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ファーストバイト 11

 罰するのは俺じゃなくて、このゲームの運営チームの仕事だ。


 だから。別に。俺に「言い訳」を述べ立てる必要は全くないんだけどなあ……。


「俺たちは『この肉』を『鶏肉』だと思ってた。いや、今も思ってるだろう」


「はあ」


「だが、この『鶏肉』に俺だけが多少の違和感を覚えていた」


「となると、やっぱり、サダノーミは故意に食品偽装していたということに……」


「はっはっはっは! それを言われると厳しいな。ただ俺にも確信は無くてな。他の連中が皆して『鶏肉だ』って言ってる中、『いいや、ゼッタイに違う』とは言い切れなかった。……悔しいが俺の舌だと『違和感』止まりだったからな」


 サダノーミはしかめっ面を見せた後、一転して、ニヤッと笑った。ゲームの中とは思えないような表情の変化だがイマドキはこの程度、リアルでプレイヤーが装着しているゴーグルの下の顔の筋肉の動きを読み取って、自動的に表現してくれるのだ。


 山崎先輩が「しかめっ面」ボタンをポチッとした後で「ニヤッ」ボタンをポチッとしたわけじゃない。先輩はそんなあざとい演出はしない――俺じゃあないんだから。というか先輩にはそんなことは出来やしないと思われる。


「待たせたな。シキトー。ここでやっと本題だ」


「はあ。本題……なんでしょう?」


「この『親子丼』に使用されている肉は……何の肉だと思う?」


「何の肉……」……と言われても。所詮はゲームの中のデータでっしゃろ。


「……『鶏肉を再現しようとしてビミョーに失敗したモノ』ではないんですか?」


「ここはグルメファンタジア・オンラインだ。んなこたぁ、ありえねえ」


 えらい自信……というか信頼だな。それほどのもんなのか。グルメファンタジア・オンラインってのは。


「となると。これは鶏肉じゃない別の何かの肉を正確に再現しているんだと?」


「そういうことだ」


 ……ふむ。


「んで、シキトーはこの肉を何の肉だと思う? って話だ」


「へッ、どうせカエルの肉だとでも言うんだろ。鶏肉とカエルの肉が似てるってのは漫画なんかでよく見るベッタベタな定番ネタだからな」


 なんとまあ、絵に描いたような悪態を。店員の一人が聞えよがしに呟いてくれた。キミ……なかなかに良いキャラしてるじゃないか。だが、しかし……詰めが甘いな。


「カエルの肉かあ……カエルだったらもっと弱いはずなんだよね。淡白な味わいではあるんだけど、カエルは鶏肉というよりも白身魚に近い気がする。まあね、鮮度とか部位とか料理方法でいくらでも印象なんかは変わるとは思うんだけど」


 今回は親子丼だった。しかも調理した人間はこの肉を鶏肉だと思って扱っている。カエルの肉をただ親子丼風に仕立てたなら、あの肉の感じにはならないはずだ。

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