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【書籍化】TS剣闘士は異世界で何を見るか。  作者: サイリウム
日常編

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50/86

50:そりゃ焦る

間違えて二話分予約投稿しちゃいました、こちらは一つ目になります。




ということで魔法を含めた戦闘、剣あり魔法ありの何でもありな模擬戦を開始しようとしたんだけど……。



「あ、焦ったぁ……。」



肉体的疲労よりも精神的疲労、急に生じたピンチを潜り抜けた後に来る安堵感からついため息をついてしまう。この身を挺して全力で割り込んだおかげか、何とかお家へのダメージはゼロ。まぁ突風で髪が乱れ服の一部が破損、火炎に煽られたせいで体中が煤けているが肉体へのダメージはない。最悪の事態、『お家バイバイ』は避けられた。



「あ、あはは……。」


「ど、どどどどどうししししし!!!! だ、大丈夫ですか!?」



普段使いのロングソードで危機を脱した私の後ろには、気まずそうに私から視線をずらしているアルと、慌てて完全に混乱状態に陥ったマリーナがいた。まぁ自分たちのせいで家吹き飛びそうになったらそういう顔しても仕方ないと思うけどさ。マリーナちゃんは私のこと心配してくれてるのに、アルは全然心配してないのはどういうこと?



「いやだって師匠ですし、無傷でしょ?」


「いやまぁそうですけど。」


「な、なんで!? さっき完全に暴発していましたわよ!?」



いやなんでって言われても……、鍛えてるから? ほら筋肉万能説、聞いたことない? ただ筋肉を肥大させるんじゃなくて、増えて徐々に大きくなる筋繊維を上から筋肉で押さえつけることで肉体美を維持しながら筋力の増強ができるっていう……。結果的に下手な皮鎧よりは固い肉体と、大概のものを握りつぶせるパワーが手に入ったってわけ。ま、その代償として体重がえぐいことになってるんだけど。



「あ、あの? アルさん? これもしかして私がおかしい奴ですか?」


「うにゃ、師匠がおかしい。人間じゃない、おばけ。」


「……聞こえてるからな、君たち?」



思いっきり馬鹿にしているというか、信じられない物を見るような目でこっち見てるけどこの体純粋にこの世界の人間のものだからな? つまり私に師事して私がこうなった原因であるトレーニングを課される君たちもこうなるんだからな? いつか私と同じようなことが出来るようになって遠い目するようになるからな?



「まぁいい。とりあえず魔法戦は中止、今から剣の訓練始めるから切り替えなさいな。」



さて、かなり話がずれちゃったけど。なんでこうなったのかの説明でもしていきましょうか。





 ◇◆◇◆◇





「よしよし、じゃあもう息も整ったようだし……。魔法戦と行きましょうか! 位置について~、の前に?」



さて、これから魔法戦なわけだが……。本来ならば非常に気を付けないといけないことがある。模擬戦なのに殺し合いに発展しちゃう、ってとこだね。元々魔法ってものはかなり強力な力だ、帝国が建国された時に魔法使いたちは貴族として国に囲われたってのは有名な話で、強大な力の象徴ってところもある。まぁ簡単に言うと、ワンフレーズ唱えるだけで人を軽く殺せてしまう力ってコト。


アルも魔法使いとして覚醒し始めているし、マリーナも初めて会った時から風の魔法使いだ。ヘンリ様が呼んでくれた教師から魔法を学ぶ、って話だったけど実戦や剣術と合わせた戦闘を教えるのは私の役目。だから何か参考になるかな、って調べてたんだけど出るわ出るわの模擬戦時の事故。魔法の出力を間違えて相手を殺しちゃった♡ って記録がどっさり。しかも魔法って貴族の技だからそこら辺の責任問題がこれでもかと……。



「だからとっても気を付けて欲しいのは確かなんだけど、戦いに集中するあまり加減をミスってしまうのはよくある話。というわけで二人に支給品~。」



手の平に収まるサイズ、首からかけるタイプの魔道具を二人に投げ渡す。



「アルは見たことあるよね? 耐魔法の魔道具。使用者に降りかかる魔法を打ち消す道具だね。」



ちょっと鍛冶師のドロに任せて細かいところとか整えてもらったけど、その中身はアルの故郷を襲った盗賊たちが所持していた耐魔法の魔道具。ヘンリエッタ様に証拠品として提出してた奴ね? 騒動を収めた報酬&マリーナちゃんの面倒を見ることに対しての報酬としていくつか融通してもらった。ちなみに本来なら所有者も魔法が使えなくなる道具なんだけど、ドロちゃんがなんか頑張ってくれたおかげで使えるようになっている。


つまり『私は魔法自由に使えるけど、お前の魔法は効きませ~ん!』状態になれる魔道具ってわけ。まぁ時間制限あるけどね?



「効果は五分程度、その円柱型のカプセルの中に光る赤い眼玉みたいなのあるでしょ? その光が無くなったら効果は終了。試合開始の合図とともにスイッチを入れて、模擬戦の終わりはその効果が切れるまで。一応こっちでも時間計っとくけど……、OK?」


「了解です。」


「こ、これとても高い……。わ、解りました!」



戦闘モードに入ってるのですぐに受け入れるアルと、やっぱりまだ切り替えに時間が掛かるマリーナで反応が別れる。ちなみにマリーナのいう通りかなりの高級品だそうだ。まぁ高価な理由は魔道具の根幹である魔物素材の希少さ、らしいけどね?


そんなことを考えながら懐から砂時計を取り出し、机に置く。昨日夜なべしてチマチマ砂の量を調節して魔道具の効果時間と合わせたお手製の品だ。効果時間切れた後に魔法の打ち合いしてたら大惨事につながるからね、そこら辺の手間は惜しまないのよ。


というかドロちゃんさ。お前さんマジでなんでも出来るんですな。最初は剣とか鎧だけかと思ってたのに魔道具まで改良できるとか……。



「それに私の我儘もいくつか聞いてもらってるし、ほんと頭が上がんない……。っと、そろそろ準備いいかい?」



私の問いに頷くことで返す二人、マリーナは先ほどと同じ構えを。アルは私の教えたカウンターの型ではなく、剣を片手で持ち自然体のスタイルに。いつでもルーンを刻めるようにしたそれは、剣での守りと攻めを半ば放棄しルーンによる魔法攻撃で攻め立てる攻撃的なスタイル。


アルに教えている戦い方は、今彼女がしている『敵が遠中距離を想定した魔法スタイル』と、さっきの模擬戦で見せた『敵が近距離にいるときを想定したカウンタースタイル』の二つ。後者の方は奴隷の時から教えているから大丈夫そうだったけど、魔法スタイルは最近練習し始めたばかり。今回の模擬戦でその習熟を見せてもらうことになる。


対してマリーナの構えは先ほどと同じ。私やアルはルーンを使うため片方の手を空ける必要があるが、彼女は違う。帝国における一般的な魔法の使い方、詠唱魔法を使う彼女にとって片手を空ける必要はない。大きい効果を及ぼそうとすると長ったらしい呪文を唱えないといけないらしいが、それでも両手が空くっていうアドバンテージは非常に大きい。



「いいみたいだね。……じゃ、始め!」






「『(ウィンド)』ッ!」


「ᚲ(カノ)ッ!」




私の声と同時に、両者の魔法がほぼ同時に起動する。本来であればワンフレーズの魔術と、ルーンの起動であればどう考えても前者の方が早い。だが、アルはずっと一つのルーン。火のルーンであるᚲ(カノ)の練習をずっとしていた。その反復練習が形になったのだろう。バレーボール程の大きさの火球がマリーナに向かって直進し、その火球が突如発生した風によってかき消される。


次の行動が早かったのが、アル。どうしても魔法を世界に反映させるのに時間が掛かってしまう彼女からすれば、このまま遠距離での撃ち合いは避けるべき状態。火球の生成が終わった瞬間にはすでに踏み出していて、火球の陰に隠れるようにしながら距離を詰める。



(詠唱魔法は『火球(ファイアボール)』と唱えれば火球が出来るけど、ルーン魔法のᚲ(カノ)は単に火を生み出すだけ。そこから球体への加工が必要になってしまう。二人の実力じゃまだ大規模、高火力な魔法は使えない。小規模で短詠唱の魔法戦が基本ってわけね。)



そうなると長い詠唱の隙を突いて、一文字書くだけのルーンでなんとかするという方法は使えない。それを考えればアルの距離を詰めるっていう選択は間違っていない。それに彼女の風魔法の練度的に、発動者に近すぎるとフレンドリーファイアしちゃうっていう欠点もあるしね。



「さて、マリーナはどうするのかな?」



魔法を起動させた直後。即座に動いたアルと比べ、ワンテンポ遅れたマリーナだったがそれでも慌てず次の行動へと移る。先ほどの模擬戦の結果を考えれば、接近戦は彼女の不利。勝ち筋が狙えるのは遠距離での魔法戦のみ、つまり彼女が望むのは距離を作ること。閉じられようとしていた口がもう一度言葉を紡ぎ始める。



「『風槍(ウィンドランス)』ッ!」



次に彼女が唱えたのは、2節の魔法。通常の槍よりも二回りほど大きな風の魔槍を生成し、アルへと投擲する。込められた魔力量から、常人であれば確実にバラバラにされる威力だろう。その威力を距離を取らせるためだけに使うってことは……、マリーナの魔力量って思ったより大きいのかもね。



「ッ! ᛚ(ラグズ)!」



それに対してアルが選択したのは、回避ではなく防御。水のルーンを宙へと刻み、自身の身の周りに水球を生成する。本来その身に突き刺さるはずだった風槍は水球によって受け止められ、無力化される。しかしながら風自体の威力を全て殺すことはできなかったのか、アルを包んだ水球が後方へと転がり、霧散。結果的に距離を取られてしまった。


確かに風系統の魔法だけあって、風槍はかなりの速度が出ていた。距離を取られてしまうとしても回避を諦めて防御をすることでその身を守るという選択肢は間違いではない。むしろ通常であれば模範的な回答だろう。



(でも私の弟子だったらそれぐらい避けて欲しい、って思っちゃうのは期待しすぎかな、アル?)



もう少し視野を広く持って、相手の動作をつぶさに確認できていれば『加速』を持たない彼女でも回避することは可能だったと思う。実際等速の私でもあれぐらい欠伸しながら避けられるし。マリーナちゃんの詠唱速度がそこまで早くないからこそ避けられるってのもあるだろうけど……、今後はそういう"選択"について叩き込んであげた方がいいかもね。



「攻撃は最大の防御。何かされる前に、ヤる。これ基本だからね~。」



私がアルの課題をメモしている間も、二人の戦いは続いていく。


どうにかして近づこうとするアルと、風魔法によって距離を維持しようとするマリーナ。依然として距離は最初の二人の位置から変わっていないが、これは決してマリーナの有利を意味するものではない。彼女たちの魔法戦を少し見れば理解できるが、アルの防御として使用している水球。自身の周りを水で満たすという戦法がマリーナにとってかなり厄介な存在となっている。


水というものは便利なもんで、人間は内部で呼吸できないという欠点を除けば、かなりのものを吸収・無効化してくれる。もちろん電気とかは別だけど、マリーナが扱う風は十分含まれている。彼女が扱う風がもっと強力で、より強く大きな風を起こすことが出来れば話は変わっていたのだろうが、そのすべてが吸収されてしまっている。


風の槍は水によって受け止められ、後方へと逸らされてしまう。風の砲弾も同じように受け止められ、背後に流れるのは気持ちの良いそよ風のみ。もっと威力があればすべての水を弾き飛ばすことが出来たのだろうが、マリーナの力では未だ不可能のようだ。



(かといってアルもアルで攻め切れていない。)



水球で風をいなすことは出来ているが、その風で水球ごと押し出されていることは確か。息継ぎをしながら火球を放ち、同時に距離を詰めるという器用なことをしているのだが、マリーナちゃんの攻勢が激しくうまく行っていない。やはり純粋な魔法の熟練度に関してはマリーナの方に軍配が上がるみたいで、火球を消しながら距離を取るためにアルを攻撃するっていう彼女の策をまだ破れそうにない。



(火球の数を増やす、とか。火の形を変える、火以外を使うとかの案はあるんだろうけど、考えにアルの熟練度が追いついてないかんじかな?)



そんなこんなで膠着状態が続く中、ふと砂時計を見てみればあと数十秒で砂が切れそうである。そろそろ切り上げた方がよさそうだ。



「二人とも! そろそろ時間だから悔いがないようにぶっぱなしなさいな!」



やっぱ最後は大技でフィニッシュでしょ、と安易な考えからそう提案する。二人ともちゃんと私の声を聴きとれたようで、アルは複数のルーンを宙に。マリーナは剣を地面に突き刺し支えとしながら、長めの詠唱を唱え始めた。




「我らが祖、偉大なるベントゥスの末裔が告げる!」


「火のルーン、ᚲ(カノ)! 力のルーン、ᚢ(ウルズ)!」





「風の激流より疾き烈弾、我が手より放たん!」


「富のルーン、ᚠ(フェイヒュー)!」




マリーナの周囲に集まっていた淡い緑色の魔力が少しずつ集積し、彼女の周囲を高速で回転し続ける巨大な風の弾へと変貌する。対してアルの目の前には三つのルーンが刻まれ、その意志によってそのすべてが一点に向かって収束する。三つのルーンが混じり合い一つの点となった瞬間、弾かれたように巨大な火炎の球体が生成される。


両者ともに、一対一の戦闘では隙が大きすぎて使えない魔法。この世界において人間が起こせる奇跡、その一端。


それぞれが出し切れる全力をもって作られた二つの弾丸が、今。




「『強風砲撃(ハイウィンドバズーカ)』」


「焼き尽くせ! 火炎弾!」



ぶつかり合う。

















<加速>十倍速


…………うん、ちょっと待ってくれる?




ここ、私の家の、庭だよね?


うん、そうだよね。間違ってないよね?



まだ奴隷解放から一年も経ってない現在、解放されてから買った私の家。帝都の中でも貴族街に次ぐレベルで治安が良くて、重要機関への交通の便も悪くなくて、下水道もしっかり機能してて、なおかつアルと二人で暮らして結構ゆとりがあるスペースの素晴らしいお家。馬小屋を作ってもまだアルや私が鍛錬できるぐらい広いお庭があるお家。


その分お値段も結構張ってて、土地合わせて8000万ツケロ。内部の家具も合わせたらかなりの貴重品も置いてあるから、実質1億行っててもおかしくないお家。


……そんなお家の庭で? 2m弱の火球と? 風球が? 激突しようとしてる?



(ま、まままままだ慌てるような時間じゃァない!)



さっきの火球と、風の激突みたいに打ち消し合ってくれれば……!


万が一のために手に持っていた訓練用の剣をしっかりと握りしめながら、様子を窺う。こういうサイズのデカい魔法となると、さすがに剣で打ち消すのは難しい。いや正確に言うと打ち消すことは出来るが、周りへの被害が大きくなりすぎる。願わくば私が介入しなくてもいい感じに打ち消し合って消滅してくれれば……




だが、私の願いは届かなかった。




おそらく球体と球体の接地面が悪かったのだろう。高速で射出された球体たちはぶつかり合い……、消滅せず、その場で拮抗し始める。本来ならばそのまま少しずつ両者の保有する魔力が消費されて行き、何もなかったかのように消えていくのだろうが、相性が悪かった。いや良すぎたというべきだろう。


大きな風の塊は、周囲に浮かぶ酸素も共に集まっている。そして酸素は、火の燃料。


本来なら小さくなるはずの火球と風球は、混ざり合い、一つの大きな火炎玉に。しかも変に球体同士がずれたせいで、私の方に。私の背後にあるお家の方に進み始めている。



「「ッ!」」



更に運が悪いことに、魔法が混じり合ったとこでアルとマリーナの二人から球体への命令権が失われる。その結果制御に使用されていた魔力が解き放たれ、先ほどの酸素と同じように燃料になってしまう。この瞬間目の前に存在している物体は、魔力によって作られた魔法から、単純にクソデカい火球に。外気を吸収して燃料にしながらすべてを燃やし尽くす災厄の完成だ。


つまり。



もう誰も止められないぞ♡




「ぴ、ぴゃぁぁぁぁぁぁ!!!!!」




吹き飛ぶ! 全部吹き飛んじゃう! お家が! お家が!


し、仕方ない! ここは最強無敵(異形に実質一敗)のビクトリア様が『加速』パゥワァーと有り余る筋力で吹き飛ばして進ぜよう!



そう考えながら自身の手に握られていた模擬戦用の剣でクソでか火球を消し飛ばそうと振りかかるが……。



(あれ、なんか刃を火球に入れた直後からどんどん剣が軽く……!?)



と、溶けてるぅ! 剣が! 剣が根元から! 溶けちゃってる! 鉄が溶けた!? あと私も若干燃えてる!


あわ、あわわわわわ! 不味い、まずい! お家が! お家が無くなっちゃう! 家無し! 野宿! 困る! それ以上に家の中の金庫には私やアルが市民であることを保証する書類とかがある! アレが溶けたら色々終わる!



「ま、まだまだァ!!!!」



<加速>十二倍速



限界を振り絞り、さらに時間を引き延ばす。急いで家の中に飛び込み、取り出したるは鍛冶師のドロが『そういや魔法も使うんやって? せやったら今の鋼鉄に芯・ミスリルやと魔法使いにくいやろ。ほら魔法剣とか。せやから全部ミスリルの作っといたで! ……あ、お代はちゃんと頂くけどな。』と言いながら打ってくれた奴!



「ᛁ(イサ)! ᚺ(ハガラズ)! ᚱ(ライド)!」



対象はミスリルの剣と、眼前の大火球。体内にあるほとんどの魔力を差し出して宙に描くのは氷のルーンと天災のルーン。氷という属性を追加することで、複数の意を持つ天災の要素を確定させ、威力を高める。そこに導きのルーンを追加することで加速した世界に対応できないルーンたちの速度を、少しでも上げる。


宙に描かれたルーンが一点に向かって収束し、二つに割れる。片方が火球に、もう一つは剣に。


ルーンが対象に接触した瞬間、眼前の大火球が一瞬にして凍りつく。が、未だ内部の温度はそのまま。加速した世界だからこそ視認できる火球の外殻だけが凍っている状況。時間が経てばすぐに元に戻ってしまうだろう。



「だからこそ!」



内部に、ミスリルの剣を叩き込む。外殻を突き破り氷の魔力を宿したミスリルが到達、融解点が鉄よりもはるかに高いミスリルだから出来る芸当。そしてその剣を経由して、私の体内と外気に残る魔力を、全て叩き込む。



「凍れぇ!!!!!」



奇跡と奇跡の暴走によって生み出された存在を、さらに大きな奇跡。魔法によって収める。


内部で燃え盛っていた炎たちが氷の魔力によってその勢いを収めていき、燃え盛る火球は徐々に小さくなっていく。そして私が流した魔力、その総エネルギーが燃え盛る火炎の熱量を追い越したのか、炎自体が凍りつき大きな氷球へと変貌する。正直科学とか色々無視した現象が目の前に起きているけど、魔法だから許してほしい。


とにかく、何とかその芯まで凍らせることが出来たようだ。魔力を消費しすぎたせいか、全身が耐えがたい脱力感に襲われるけど……、最後の一仕事。




「よいしょ、っと!」




目の前の氷玉に剣を叩きつけ、そのすべてを霧散させる。最近ちょっと暑くなってきたからね、ちょっとしたサービスだ。勝負に白熱しすぎて熱くなっちゃった二人にもちょうどいいでしょう。ま、熱中するのは良かったんだけどね? ちょっとやり過ぎというか。私の指示がダメだったって言うのもあるので強くは言わないが、もうちょっと規模を考えて欲しかった。


ま、何にしても。




「あ、焦ったぁ……。」







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