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【第7話】公爵様邸での晩餐会

夕方 〜


私は仕事が終わり、家路を急いだ。



(…シャルルは大丈夫かしら……)



「ただいまー…」


すると、



「よー、おかえり!」



シャルルは家の入り口で出迎えてくれた。


「…シャルル!?大丈夫なの?」


「ああ!だいぶ良くなったぜ!」



「……そう。良かった。」


「…クレアのおかげだ。…ありがとう。」


シャルルはちょっとだけ、照れくさそうに言った。


「…ううん、全然。シャルルが元気になってくれてよかった…。」



私は心から安心した。



「…ていうか、シャルル、…なんか家の中イイにおいしない?」


私はクンクンと鼻をならした。


「あ!気づいた?そそ、昨日作ってくれたスープのキノコが残ってたからさ、あとチーズとタマゴ見つけたからオムレツ作ったんだ!」


「え!?シャルルそんな事できるの!?」


「俺、結構料理得意なんだぜ!」


そうなんだ…確かにパンの耳ラスクを作った時も手際が良かったな…。


「具材はクレアの家のだけど、昨日のお返しだ!」


シャルルはいつも通りケラケラと笑ってた。



「…ありがとう。シャルル。」


「すぐ食べる?準備しようか?」


シャルルが聞いてきた。



「あ、でも、実は今日、公爵様の家に呼ばれてるんだ。」


「……えっ!そうなんだ……!」


「うん…。昨日取ったキノコを知り合いに振る舞いたいって言ってて…。料理をしにお城に行くんだ。」


「……そうか。じゃあ俺もクレアの家からすぐ出ていかないとな。」


「えっ?なんで?」


「……だって、レオンの奴がクレアを迎えに来るだろ?俺が居たら都合悪くね?」



「…?……一人で行くよ?」


「ハァ!?フツー迎えに来るだろ?」


「……特に何も言われてないけど?………」



……少し沈黙が流れた。



「…………そうか。分かった!じゃあ俺がクレアをレオンの所まで送ってやる!」


「えっ!まだ身体が本調子じゃないでしょ!いいのよ、無理しなくて…。」


「だって着く頃には少し暗くなってるだろ?それに……。」


「それに……なに?」


「それに、一回レオンを見とこうと思ってな。」



……確かに、シャルルと公爵様は会った事がなかった。



「…分かったわ。ありがとう。」


「じゃあオムレツは俺が一人で平らげておくよ!ケラケラ!」


「もう!……私の分も残しといてね!」


「クレアはレオンの家で食って帰るだろ?」


「……そか。」


「……よし、じゃあクレアの準備が出来たら行くぞ!」



…私はシャルルが選んでくれたドレスに着替えて、公爵様のお城に向かった。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


二人でお城へ行く途中…。


「ありがとう、シャルル。ついてきてくれて。」


「…ああ。なんせ俺は『恋愛成就』の魔法で呼び出された身だからな…。」


「……………。」


「………ねえ、シャルル…。」


「…なんだ?クレア…。」


「もし、もしもよ…。私と公爵様との恋愛が成就したら、シャルルはどうなるの…?」


「………そしたら俺は魔法が終わってドラキュラ国へ戻される。」



「……………。」



「それじゃあ………それじゃあもし、いつまでも私と公爵様との恋愛が成就しなかったら…?」


「…そしたら俺はドラキュラ国へ戻れない。」


「……そう…。」



私はシャルルに、ドラキュラ国へ戻りたいか聞こうとしたが、やめた。

…シャルルもそれ以上、何も言わなかった。



そして、公爵様のお城に着いた。


お城の玄関で、公爵様は出迎えてくれた。


「やあ、クレア。今日は来てくれてありがとう。」


「いえ、公爵様。こちらこそ、お招きいただいてありがとうございます。」


「他の公爵達もお見えだ。早速クレアの事を紹介させてもらうよ…………そちらの方は……?」


公爵様はシャルルに目をやった。


「あっこちらは、私の『いとこみたいなもの』です…。」


「ほう……レオンだ。よろしく。」


公爵様はシャルルに片手を差し出した。


その時、




「…………なあレオン……なんでクレアを迎えに来なかったんだ?」




シャルルは思わぬ事を口にした。


「ち、ちょっとシャルル!……」


私は驚いて静止した。


「………シャルル君…かな?…すまないがキミはここまでで結構だ。クレアの用心棒をしてくれたみたいでありがとう。」


そういうと、公爵様は私の手を取り、お城の中へ招き入れた。



「…シャルル……。」



◇◇◇


中へ入ると、そこは別世界のようだった。


「……素敵…。」


天井の高さや家具の質、窓のデザイン、じゅうたんの柔らかさに私は感動すら覚えた。



「クレア、こっちだ。」



私は公爵様に案内され、すでに来ていた公爵様達にごあいさつをした。


「ク、クレアでございます。今宵は私が珍しいキノコを使った料理をお作りさせていただきます。」


私はドレスの裾を軽く持ち上げ、皆様に会釈をした。


すると、公爵様達もみなさん丁寧にごあいさつしてくれた。



「……じゃあクレア、早速頼むよ。」


「は、はい。公爵様。」


私は厨房に入り、順番に料理を作っていった。


広間からみなさんの話し声が聞こえてくる。


政治や経済、軍事といった、難しい話もしている。


「やっぱりすごいなあ…。」


私は、自分がひどく場違いな気がしてきた。



そして料理がひとまず完成し、みなさんの前にお出しした。


「こ、こちらはイオニアのキノコのソテーでございます。」


『ほう…キノコの中がサファイアのように光っている…!本当に不思議なキノコだな…。それに味も食べたことのない感覚だ…。』


…みなさんから感嘆の声が漏れる。


順番にお出しした料理は全てみなさんのお気に召されているようだ…。


そして、


「では、次の料理の準備をいたします。」


私はそういうと、また厨房に入った。


広間からみなさんの声が聞こえる。


『レオン、本当に素晴らしい料理だ。…それに……あの女性は誰なんだ?』



……私の話をしているようだ。



公爵様の声は聞き取れないが、みなさんの中からこんな声も聞こえてきた。


『レオンもそろそろ妻をめとる頃じゃないのか?……さっきの彼女なんてどうなんだ?………』


…公爵様の声は聞こえない。すると、



『ただ、彼女の素性や家柄はしっかりと確認しておけよ……なにせ公爵家に嫁いで来る身になる訳だからな……』



…こんな声も聞こえてきた…。



「素性、家柄………か…。」



私は、なんとなく不安な気持ちになりながら、引き続き料理をお出ししていった……。


◇◇◇


そして晩餐会は終わった。


「クレア、本当にありがとう。どれも最高だった。」


公爵様は笑顔で喜んでくれた。


「みなさんが喜んでくださったのなら、私も嬉しいです。」


私はとりあえずホッとした。


「帰りはジイヤに送らそう。辺りもすっかり暗くなったからな。」


…帰りはお付きの人が送ってくださるようだ。



「なあ、クレア…。」


「はい、なんでしょう公爵様。」


公爵様が話しかけてきた。



「私は、クレアを一人の女性として見ているつもりだ。」



「は…?はあ……。」



…私は公爵様が言っている意味がよく分からなかった。


ともかく、お付きの人とともに帰路についた。


◇◇◇


『いやー!クレア殿!見事な料理の腕前でしたぞ!この【フェンダーバルザック=シュバイツァーモンテーニュ 4世】本当に感動しましたぞ!』


『そ、そうですか…ありがとうございます。』(お付きの人、そんな名前だったんだ…で、料理食べたんだ…ジジイ…)


◇◇◇


「あ、ここで大丈夫です。お送りいただいてありがとうございます。お気をつけてお帰りください。」


「うむ!ではクレア殿、さらばじゃ!」


…そして私は家の中に入った。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆



家には誰もいなかった…。


「シャルル、居ないのかな……」


…テーブルにはシャルルが作ったオムレツが残されていた。



「なんだ、残してくれてるんだ……。」


…私は結局、公爵様のおうちでは何も食べなかった。



「……お腹すいたな…。」



私はお茶をコップに注ぎ、オムレツを食べる事にした。


「おいしい…!」


シャルルの作ったオムレツはすでに冷えていたが、それでも美味しかった。


食べ終わると食器を片付けてお風呂に入った。


…お風呂から上がっても、シャルルが戻ってくる様子はなかった。



(なんか、寂しいな………)



昨日はシャルルが寝ていた自分のベッドで、私は眠った…。

読んでいただきありがとうございます(^-^)

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