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【書籍化】TS剣闘士は異世界で何を見るか。  作者: サイリウム
幕間

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27:はじめてのお使い<後編>



「ぴゃ」



その声が聞こえるほんの数手前。彼女の頭上、建物の屋根の上からひそかにアルのことを見守っていた私は、すでに奴の姿を視界に収めていた。一瞬、自身の眼を疑うが明らかに幻覚ではない。私の肌が、魂が、警鐘を鳴らしている。私が死んだ原因を作った人間であり、私が殺したはずの人間。


考えねばならないことはたくさんあるのだろうが、そのすべてを消去する。そんなどうでもいいことを考えるよりも大事なことが、大事な人が、危機に瀕している。そう判断した私は、脳内のギアを振り切り、世界を置き去りにする。





<加速>七倍速





体へのダメージなんかアルの身に比べれば細事。気にする必要などない。


全身のバネを一つの標的に向け、解放。空中で回転し、両足を奴の体に。アルと異形の間に割り込むように、奴の顔に向かってドロップキックを叩き込む。飛び出した直後、こちらのことを視認していたのか両腕をクロスされることで防がれてしまうが……、問題はない。新しくできた足場を思いっきり蹴り飛ばし、アルの方へ。



「しッ!」



驚いた彼女の口が声を発する前に行動する。空中で顔に巻いていた布を取り外し、アルの体を包み込みながら後方へ。ごめんだけどコイツ相手に優しく状況説明とかそういうのをできるほど余裕はなさそうなんだ、ごめんね。目線で彼女にそう訴えながら、左手でアルの体を支える。この速度でケガをしないように優しく包み込みながら、残った両足と右腕で地面を滑りながら勢いを殺す。


敷き詰められた石畳を破壊しながら、距離を取る。視線の先は、さっきの衝撃で一歩だけ片足を後ろに下げた異形。


言葉など必要なワケがない。なぜ生きているのかという謎すらわからなくてもいい。私の大事なものに手を出すのなら……。





何度でも殺すだけだ。






アルを地面におろし、自身の背で隠しながら腰に下げていた愛用の剣を抜く。



「そこでじっとしてなさい。」


「……はいッ!」



ここに奴がいる以上、前回は刺し違える事すらできなかったが……、あの時から私は前に進むことを止めたつもりはない。すでにこの身は剣闘士ではないが、"傲慢"であり続けるためには誰にも崩せぬ力がいる。大事な人を、今の身分を、全てを失う気などさらさらない。


幸い、今回は逃走という手も取れる状況。……だが、逃走など眼中にない。


不安の芽は、ここで摘み取る。


そう、決心し。踏み込もうとしたとき……
















「ま、待ってくれ!」


















異形の、初めて聞く声。









……お前ってそんな可愛らしい声してるのね。










 ◇◆◇◆◇










「……と、まぁ、はい。そんな感じでして……。」


「…………あ~、話を整理するからそこから動くな、というかむしろ下がれ。」



言われた通りに数歩下がる彼に、アルを私の背に隠す私。


OK、今聞いた話を整理しよう。


えっとつまり?


私が奴の頭を文字通り、死にながら消し飛ばすのには成功した訳だけどまだ死んでなくて? 頭だけではなく首の根っこのあたりまで吹き飛ばしたせいで単に気絶みたいな状態になってて? でも死んだと判断されたので私が勝利した感じになってて? 死体だと判断されたその体は死体処分所に連れていかれた。


うん、ここまではまだいい。なんで頭部をえぐる様に霧散させた奴が生き残っているのかとかは、置いておくとして。


その後死体処分所で焼却処分されたわけなんだけど、この異形くんのスキルである『再生』ニキが頑張ったおかげで全身ファイヤマンになりながら無事焼却所から脱出。しかも奴隷の証でもある魔法の首輪も、私が頭を吹き飛ばしたときにいい感じに破損してたらしく……。本来なら彼の元オーナーのところに戻るような命令がされてたみたいなんだけど、壊れてるから命令どころか縛るものすらない。


つまり私とは違う方法で、晴れて自由の身になったわけだ。


だけどそこからが問題。大きな体を何とか隠しながら人目が少なく、自身の正体がバレたとしても行方を晦ませそうな帝都の奥に身を隠すまでは良かったんだけど、さすがに"異形"でも長時間何も食べずに生存は不可能。故に生き残るために、何かしらの食料を手に入れる、もしくは日雇いの仕事で資金を得るために表の方に顔を出したところ……、ちょうどアルと鉢合わせた感じみたい。



「あの時は"契約"で発言どころか思考も縛られてたのでしっかりと覚えていないのですが……、御迷惑をおかけしました。」


「ほんとにな?」



自ら両ひざを地面につけ、両手を頭の後ろに回した彼はそう答える。



「……まぁいいや、正直お前の話をそのまま鵜呑みにするほど私はお人好しじゃない。だけど、そっちが私たちに手を出さないって神に誓えるのならとりあえず剣は納めてあげる。それでどう?」


「もちろん、誓います。」



彼に伝えた通り、私にはこいつの話す言葉の真偽を確かめる方法がない。縦割りにして死ななかったぐらいだから頭部を消失させたとしても、殺せるとは思ってなかった。だから判定勝ちを目指してあの時剣を振るったわけだけど……。まぁまともに考えれば首の根元にあるはずの特徴的な赤い魔法の円、奴隷首輪もない上にコイツが私を騙して得することはないように思える。


目の前にいる異形は、あの時見せた剣士としての顔も、暴走した獣のような顔もしてない。図体は確かにクソデカいが、纏う雰囲気はどこにでもいそうな男のそれと同じだ。


……演技で食っている身からしても、違和感はない。だけど自分の感覚、役者としての感覚に全幅の信頼を寄せているわけでもない。私がこの世界で培った"剣闘士"としての感覚が『目の前の男は私を殺しうる』と叫んでいる以上無視できるわけがない。だが変に刺激して無駄な戦闘を引き起こす気もない。……戦う気がないのなら、剣を納めるぐらいはしてやろう。



「……OK。」



その言葉と同時に長剣が鞘に収まる小気味いい金属音があたりに響く。


英語の了承の言葉など彼には伝わらないだろうが、剣を納め肩をすくめることでこちらにもう戦う意思がないことは伝わるだろう。こちらを気遣いながらゆっくりと立ち上がった彼を見る限り、意味は伝わったようだ。



「変な動きしたら色々切り落とすからね?」


「……好きにしてもらって構わない、です。」


「…………一瞬顔歪んだってことは、"アレ"は覚えてるのね。」



若干青い顔をしながら頷く異形。うん、金的のこと。朧げにしか覚えてないって言ってたけどそれはしっかり覚えてるのね。ま、吹き飛ばした頭が元に戻ってるってことはアレも元に戻っているのだろう。もちろん"色々"にはそれも入っているし、元々男だったとしても切り落とすときは切り落とす。ま、どうせ元通りになるってことはエンドレス『もう一回遊べるドン!』ってわけでしょ? なら延々にしてあげても……、冗談だって。



「まぁいいや、それで? お前さん名前……、は言わなくていいや。私名前覚えるの苦手だし、多分言われても覚えられん。それで確か食い物がないとかそういうのだっけ?」



そう言いながら自身の懐を探る。帝都は比較的治安の良い街らしいが、私の比較対象の町が前世の日本ぐらいしかないので、私からすればこの帝都の治安は結構クソ。起きてる事件を列挙するのはめんどいのでまぁ割愛するが、大体どんな犯罪でも起きていて、もちろんスリなんかも結構起きている。一応衛兵とかも頑張ってはいるみたいなんだけどね、帝都にいる人が多すぎて撲滅は難しいみたいだ。


ま、そんなわけで私も持ち歩いているお金は最低限度にしている。こいつの図体を考えるともう少し欲しいところだろうが……、ないよりはましだろう。懐から財布として使っている袋を取り出し、そのまま異形に向かって投げ渡す。



「ほれ。」


「これは……。」


「金だよ、金。やるから好きに使いな。」



彼がそっと袋を開けるとこの国の硬貨である銅のコインが外気に晒される。一枚一ツケロの最少硬貨だ。



「それと、表に出るなら少しぐらい顔隠していきな。いくら距離があったとはいえ顔を覚えている奴は覚えてる。背丈はまだ誤魔化せ……、まぁかなりアウトだがまだ何とかなるだろう。でも顔がバレれば一発で衛兵とか呼ばれて奴隷に戻されるぞ?」



奴隷契約で思考を縛られるってことは、こいつの身の上は知るだけで私たちに危険が降りかかる厄ネタだ。よっぽど言うことを聞かない奴隷に施される術らしいが、これまでのコイツとの会話においてソレに当てはまるような性格は見受けられなかった。むしろ指示されたことは全力でやるようなタイプだろう。話し方の節々から人の好さ、みたいなものが感じられる。


つまり、こいつは何らかの理由で自身で考え動く"奴隷"ではなく、本当に文字通りモノとしての"奴隷"として扱う必要があった、ってことだ。……うん、明らかに関わり過ぎることは私だけじゃなく、後ろにいるこの子にも悪影響を与えてしまうだろう。銅貨十数枚程度じゃ手切れ金としては少なすぎるが、目の前のコイツは私に対して恩を感じているように見える。


……キミには悪いけど。



「ありがとう、この恩は絶対に忘れ……」


「いや、忘れてくれると助かる。見ての通り、ようやく奴隷の身分から家族で脱却したばかりでね。厄介事はご勘弁、恩を感じてくれるのならば……、"今日は誰とも会わなかった"ってことにしてくれない?」



よくある異世界モノとかであれば、視界に入った者すべてを救ったりするのだろうが私にはそんなことできない。自身の精神が捻くれてる、ってのもあるし、私の手がそこまで大きくないのもある。ある程度の奴には負けない自信はあるが、国家権力相手にやり合えるほど強くない。剣闘士の時に貯めた資金も解放や、今後の生活のために残しているおかげで自由に使える金額は全然だ。


ま、長々と話したが私が自信をもって守れるといえるのは一人くらい。もうその枠は埋まってるから、私はキミを見捨てるってわけだ。悪いね。



「じゃ、そういうことで。帰るよ、"リリィ"?」


「あ、はい!」



頭の中に浮かんだ適当な名前でアルのことを呼び、彼女の体を奴に晒さないようにしながら来た道を引き返す。言うことは伝えたし、彼も自身が厄介なことを抱えていることは理解しているだろう。"今日は何もなかった"、ちょっとアルが道を間違えたってだけだ。


何か言いたそうな顔で私のことを見上げるアルを視線で止め、歩き続ける。まだ彼に私たちの声が聞こえてしまうかもだからね、必要以上に情報を渡すのは剣闘士だった時と同じように控えるべきだ。アルの名前は私のように大々的に出していたわけではないし、偽名だったとしてもバレる可能性は低い。



「……うん、これぐらい離れればもういいかな? それで、何かな"リリィ"ちゃん?」


「アルです。……その、ごめんなさい!」



そう言いながら、頭を下げる彼女。



「ん~? 何のこと? 道に迷ったことは気にしてないよ、というか私でも普通に迷いそうだしアルちゃん悪くない悪くない。」


「でも……。」



アルの息抜きに、と思ってお使いをお願いしたけど……。逆にストレスになっちゃったかなぁ。



「よし! じゃあ気分転換に外食でもする? 道は通ってきたとこ引き返せば帰れるだろうし、おいしそうな所見つけたら飛び込んじゃおうよ。」


「え、でも。お金は……。」


「あ、そっか。さっきスられちゃったんだった。じゃあ……、取りに帰らないとね!」



アルを抱え、空に向かって飛び立つ。まだ日は高いけど、屋根の上なら変な噂にはならないだろう。あんまり強く踏み込み過ぎると足場である他人の屋根をぶっ壊しちゃうから気を付けないといけないけど、絶叫アトラクションとしては最適なはずだ。



「家まで人力ジェットコースターで帰るよ! お客様? シートベルトをしっかりと締め、ベルトがない場合は腕の方を全力でつかんでくださぁい!」


「えッ! えッ!」


「さ、いくよ!」



踏み込みの瞬間だけ加速の世界に入り、空を飛ぶ間は彼女と同じ時間を過ごすために元の時間へと戻る。何も考えずに帝都の空を駆け巡って、適当な時間が経ったら人ごみに紛れて家に帰ろう。つけられてる様な気はしないけど、念のためだ。その後は優雅な夕食と行きましょう。



「あわわわわわわわわ!!!!!」


「ほらほら! こんなのは楽しんだもの勝ちだよ! 次は急カーブとトルネードでぇーすッ!」


「ひゃぁぁぁぁぁあああああ!!!!!」




その後思いっきり楽しんだ後、外食しに行ったわけだが……。なんか滅茶苦茶アルが憔悴してたことを記しておく。ま、とりあえず変なことを考えずには済んだみたいだし、ガス抜きは成功ってとこかな?



「というわけでまた変に思い悩んでたら一緒にジェットコースターしようね?」


「心臓に悪いのでやめてください……。振り落とされるとかの心配はしてないですけど、急加速がちょっと……。」


「え~、けち~。」





……あ、そうだ。結局お使いは有耶無耶になっちゃったけど、今度もっかい行く?




「こ、今度は一緒に行ってもらえますか?」




勿論。












 ◇◆◇◆◇












その、後のこと。



「悪いね、ヘンリ。」



夜、深夜に差し替わろうとする時間に私は彼女の屋敷を訪ねて来ていた。もちろんこんな時間だ、正規のルートではなく彼女が空けておいたベランダからの侵入となってしまったが……。ま、大丈夫だろう。



「えぇ、いらっしゃい。……夜這いにしては少し時間が遅すぎるのではなくて?」


「悪いね、ウチの子が寝るのが少し遅くなって遅れちゃった。」



例の異形と会った後、人間ジェットコースターをした後に財布を取りに行ったついでにお手紙を出しておいた。あて先は勿論、目の前にいる権力者様。魔道具の優しい光に照らされた部屋の中に彼女は招き入れてくれる。夜這い、と彼女はふざけて言っているが残念ながらただの不法侵入者だ。他の人に見つかったらまぁしょっ引かれるわけだからスリルあるよねぇ。



「調べておいたわ、"彼"のこと。結論から言うと裏はナシ、ほんとうに運よく抜け出せたって感じみたいねぇ。……この子も、かなり大変な人生みたいよ。」



そう言いながら、彼女は紙束を私に渡してくれる。


お願いしていたのは、彼。今日会った異形のことについての情報だった。



「比較的最近属州になった国家の元王子様、本来なら処刑で済むのだけど持っている『スキル』が強力すぎるせいで簡単には死なない。かといって生かしたままだとおバカな人たちが祭り上げて新たな火種が浮かんでしまう。ほんと、可哀そうな子よね……。彼のお父様がまだまともな方ならよかったのだろうけど。」



属州、この帝国がある大陸と海を挟んだ場所にあるそこは元々一つの王国があったらしい。そこの王はかなり好戦的な人間だったらしく、力量差を考えずに帝国に喧嘩を売り、無事敗北。まぁ確かに勝算はあったらしいが、すでに間者が多数入り込んでいたその国には勝ち目など最初からなかった。宣戦布告と同時に、あっという間に攻め滅ぼされてしまったらしい。



「典型的な自分を持ち上げてくれる臣下しか手元に置かない愚物。……ウチもそうならないようにしたいわねぇ。」



滅多に見せない統治者としての顔を表に出すヘンリエッタ。普段は少々パワフルで、趣味に全力な彼女であるがこれでも帝国元老院議員の妻であり、一つの派閥の頭である。正直そっちの彼女には関わりたくないので口をはさむ気はないが、少し新鮮に思えてしまう。



「ま、それで扱いに困った当時の総督は属州の運営資金の調達も兼ねてオークションに出したって感じみたいね。一応法では処刑すべきってなってるんだけど帝都から離れてるからねぇ……。彼、結構優秀だしうまいこと隠してキツメの奴隷契約を結んだんでしょう。」


「それを買ったのがたまたま帝都のオーナーで、たまたま剣神祭に出場して、たまたま決勝まで残って。……すごい運だね。」


「本当に。私が貴方に出会えたくらいに。」


「うん? それは必然じゃない?」


「あら!」



なるほどねぇ……、まぁ不運な男って感じだね。可哀そうと思える心はまだ残っているが、どこまで行っても彼は他人。必要以上に感情移入することもないし、時間が経てばこの情報も忘れていくだろう。



「それで? このことを知ったヘンリエッタ様はどうするのかな?」


「そうねぇ……。衛兵に通報したとしても誰も帰ってこないせいで人手不足が加速するだろうし、放置しても結構な不安要素。親衛隊に伝手はあるから制圧すること自体は可能だけど、ちょっとややこしいのよねぇ……。」


「政治の話かい?」


「えぇ、かの滅んだ国よりは真面目にやってるつもりなんだけど、少し利権関係がややこしくてね。早めに改革した方が安心して後に託せ……、あらごめんなさい。少し関係ない話だったわね。」



そう言いながら本業の方の愚痴を止める彼女、普段というかこのお屋敷にお邪魔するときは基本的にこういった愚痴を聞いたりするのが私の仕事だ。そのせいで少し口が緩くなってしまったのだろう、私としては厄介事の処理をお願いしている手前いくらでも聞く用意は出来ていたのだが、本人が気にして止めてくれるというならそれに従うだけだ。



「ま、妥当なところは私のところで保護、って感じかしらね。名前を変えて、顔を甲冑なんかで隠した上で、適当なお涙頂戴のお話しを付け足したらいけるでしょう。最初から『属州で処刑されたことになっている王子』だから気にしすぎる人いないだろうし、もし勘のいいひとがいても私の保護下にいれば変に手を出す人もいないでしょう。」


「ありがとう、ヘンリ。」


「いーえ、気にしないでビクトリア様? いいお話を聞かせてくれてありがとう、力量は大会で見てるから警備兵としては満点以上。それに使う機会がないとは信じたいけど彼は政治的に良いカードになるわ。心情的にも、政治的にも、またあなたに恩が出来ちゃったわね……。今度は何で返したらいいかしら?」



そう言いながら、やさしさと冷たさを兼ね備えた笑みを浮かべる彼女。奴隷であれど人を人として見ることができるやさしさと、政治の世界で生き抜いて来た者特有の冷たさ、その二つを持つ彼女の顔はとても魅力的で、頼もしいものだった。私が男だったら惚れてたかもね、あはは。



「おっと、もう貰い過ぎだからご勘弁。キミからは十分すぎるほど頂いてるからね、役に立てたのならそれで十分さ。」


「あらあら、無欲な人。」



そう言いながら、楽しそうに笑う彼女。本当に、私たちは彼女から貰い過ぎている。束縛されるのはちょっと嫌だけどたいていのお願いは聞いてしまうほどに恩がある。さすがに死んで来い、って言われるのは勘弁だけどね?



「……あ、そうそう。いい話があるのだけど聞いてくださる?」


「どうぞ。」


「実は私の派閥に最近高齢が理由で取りつぶしになりそうな騎士家があるのだけど……、いらない? まぁいつもの『私の物にならないか』って話なんだけど!」


「……おっと、もうこんな時間か。寝不足はお肌の敵だからね。帰らせてもらうことにしよう。……それでは、いい夢を。」








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