2-2. お久しぶり
玄関に草履が置いてある。
それはわらじ草履で、現代で履いてる人なんているのか?
僕は玄関を上がりリビングのドアを開ける。
「誠!帰ったか。さあ座れ!!」
父が僕を誘導するその横に、ショートカットの美少女が座っている。
「あの…その美少女はどちら様ですか?」
「なんだお前。自分の妹の顔忘れるなよ!優ちゃんがお前に会いに来たんだよ。」
父は笑いながら僕に言う。
「優……!?嘘だろ!どうしてこんな所に。」
僕は驚いた。うみなり国から逃げてここまで来るなんて徒歩5時間以上かかる。
「あのね…。私山田のおじさんとお見合い組まれて、どうしても嫌だったから夜逃げしてきたの……泣」
「お…お見合い……。って言うかなんで山田のおじさんなんだよ!あのおっさん歳考えろよ!ロリコンかよ!気持ち悪い!犯罪だ!!」
「ロリコン……?よく分からないけど、私あの人苦手で……気持ち悪くて……泣……無理なの……泣」
「そう言うことだ。俺はとりあえずロリコン野郎をぶん殴りたいんだが、誠は優ちゃんどうする。俺はこんな可愛い子が家にいてくれるなら、最高なんだが……。」
「まじで喜ぶなよ・・・まあそんなことより夜逃げしてきたんだね。よかった。あんな狂った所抜け出せただけで優はこれから幸せになれるよ。」
「狂ったって何!?お兄ちゃん!!」
可愛い。お兄ちゃん!!最高だ!!僕にこんな可愛い妹がいたなんて。
ちょっと宗教臭い服装と顔立ちだけど、それはそれでいい。
「いや。すまない。とりあえずお兄ちゃんは優の意思を尊重するよ。安心してくれ。」
「おじさんも優ちゃんの意思を尊重するよ。」
「ありがとう……私来てよかったよ……泣……でもこれからどうしよう……泣」
「優ちゃん!!それなら安心しなさい!!全部おじさんが助けてあげるから!!!!!」
父はおそらく優じゃなくても女の子なら助けてあげるおっさんだと思う。
「とりあえず優。山田のおじさんと結婚したくないってはっきり言うより、婚約者がいるから結婚はできませんの方がまだ円満に切り抜けられるぜ。好きな男とかに頼めばいいんじゃないか?」
「お母さんも山田のおじさんの事気持ち悪がってて、それ試したの!でも、バレてだめだった……。」
さらに詳しく聞くと、山田のロリコン野郎は次期うみなりの長って持ち上げられて、性格が変わったらしい。気弱なおっさんだったけど、父さんが死んで優狙うとかキモすぎる……。
「うーん。うーん。」
「なんだよ父さん。」
「許せん!!許せんぞ!!!!!!!!!!!!!」
びっくりして僕も優も瞳孔が開くほどビビる。
「こうなったら、総理大臣の権限でうみなり島を奪還してやろうか!!」
おいおい。総理大臣のあんたが言うとシャレにならねーんだよ・・・。
「こんな可愛い優ちゃんに手を出そうなんてさぞや大和は無念だろう。よし!次期うみなりの長と調子乗ってるロリコン野郎を絶望させてやろう!!」
この後、この発言が本当だと気付かず僕と優は驚愕する。
ーーー次の日、日本政府はうみなり島の極秘奪還作戦を計画するのであった。