表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

13の回顧録

作者: 歪瑞叶

『フリーマーケット』

フリーマーケットの片隅に二人組の男女。

そして、赤ちゃんの靴、未使用、500円とダンボールに書かれた滲む文字。


『恋』

降り間違えたバス停。

公園で見かけたベンチに座る彼女の横、

ゴミ箱中に見つけた、3本のバラの花束。


『別れ』

二度と履けない水色のスカート。

似合うと褒めてくれた君を思い出してしまうから。

今も歪んだままのガードレール。


『望郷』

一年一度のその頃に、あなたの眠る墓へ登る坂より望むセピア色の町は、

銀杏の木の葉で琥珀に染まる。


Ⅴ 

『食べる、食べる…食べる』

「捨てるけど、食べる?」と憐れむような目で聞かれて、

私は倫理観を捨てた。 

手は汚れてしまったけど、私は満腹になった。


『親友との再会』

昨晩、親友と別れた後で、僕が黒いネクタイを外していると、

親友とその未亡人が一緒に歩いているのを見かけた。


『マゾヒズム』

現代の人間、特に男は自虐的なところがある。

証拠にみんな紐で自分の首を絞めている。


『廃業』

そりゃあ、昔は繁盛してたが、4年前から閑古鳥が鳴いちまって、

昨日までなんとか自転車操業で頑張ってきたが、今となっては御足がない。


『慟哭』

喉が痛かった、呼吸が出来なかった。

叫び声が聞こえた。

あまりに喉が激しく痛むので気づいた。

叫んでいたのは、俺だった……


『犯行』

みんながぼくを取り囲んでいる。

今日はお祝いのはずなのにお母さんの手には汚れた包丁。

それで初めて、切られたと気づいた


『焚いた火』

神様の目玉はよく燃える。

うず高く積み上げられた無数の目が僕を見ている。

炎の中から見つめている。


『裕福という椅子取り』

一杯のコーヒーを君は無辺際だと考えるのかい、

それとも有限だと考えるのかい?

それが資源に対する考えの根本さ。


LAST

『もしも、あの縄が切れていなければ』




あとがき

いかがでしたか? 

短くとも確かな物語があなたの頭蓋の中で紡がれたと思います。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ