ファーストバイト 16
「って。だから。何処にですか?」
「……もしかして。また何も話してないんですか?」
アサミヤに言われて「む……」とサダノーミが口を結んだ。
「シキトーさんは前回もサダノーミに連れてこられただけだったとか。もしかしたらシキトーさんはこのグルメファンタジア・オンラインがどういったゲームかもご存知ないのでは?」
「そう……ですね」
俺にとってのグルメファンタジア・オンラインは現実と同等らしいクオリティーのモノを味わえるツールみたいなもので、ゲームとしては何もご存知していなかった。
「グルメファンタジア・オンラインは、モンスターを狩って、食材を集めて、料理を作って、食べることを楽しむゲームです。初めのうちは弱いモンスターしか倒せず、得られる食材にも限りはあるでしょうが、次第に世界は広がっていきますから」
なるほど。分かりやすい説明だ。前回の俺はこのゲームの4分の1程度しか触れていなかったということか。
「我々、プレイヤーがどうしてそんなことをしているのか、ゲーム内の設定なんかもご説明しましょうか?」
「ええと……」――ちらりと横目でサダノーミを見てみる。サダノーミは退屈そうに首を回していた。……うん。なので。今日のところは、
「教えてください。よろしくお願いします。アサミヤさん」
あえて聞くことにしよう。
「こら。シキトー!」とまたサダノーミがアサミヤよりも先に反応してくれた。
「あははははは」
「ええ……あの、どうしましょう。冗談ですか?」
おっと。アサミヤさんを困らせてしまった。
「いえ、冗談ではなくて。ゲームの設定は知っておきたいですよ。より楽しむ為にはバックボーンも大切ですから」
「説明書を読め」
「あ、じゃあ今から読んできますから。今日はログアウトで」
「アサミヤ。10秒でさくっと教えてやれ」
俺とサダノーミのやりとりをアサミヤはハラハラした様子で見守ってくれていた。俺にとってのサダノーミと、アサミヤにとってのサダノーミはきっと違うのだろう。どう違うのかは知らんけど。アサミヤにとっては目の上のタンコブか? あはは。
「え、あの、10秒は、ちょっと……」
……真面目だねえ。良い子だねえ。
「アサミヤさんのさっきのゲームの説明がシンプルでとても分かりやすかったので、あの感じで軽くお願いできますか? 秒数は考えなくていいので」




