ファーストバイト 18
人の行き交う大通りを抜けて、大きな門から外に出る。街は背の高い壁に囲まれていて、出入り口となる門は東西南北の4ヶ所しかなかった。
「最初だからな。東の平原でいいだろ」
「はあ。初心者向けのエリアですか」
街中ほど多くはなかったが「東の平原」にもちらほらとプレイヤーたちの姿が見て取れた。皆、俺と同じような格好をしている。初期装備の「革の服」だろう。
ちなみにサダノーミは「鉄の胸当て」を装備していた。……お肉が邪魔して普通の鎧は身に付けられないのだろうか。もしくはその肉厚が最強の防御力を誇っていて、鉄製の鎧などは必要ないということか……――などという冗談はさておき。
「俺なんかゲームを始めたばかりで初心者を名乗るのもおこがましいような超初心者ですけど、サダノーミのランクはどれくらいになるんです? 中級者? 上級者?」
「そんなことは知らん」
「知らんのですかい」
「だがまあ、この辺りのモンスターに遅れを取ることはまずねえから安心しろ」
ふむ。初心者は卒業してると。……フラグじゃねえすよね?
「そんで。サダノーミ師匠。今日はこの辺に出るモンスターを狩って、さばいて~をやるわけですか」
「そういうことだ。まずはここのツノウサギからだな」
ツノウサギか……俺の灰色の小さな脳細胞が導き出すに、もしかしたら、そいつはツノの生えたウサギのカタチをしているのでは。
「ほら見ろ。あそこに居るヤツだ」
うん。やっぱり。その見た目は額に小さなツノの生えたウサギだった。
「あれに喧嘩を売るんですか?」
「ケンカっつーか、タマの取り合いだな。頑張れ。シキトー」
「尋常じゃねえっすね……てか、3匹も居るんですけど。多くないですか。2対3になりますけど」
「あ? 2対3? おいおい。俺は今回、見てるだけだぞ。お前が頑張れ」
……は? 俺、今回が初の戦闘で。サダノーミに無理矢理、連れてこられたんですけど。頼んでもないのに。強制的に頑張らされるんですか? これは何ハラですか?
「ちょいちょいちょい。ほんの数秒前に『この辺りのモンスターに遅れを取ることはまずねえから安心しろ』なんて言ってくれてたじゃ、あーりませんか。サダノーミが俺を守ってくれるんじゃないんですか? 俺は何に『安心』させられたんですか」
「万が一にも俺がツノウサギごときにやられて死ぬこたぁねえって話だ。俺の心配は要らねえ。そこは安心しろ。シキトーはシキトーで自分のことだけを考えて頑張れ」
そんな心配は初めからしてねえっすよ……。




