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【書籍化】TS剣闘士は異世界で何を見るか。  作者: サイリウム
幕間

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47/86

47:怒ってないよ!






【それッ! わたしのッ!!!!!!!!】





脳に叩きつけられるのは純粋な怒気、まさに冷蔵庫のプリンを取られた時の幼子の癇癪。


この声がアルのものであればプリプリと怒る彼女を『かわいいねぇ』と思いながらしっかりと謝り、新しいのを作ってあげれば収まりそうなものだが、相手は神だ。しかもこの世界の唯一神にして絶対神。甘いものが好きで信者たちに大量のお菓子を捧げさせている(強制ではない)ヤバい奴。



【おしおき!】



一瞬にして天気が悪化し、窓に強烈な雨が叩きつけられる。外から零れていた優しい光が真っ黒に染まり、雷鳴と共にすべてが光に包まれる。


私の家に、いや私の脳天に。青白い特大の雷が突き刺さった。







 ◇◆◇◆◇






「アバーッッッッッ!?!?!?」


「師匠ーッ!」



何処からともなく圧倒的な声が聞こえたと思えば、一瞬にして外の空気が悪化。耳が弾けそうになるくらいの轟音と共に神の雷が師匠へと突き刺さる。普通の雷とは違う、青白い雷。神の怒りは確実にお家を粉砕し、爆破。師匠が一瞬真っ白になった瞬間爆発と共に煙が生じ、何も見えない。だが頭に降りかかる雨粒を考えるに、屋根が全部吹き飛んだことは解る。


(やばい、どうしよう!)


頭の中が困惑と恐怖で埋め尽くされ、自身の語彙では表現できない感情が湧き上がってくる。私が神様へのお供え物用に作ったプリンを、師匠が間違って食べちゃった。たぶんそれを見ていた神様がブチギレて神罰を落とした。何が起きたのかは理解できるけど、それを整理できるのかは話が別。だって私の信仰してる神様が、自分の大事な師匠に罰を与えちゃったのだ。自分があらかじめ言っておけば避けられたのに!


頭がどうにかなってしまいそうになりながらも、師匠の無事を確認するために巻き上がった煙を何とか払う。


雨の影響もあり、想像よりも早く開けた視界のその先には……。




「それ! 神様のプリン! とっちゃだめでしょ!」


「………ケほ。」


「生きてるゥう!?!?!?」



明らかに教会に飾られている女神像と瓜二つな女性が、全身煤まみれで頭だけアフロになった師匠を叱っている光景だった。女性の内包する雰囲気というか、この身に叩き込まれた本能があの存在が私たちが信仰する女神であることを伝え、そして自身の目は確実に神罰を喰らったはずなのになんか口から煙を吐く程度で済んでいる師匠の姿が映っていた。



「なんで!? え!? なんで!?」


「あ、アル~。無事だった?」


「え? いや無事ですけど!? この方!?」


「神だぞ!」


「ひゃぁぁぁぁあああああ!!!!!!」



悲鳴を上げながら本能で跪く。やっぱ神様だァ! というか師匠何してるんですか! ヤバい、ヤバいですよ! 色々まずいです! 神様ですよ! ほら師匠! こっち! こっちで一緒に跪きましょう! 今ならまだ間に合うかもしれません!



「いや私無神論者ではないけど、無宗教者だし……。どっちかと言うと分類『日本人』、的な? 神の存在は理解してるけど、信仰はしていない的な? というか日本文化っていう色んな宗教イベントをかき集めた謎地域の出身なので信仰とかよく解らないみたいな?」


「あ~。あそこすごいよね。仏教に神道にキリスト教のイベントもやってるんでしょ? お盆、正月、クリスマス。アレよく怒られないよね。一緒にイベントを楽しんでくれてるわけだから喜ぶ神もいるだろうけど、『ウチの宗教に専念して!』っていう束縛系神様はキレてそう。」


「確かに~。」



いや師匠! なんで神様と普通に雑談してるんですか!? というか無神論者って何ですか!? 目の前にいるじゃないですか! 雷で頭おかしくなったんですか!? 不敬というかもうなんか色々やばいですよそれ! というか無宗教者って!? 神様それでいいの!?!?



「うにゅ? 別にいいぞ! そこらへん個人の自由だし。まぁ確かにこの世界みんな私の信者だけど……、別にマイノリティの存在を許さぬ! ってスタンスじゃないしな! というわけで今を楽しめ人類! ほらジナ、うぇ~い!」


「うぇ~い! バイブス上げてこ~ッ!」



し、師匠と神様がなんかハイタッチしてる! 何故!? 意味不明! 誰か説明して!



「それに、『信仰されてないと力が出ない~。』とかじゃないからな。全知全能は伊達じゃないのだ! まぁ普段は力、セーブしてるけどね。ほらあるでしょ? あのブロック積んで色々建築したり採掘したりするゲーム。あれ最初からクリエイティブでやるとどこかで必ず飽きる的な感じ。実績も解放されないしな!」


「あ~、なんかわかるかも。チート使い過ぎたら製作者が見せたかったゲーム体験ができない的な?」


「そうそうそんな感じ。……というかお前! 神様のプリン食べちゃったでしょ! そういうのダメ!」



さっきまでの穏やかな雰囲気が一瞬にして変わり、いきなり怒り出す神様。師匠が神様と普通に雑談し始めた時からもう脳が処理するのを拒否し始めている。なんかもう全部どうでもよくなってき……、いやいやいや! ダメ! 駄目だよアル! どうにかして神様のお怒りを収めて、許してもらわなくちゃ! 最悪聖書に書かれてたみたいに大陸が丸ごと沈んじゃうッ!



「ごめんちゃい♡ 新しく倍の量作ってプレゼントするからゆるちて?」


「ほわッ!?」



何それ!? なんで神経を逆なでするような謝り方!?

 


「謝れてえらい♡ ゆるす!!!」


「許されたッ! なんで!?」



確実にふざけた謝り方でしたよね! それでなんで許されてんの! このお方過去にキレて大陸一つ分沈めちゃったって書かれてるお方ですよ! 基本優しい方ですけどちゃんと神様なんですよ! 天罰とか天災とかしてくる方ですよ! もうちょっとなんか、しっかりとした謝り方とかあるでしょう師匠! というか神様それでいいんですか!?



「いいぞ? 別にジナちゃん信者じゃないし。プリンくれるなら……、許せるッ!」


「やったー! ……というか神サマ、大陸沈めちゃったの?」


「うん。信者がなんか狂って、私の【検閲済】な【検閲済】の本作って販売しようとしてたから怒った。……あ、ちゃんと大陸もその上にいた人も全部元に戻したよ? 肝心の奴は消滅しけど。」


「Oh、そりゃ業が深いしスケールもでかい。」



え、今なんか規制音というかなんというか、ピーッ、って音が神様のお声に掛かる形で聞こえてきたんですけど……、ナニコレ? ついに私の脳が情報の取得を拒否し始めた? 目の前で起きてることが信じられないもの過ぎて? ……わかる! さすが私の脳みそ。ちゃんと仕事出来てエライね? そんなお仕事できるならこの状況を理解するために死に物狂いでもっと働け。オラァ! 仕事しろゴラァ!



「いや別にR18なことするのは別にいいんだけどさ。個人で楽しむんじゃなくてそれでお金稼ぎしようとしてたから……、やむなく? 一応再発防止のために聖書に書いとけ! って命じたのはいいけど……」


「さすがに信者が神サマの薄い本作って怒られて、大陸消し飛びましたとは書けないわけか。」


「そうそう、そんな感じ。……じゃあ謝ってもらったしお家直すね~。」



神がそう言いながら指を鳴らすと、世界が書き換えられていく。


神様が神罰によって吹き飛ばされ、ただの瓦礫となっていたお家が一瞬にして元通りに。何が起きたのか全く理解できなかったが、師匠は呑気に『わぁ、時戻し。』とつぶやいている。というかアフロだった師匠の頭も元通りに戻ってるし……。いや神様だからそれ出来て当然なんだろうけど目の前で奇跡起こされているのを見るとなんか正気度がががが。



「というか神サマ?」


「なんだねジナ君!」


「この前なんか地上に降臨したら色々面倒なことになるって言ってたけど……、大丈夫なん?」


「あ。」










 ◇◆◇◆◇








「た、大変です聖女さま!」


「どうしたのですか、アワテテ枢機卿。滅多に慌てない貴殿がそのように取り乱すなど……。」


「神が! 神が降臨なされました!」


「…………マ?」





現在教会では、いえ正確に言えば全世界の神を信仰している者たち。聖職者たちが絶叫していた。何せ普段天界で捧げられたおやつをウマウマと言いながら食し、仕事は全部部下の天使たちに丸投げしてるあの女神さまが。かなりフットワーク軽いので呼んだら普通に来てくれるけど周囲への被害が大きくなりすぎて最悪大陸が沈むので有名なあの女神さまが。善と悪の両方を司っているせいで知能ある魔物からも信仰されている女神さまが。


なんか知らんうちに降臨しちゃってるのである。



「そ、それは誠ですか!」


「は、はい! 天使様が非常に慌てた様子で我々に使いを……。」



帝国における最大の宗教都市、聖都アヴィオンでは下から上への大騒ぎ。何せ人間よりも遥かに力のある天使様がわざわざ人間に話を聞きに来ているのだ、確実に我らが神が地上へ降りて来てくださっている。これは実に300年ぶりの祭事であり国を挙げてどころか、この世に生きるすべての生命体で盛大に祝わなければならないレベルである。


呼んだら来てくれる神ではあるが、神を呼びつける事なんか恐れ多くて出来ない上、永遠の時を生きる彼女からすれば300年など数秒の瞬きに他ならない。だからとても珍しく、滅茶苦茶めでたいことなのではあるが、それと同時にこの星の生命体にとっての『終末』の笛の音でもある。



「とりあえず早急に手を打たなければいけないことは把握しました。すぐさま帝国全土の教会に早馬を飛ばしてください。信仰心に溢れある意味狂っている者たちや、一部の愚か者を絶対に動かさないように厳命してください。私はすぐさま天界に向かい詳細を確認してきます。」



矢継ぎ早に指示を飛ばすのは展開でジナと面識を持った今代の聖女、老骨に鞭を撃ちおばあちゃん頑張ります。


何せ神は気まぐれ。確かに我らが信仰するに相応しい神として振舞うことが多い彼女ではあるが、決して司る属性は善だけではない。狂気や混沌と言った悪に分類される属性も持つ彼女は、たまにはっちゃけてやらかす。もうこれでもかというほどにやらかす。聖書とは神の教えを伝える尊き本ではあるが、神様のやらかしが記されている事件簿としての側面もある。


軽く聖書を読みこめばわかるが、お供えされた菓子が美味しすぎて製作者の寿命関係なしに天界へと召し上げようとしたら間違って星に住む全員を召し上げちゃったり(ちゃんと戻した)、本来神にささげるはずだった菓子を間違えて食べてしまった者がその者が住む国ごと爆発させたり(ほんとにただの勘違いだったので全部元通りにしてくださった)、と色々だ。


ちゃんと元に戻してくださったから今があるのだが、次も元に戻してくださるかは全くの不明。


我らとは何もかもが違う圧倒的な超意存在の考え方や価値観は、我々がどう足掻こうとも理解できるはずがないのだ。……まぁ多分、やんちゃでわがままで好き放題するけどちゃんと筋は通す楽しいこと大好きな少女、であっているとは思うのだが。



(教会の建前上、神聖さを損なわないために色々隠してる部分も多々あるのですが、何かのきっかけで知った者たちが皆、さらに信仰の念を厚くするこの世界の人間おかしいですよね……。いやまぁ私も聖女になるまでそうだったから何とも言えないのですが。)



「とにかく我らが神よ、どうかおとなしくしていてください……!」









 ◇◆◇◆◇








そんな感じで全国各地の聖職者が悲鳴を上げながら走り回っているころ。


肝心の唯一神とやらはウチの食卓で普通にメシを食っていた。……なんで? いやプリン作るのに時間かかるし、待ち時間潰すのは解るんだけどなんでアルが作ったご飯をYOUが食べてるの? ねぇ? それ私のでしょ! ジナちゃんのでしょ! いくら神サマとはいえ超えてはならないラインじゃないんですかそれは?



「え~! いいじゃん。たまにはお菓子じゃなくてちゃんとしたのも食べたくなるでしょ? それにこの素朴な感じ。神様嫌いじゃないわッ!」


「だって、アル。」


「こ、光栄でしゅッ!」



可愛そうに。自分が作った物を自身が信仰する神様に食べられるとか緊張感がヤバいだろう。しかも目の前だし。なんだ? 私に解りやすいように表現するとすれば、『自分だけだし適当でいいや~』って晩飯作ってた時に世界中の国家首脳が急に部屋に上がって来て自分の晩飯つつきながら味の感想述べてる感じ? ……想像したら色々絵柄がヤバいな。ウチの食卓国連になったってかァ?



「というかほんとに帰らなくていいの? 聞いた感じ世界中で色々問題というか、お偉いさんたちが走り回ってそうだけど。」


「ん~? まぁ別にいいんじゃないの? 適当に『キレイな石ころ見つけたから拾いに行ってた!』って言えば丸く収まるだろうし。」


「……なんでそれで収まるの?」



その言い訳の理由って完全に幼児の発想な上、それで納得する聖職者の皆さんって色々大丈夫なんか? と思いながらドーナツ状の金属容器にプリン液を流し込んでいく。人が作っているところが見たいとおっしゃるもんですからわざわざ食卓のテーブルでやってるんですよ。あ、ちなみに焼きプリンの方ね? アルが作ってた方はゼラチンで固めるタイプだったんだけど、この神しゃまが『感想欄で焼きの方が美味しいって聞いた! ならそっち!』とのことで現在制作中ってわけだ。……感想欄ってなに?



「あとは空気抜いて、かまどで30分ぐらい焼いた後、氷室で冷やす感じなんだけど……。サイズがサイズだし冷却に結構な時間かかるよ?」


「? そうなの?」


「そうなの。一応伝統的なドーナツリング二つと、バケツ一つ。あと小さい容器一ダースほど用意したけど、バケツは一日ぐらいかかるんじゃないかなぁ?」



私の言葉に明らかにショックを受ける神サマ。多分知ろうと思えば知れるのだろうが、意図的に情報をカットしているのだろう。思ったより時間が掛かるため驚いているようだ。私もそんなに菓子作り詳しくないけど、レシピを見る限りこれぐらいかかるのが普通なのだろう。軽口を叩きながらではあるが、細心の注意を払いながら頑張っているので待ち時間があるのは許していただきたい。



「う~! 待つの嫌! プリンだけ加速させるからどれだけ時間かかるか教えろ!」


「焼きの行程は大体150℃で30分……はちょっと長いかな? 25分で様子見ましょう。」



私がそう言った瞬間、何か時計の針が進んでいくような音が聞こえ、世界に奇跡が反映される。私が容器に注いだだけの液体だったソレはいつの間にか湯気がたっており、確実に加熱が終了していることを主張していた。



「できた! 次!」


「あ、じゃあいい感じの食べごろ温度まで下げて固まれば美味しく頂けるかと。確か冷蔵庫の適性温度が5℃以下とか聞いたことあるし、それぐらいの温度が適正なんじゃない?」


「なるほど~、んじゃ冷却!」



彼女がさっきまでアルの野菜スープを飲んでいた匙をプリンへと向けると、さっきまで湯気を挙げていたプリンたちが一瞬で冷却される。まるで設定温度の記入欄に目標の温度を叩き込んだかのように。いわゆる現実の書き換え、って奴だろう。



「完成? 完成だよね!」


「はいはい。んじゃデザートは食後にいたしますか? それとも?」


「もちろん今! 出来立てが正義!」



とのことなので、バケツプリンの入る容器に蓋をするように大皿を乗せる。後は彼女がさっきまで食べていた料理たちを一旦よけ、ひっくり返した大皿を置いて差し上げれば完成だ。



「ぷっちんではないけど、こういう開ける作業って一番やりたいでしょ? では、お召し上がりくださいな。」


「うむ! いっただっきまーす!!!」



出してあげた匙を手渡してやると、幼子のようにウキウキと容器を上へと持ち上げプリンの全身を空気へと晒す。黄色く特徴的なフォルムに、頂点から下へと流れ落ちる茶色のキャラメル。空気抜きとかも神がやったせいか気泡が一つも見当たらない完璧な手作りプリンがそこにあった。人間の可動域を超えるレベルで口を開き、おいしそうに食べているあたり成功なのだろう。



「じゃあ私たちも晩御飯にしましょうか、アル。」


「ふぇ! い、今ですか?」


「うん。だって冷めるでしょ? いいよね神サマ?」


「いいぞ!」





























「とまぁそんなことがあって。」


「改めてですが……。私たちの師匠、色々ヤバすぎませんか!?」



"学園"の宿舎、その貴族領の一室で妹弟子であり、同時に学友でもあるマリーナに過去の経験を話す。師匠というか、教会の方々から『あんまり口外しないようにしていただけると助かります……』と言われたが、彼女なら別に話しても大丈夫だろう。同じ師を持つ友だし、コイツもコイツでバレたらまずいものを複数抱えている。一蓮托生って奴だ。



「いくらビクトリア様の元で経験を積んでいたとしても貴族に対して全然物怖じしないのは可笑しいと思っていましたが……、いやそんな経験が有るなら納得です。そりゃあ貴族どころか皇帝陛下すらかないませんわ。というかそんなフランクなお方だったんですね、我らが神は。」


「ね~。」



ちょっとしたことが、いやまぁ正確に言うとヘンリエッタ様案件で学園都市で学びを深めることになった私たち。同門ということで同じ部屋にしていただき、後は寝るだけとなったのだがマリーナから疑問を投げかけられた。『いくら何でも貴族に耐性あり過ぎませんか?』と。そこで今の話をした訳。自分たちが信仰する神に自分の作った晩御飯を食べてもらうって経験を話したのだ。まぁこんなことがあったわけですから……、なんかもう色々吹っ切れました。貴族だって人間です。コワクナイ!



「しかもそれ。私が初めてビクトリア様の指導を受けたあの日の直前なんでしょう?」


「そうなのよ。もうちょっと早く来ていれば道連れにできたんだけどね。」


「……一瞬お会いしたいと思いましたが恐れ多すぎて無理ですわね。正気を保つ自信がありませんわ。」


「わかる。実際あの時私正気じゃなかったし。」



あの食事の後、我らが神は師匠に持たされたお土産のプリン片手にニコニコで帰って行ったんだけど、その次の朝に真っ青になった聖女様がお忍びでやって来てプリンの容器を返してくださった。口止め料というか迷惑料として大量の金貨片手に『ウチの馬鹿が大変申し訳ありません!』と言いながら。……この人自身の信仰対象バカって言った?


いつの間に知り合ったのか全然解らないんだけど、昔ながらの知り合いみたいな感じで家の中に招き入れた師匠は、プリンの材料費だけ受け取ってお茶をした後。聖女様にもプリンを持たせて帰ってもらっていた。お帰りの際の聖女様の顔色が戻っていたあたり問題は解決したんだろうけど……。マジでウチの師匠って何者なんだろう。


ぜんぜんわからん!



「そう言えば最初の手合わせ、懐かしいですわね。」


「あ~あれね。私に惨敗したやつw」


「むぅ! 結果は別にいいのです! 今この瞬間勝てばよいのですから!」


「と言いながらずっと負け越してるけどォ? よわよわマリーナちゃん♡」



ムキ―ッ! と怒りながら投げつけてくる枕を受け止め投げ返す。あはは。た~のし! っと、ふざけてたら普通に負けるし。気を付けないと。例え枕投げでも姉弟子として負けるわけにはいかないからね! 教員寮とは距離があるけど、騒ぎを聞きつけて師匠が飛んできたとしてもおかしくない。速攻で勝負をつける!


……にしても、懐かしいなぁ。まだ数年しか経ってないけど、その数年が濃厚過ぎたせいか全然最近のこととは思えない。



「そこッ! 隙あり! 喰らえ枕スクリューシュートォ!!!」


「はぶッ!」







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