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ファーストバイト 14

 ……「ボーダー・リバー」? 話の流れ的には先輩の店の名前だよな。ふむふむ。「サダノーミ」で「ボーダー・リバー」か。なるほど。


「先日はシキトーさんに失礼な物言いをしてしまいまして」


「……はて?」


「ええ。『へッ、どうせカエルの肉だとでも言うんだろ。鶏肉とカエルの肉が似てるってのは漫画なんかでよく見るベッタベタな定番ネタだからな』ですとか」


「ああ――」……あのときの店員A氏か。すまん。忘れてたというか覚えてなかったというか認識してなかったというか……アサミヤさんね。はい。今回は覚えました。栗色のショートヘアのアサミヤ。すみません。そんなダメダメな俺に引き替え――。


「凄いですね。アサミヤさん。よく覚えていましたね。自分が言った言葉とはいえ、一言一句そのまま……かどうかは俺の方が覚えていられていませんけど」


「あとでログを確認しましたので。お恥ずかしい。あの時は気が高ぶっていまして」


 ほうほうほう……。そんなことも出来るのか。ゲームだからこその確認方法だな。これを便利と見るか怖いと見るべきか。うむ。このこともちゃんと覚えておこう。


「人間ですから。そういうときもありますよね。どうかお気になさらず」


「本日はシキトーさんにその折の謝罪とお礼の言葉をお伝えさせていただきたくて」


「いえ。そんな……」……ん? お礼……?


「あの、アサミヤさん。謝罪は別に必要ないのですが、ああ、いや、それでアサミヤさんの胸のつかえが取れたりするなら、いくらでも謝罪は受け入れますが、お礼っていうのは何のことです?」


「ええ。先日、シキトーさんからご指摘をいただいて、当店の『とろふわ親子丼』は現在、提供を中止しております」


「んん? それは……申し訳ない」


 ゲームの中のお店の話だ。オオゴトなのか、そうでないのか、よくわからないが。俺の言動が自分で予期していなかった結果を招いてしまったことは事実だ。


「あれから、私を含めて、店員のほとんどがリアルでワニ肉をいただいてみました。確かに鶏肉――若鶏と似ていると感じました。その後で『とろふわ親子丼』を食べてみたのですが……言われてみればといった感じです。先に言われていたからどうにか気付けたといったレベルで、もし過去にワニ肉を食べた経験があったとしても言われていなければ分からなかったと思います。シキトーさんの舌の感覚の鋭さには改めて驚かされました」


「アサミヤさんは俺の舌の感覚の鋭さに舌を巻いてくださったと」


 俺はドヤ顔でうまいことを言ってやった。こんしんのいちげきだ。

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