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ファーストバイト 20

「ふッ。お楽しみの第一歩だ。ほれ。ツノウサギを狩ってこい」


「スパルタだなや……」


「骨は拾ってやる」


「骨になる手前で助けてくだせえ」


「気が向いたらな」


 真面目な話、没入型のVRMMORPGで「死ぬ」のって結構、しんどいんだよな。正直、苦手だ。遊び慣れてるゲームだったらまだどういう感じで「死ぬ」のかが分かってるから覚悟もできるけど、遊び始めたばかりのゲームで初めて「死ぬ」ことは、本当に怖い。出来ることならば、一度も「死」なずにこのゲームを遊び終えたいものだ。


「――が。いっちょ、かましたりますか」


 ツノウサギはミカン箱くらいのサイズで「ウサギ」と思えば大きいがモンスターにしては小さい気がする。威圧感は全くなかった。どころかコイツを狩るのか、リアルだったら完全に動物虐待だな……と別のチュウチョが生まれてしまいそうになる。


「……そのうち規制が入って、視界の隅っこに『これはゲームです』ってテロップが常駐するようになったりしてな」


 とか呟きながら俺は3匹のツノウサギたちに近付いて――みるも確かに向こうから襲ってはこないな。そしたら。悪いが先手必勝で――そのうちの1匹を思いっ切り、蹴ってみた。


「キューッ!?」


 ツノウサギは鳴きながら地面を転がった後、よろよろと体勢を立て直した。初心者向けでもモンスターだ。蹴り一発では倒せなかっ……ケリは付かなかったか。


 額のツノはしっかりとこちらに向けられている。よろよろしながらもツノウサギのヤル気はみなぎっていた。さすがはモンスターだ。逃げるという選択肢は無いのか。


 一緒に居た他の2匹も聞いていた話の通り、我関せずであらぬ方向を見ていた。


「ふっふっふ。すでに瀕死のツノウサギとのタイマンバトルならば……負けん!」


 俺は、よぼよぼの勢いで突進してきたツノウサギをひらりとかわして、そのケツにもう一度、蹴りを入れる。ツノウサギは、


「キューッ!!」


 と断末魔の叫びを上げて……倒れた。


「……超初心者の蹴り2発で倒せるのか。さすがは初心者向け」


 ゲーム開始時から所持していた装備品は「革の服」の他に「ハンティングナイフ」もあったが、こちらは「アイテム袋」に入れたまま、装備するのも忘れていた。……「武器や防具は持ってるだけじゃ意味がないぞ、ちゃんと装備するんだぞ」って誰も言ってくれなかったからなあ……。


「てか、素手の初心者でも倒せるなら、NPCでも倒せるんじゃねえか……?」


 凄く速く動けるとか、パンチで衝撃波を出すとかは――少なくとも今は、出来ないみたいだし。神の奇跡でパワーアップしてる実感は全くねえんですけど。この世界の一般人はもっともっともっと弱いんかな。

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