ファーストバイト 21
「……ん?」
いつの間に。視界の下部に「ツノウサギを倒しました。」とログが表示されとる。これは便利だな。残心の必要もナシか。よし。勝って兜の緒をほどこう。
「やりましたよ! サダノーミ! ツノウサギを倒しました」
「お。ホントに倒しきったか? 油断してると最後っ屁を食らわされるぞ」
「イタチじゃないし、ネズミでもないですから。あはは。ちゃんと『倒しました。』のログも表示されて、経験値も取得しましたよ。……『1』でしたけど」
何から何まで初心者向けだな。レベルを上げるには幾つの経験値が必要なんだ?
「そうか。よくやったな。そしたら、次はそのツノウサギを『解体』してみろ」
「あー……そういや、狩って、さばいて~でしたね。このミッションはまだ終わってなんかいなかったのか……っと。最初にもらったナイフでさばけばいいんですか?」
などと言ってはみたもののリアルで動物をさばいた経験なんか当然、無いし、その知識も無い。動物どころか魚すらイチからはさばいたことが無かった。俺様ちゃんは食べることは大好きでも作る方はからっきしなのだ。えっへん。
「あー、あー、ナイフなんか要らねえ」
「は……? 素手でさばくんですか? あ、まずは毛をむしり取れと?」
「違ぇよ。倒したツノウサギの前に立つとコマンドが出るだろ」
「コマンド……あ、なるほど」
さっき倒したツノウサギの御遺体の上に「解体」の文字が浮かんでいる。
「これを押せばいいわけですね」
ポチッとな。すると、
「おおっと!?」
ツノウサギの御遺体が白い光に包まれた――次の瞬間、ツノウサギは消え失せて、俺の手の上には肉の塊があった。大きさは、10センチ×15センチで厚さが5センチといったところか。その見た目は、赤身と脂身が層になっていて、豚バラ肉のブロックといった感じだった。……お手軽だなや。けれども――。




