな。シキトー。さっさとスキルで『解体』しろ」
「へーい。ほー」
せっかち師匠が見守ってくださってるから。今は与えられたミッションをさっさとクリアしちまうことを優先するべさ。
「『解体』っとな」
倒したツノウサギが白い光に包まれて、消える。俺の手にまた肉が現れた――が、
「あれ? これは」
1匹目のときの「豚バラ肉のブロック」とは明らかに違う見た目の肉だった。
「……今度はヒレ肉っぽいすね」
「ほお。見た目で分かるのか」
「豚バラ肉のブロックだとか、豚ヒレ肉のブロックだったら、普通にスーパーの精肉コーナーで見るじゃないですか。分かりますよ」
「あん? シキトーって自分で料理とか」
「しません。できません。からっきしです。一人暮らしを始めてからも、パンだとかおにぎりだとかを買ってるんで。自炊はしてません」
「威張って言うことじゃねえぞ」
「ぎゃふんっす」




