2-3. 作戦会議
「ただいまより、極秘のうみなり島奪還作戦を計画する!」
父と僕たちはうみなり島奪還作戦で集められたチームと昼食しながら、作戦会議をする。
「まずはこの2人に注目。彼は誠、彼女は優だ。2人とも僕と同じうみなり島の出身者である。」
父は僕と優に注目させ、僕と優は立って挨拶をする。
「誠には人魚の祠への案内人をしてもらう。」
僕は料理を飲み込んで発言をする。
「大きな船では通れないし、干潮にならないと祠まで行けない。何十人も連れて行くより、少数で小舟の方がいいかもしれない。」
「そうだな。作戦決定後、祠への突入時刻をその日の干潮時にする。」
父は本気らしい。こうなったら落とし所を向こうが作らない限り、カルトで支配されるうみなり国は終わる。
しばらく作戦会議をした後、作戦は決定。
僕は作戦開始日までに人魚の祠突入部隊と共に訓練を受けることになった。
優は作戦開始日までにうみなり島に帰り、渡されたアンテナ無線を使い、情報伝達する役になる。
優はうみなり島から抜け出しこの世界に来て、うみなり国の異常性に気づいたようだった。
「うみなり国の皆を、この世界に連れていきたい。皆さんどうか死傷がでないようお願いします。」
優はそう言い、うりなり島へ送迎する車へ乗って去る。
激しい訓練が休む日なく続き、消耗しきった僕は念願の突入日が明日になり、一安心する。
作戦は完璧だ。
1.うみなり島周辺を完全に海上封鎖し数日放置。
2.「食料はこちらにある。」という放送を毎日何十回も行い、食欲で誘惑する。
3.食欲に負けて、長の命令を背いた住民が来たら終了。
戦闘にならないように、バリケードとスタンガンのみで鎮圧させること。
武力を使ってきた場合のみ、護衛のための殺傷は許可。
優はすでにカルトで支配されたうみなり国へ行き、作戦開始に支障は出ない事を事前に報告。
「皆の衆。明日が本番だ!作戦通りいけば支障はない!作戦終了日には、うみなり住民達と宴会でもしようではないか!!密やかではあるが軽く乾杯しよう!乾杯!」
『乾杯!!』
僕たちは訓練では食べられなかったご馳走をありったけ食べる。
明日が最後の晩餐になる場合もあるため、軍人たちは作戦開始前は必ずご馳走が出るという闇の深い習慣である。
そして作戦開始日。
ーーーその日、うみなり住民は絶望する。
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