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騎士団の入団試験を受ける

久々の投稿開始となりますが、どうぞお付き合いくださいませ

今日は、各庁舎の入庁試験が行われている。


私は、受験票を握りしめて騎士団庁舎の前に立った。

『入団試験会場』と書かれた大きな看板と、受験票を交互に見た。

受験番号毎に会場が違うようで大きな地図の看板が置いてある。


もう一度看板を見てから手元の受験票を見た。

『受験番号1568番/アンネッテ・グリーグ子爵令嬢/18歳/騎士団希望』

会場は……大ホールね。



急いで庁舎奥の大ホールに向かった。

締め切り時間間際だったようで、私が入ると入り口の扉は閉められてすぐに説明が始まった。



「試験は4人ずつのグループで行う。受験番号を呼ばれた者は、順に前に出るように」

大ホールに集められた受験者達は、ホールの目の前で叫ぶ第五騎士団団長の大きな声を聞いて自分の受験番号が呼ばれるのを待った。


会場には、沢山の受験者がいる。

採用人数は発表されていないから、この中で何名合格するんだろう?今までどんな訓練を積んできたのかしら?

私を指導してくれた先生の所には他に生徒さんが居なかったから、初めて見る沢山の騎士希望者にワクワクした。


そう思って会場を見渡している間も、次々と受験番号が呼ばれ若い騎士団員にどこかに連れられていく。

私はいつ呼ばれるのだろうか?

あっ、女の子達が呼ばれている。


私は背が低い上に一番後ろにいるので、前にいる背の高い男性の隙間から様子をうかがっていた。


どんどん番号が呼ばれていき、会場にいる受験者は少なくなっていった。


「1568番」

やっと私の番号が呼ばれた!


「はい」

私は会場の後方から前に歩いて行った。


「試験に入る前にそのマントを脱ぐように。マントに武器を仕込んでくる受験者もいる。冒頭の説明で述べたように武器の持ち込みは禁止だ」

第五騎士団長の言葉で、私は顔を隠していたフードを外しマントを脱いだ。


その瞬間、会場がざわついた。


「なっ、なんて格好で試験に臨む気だ!ひやかしなら帰れ!」

第五騎士団長は私を見て怒っている。


「?試験に相応しい格好で参りました」

私は何故、第五騎士団長が怒っているかわからない。


私を指導してくれたグラファント先生の指示通りの服装で来たのに。

「正気か?」


私は本気度を聞かれているのかと思い「はい!」と真面目に答えた。


「…わかった。服装の指定はないからな…。この試験は第一試験に受からないと第二試験、第三者試験に行けない。わかっていてその服装なんだろうな?しかし…救護班希望のご令嬢達とは、また違った服装だな…」 

私は何を言われているのかよくわからなかったのでニッコリ微笑んだ。


私の後に呼ばれたのは3人とも男性だった。

4人の組みになると騎士団員に先導されて会場へと向かった。


大きな扉をくぐった先にあったのはぬかるんだ水溜まりと、高い塀、そして行く手を阻む数人の剣を構えた騎士団員だった。


「ここに数種類の武器がある。好きなものを3つまで装着して出口を目指せ。ここで選んだ武器は試験の最後まで利用する」


そう言われて武器を見たら、短剣、長い剣、槍、盾、斧、弓が置いてある。大きさも様々だ。


私は短剣2つと、なるべく小さい弓を取った。

「お前、諦めずにまだ試験をするつもりなのか?その服に、それからその顔!舞踏会でもないのにその格好はなんだ?無理なのはお前が一番わかっているだろ。棄権したらどうだ?」

試験官かバカにしたように声をかけてきた。


「?この格好は普通ではありませんか?」

私は何故そう言われるかわからなかった。




私は今日という日を心待ちにしていて、入念に準備をしてきた。服装だって先生に相談して決めてもらった。

グラファント先生が決めた服装は正装だ。


今朝、グラファント先生の家に朝早く向かい、グラファント夫人に手伝ってもらって準備した。


今日はライトブルーのミモレ丈のドレスとハイヒール。

デビュタント前の私は夜会用のドレスは纏えない。

大人の女性が着るようなタイトなロングドレスがよかったのにそれは先生に禁止された。


そしてアクセサリーを付けるように言われたけど、それは辞退した。

「アクセサリーは必需品なのに!わかってくれんかのぉ」

と残念がっていた。


グラファント夫人は私と先生のやりとりを聞きながら、私の髪を結いメイクもしてくれた。


「グラファント夫人。このメイク濃くないですか?」

夫人はどんどん私の顔に色々な物を塗るので聞くと、

「これくらい普通よ。絶対にメイクを取ってはダメよ」

と言った。


「ほら!アンネッテ嬢はこんなに美しいわ、隠しておくのがもったいないでしょ」

鏡越しにグラファント夫人は微笑みかけてくれた。


鏡の前の私は全く違う人の顔になったけど、私の事を知っている人はいないからまあいいかと思って、この装いで試験に臨んだ。


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