ファーストバイト 22
「リアルだと500グラムくらいかな? ……あの大きさのツノウサギからたったの500グラムか。結構な食材ロスっすねえ……」
「だったら『解体』スキルを使わずにマニュアル――手作業でさばいてみるか?」
「そんなこともできるんですか?」
「ああ。上手くさばけば、さばいば分だけの肉を手に入れられるぞ」
「いや、上手くさばける自信は全くねえっすけど、あの大きさのツノウサギだったらどんなに下手にさばいてもさっきの肉の3倍の量は取れますでしょ」
――取れませんでした。
「はぁーッ!? なんすかこれ!? どーなってんすか!?」
俺は、3匹居たツノウサギの2匹目をまた蹴り&蹴りで倒して、今度は「解体」をせずにナイフでその御遺体を開いてみた。おおぅ、マジで開けるのか……とゲームの再現性に感心&感動したのも束の間、
「ほら! これ! どっからどー見ても肉の塊じゃねえっすか。さっきの肉と瓜二つじゃねえっすか。なのに、どうして、さっきの肉はアイテム『ツノウサギの肉』で、こっちの肉は名無しのオブジェクトなんすか。ぜんっぜん! アイテム化しねえ!」
しっかりとさばいているはずなのに、ゲーム判定的には「さばけていない」という状況に俺はプチ・パニックを起こしていた。
「ひひ、ひひひ……にく、にく、おれ、さばく、にく……にくぅーッ!」
「……シキトー。お前、楽しんでるだろ」
「秒でバレた――ッ!?」
「ふっ」
「鼻で笑われた――ッ!?」
閑話休題。
「いやでも。サダノーミ師匠。これマジで激ムズですよ。……てかホントに手作業でさばけるんですか? 『256発で例のモノリスは倒せる』並のガセネタなんじゃ」
結局、2匹目のツノウサギは俺の手によって大小無数の「名無しのオブジェクト」に切り分けられた後、薄っすらと発光しながら全て消え去った。お目当ての「肉」は少しも手に入らなかったが……ある意味、良かった。これがゲームじゃなかったら、今頃、辺り一面が……大惨事だった。
「嘘でもネタでもねえ。俺のフレンドは毎度、マニュアルでさばいてるらしいぞ」
「らしいぞって。担がれてんじゃないですか。まさに『モノリス』ですよ」
「ああ、確かに『毎度』ってのは大袈裟に言われたのかもしれねえけどな。2~3回なら実際に見たぞ。見事にさばいて倒したモンスターをアイテム化させてやがった」
「マジですかっ!? 凄えっすね……」
なのに俺がさばいた肉はアイテム化しなかった。うーん。どうしてだ。少なくとも「豚バラ肉のブロック」は1匹目のときの肉と見た目そっくりだったんだけどなあ。それも消えちまった。取り出した結果じゃなくて、さばく手順とかが重要なのか? そういったところはゲームなんだな。




