2-1. 再会
こんなにも、大きくなりました。
またこの夢を見た。
それは、少年時代のぶっ飛んだ10年前の思い出を体験する夢だ。
たまに思い出すが、本当にあったか夢だったか妄想だったか正直わからない。
もし本当だとしても、妄想激しいと言われるのがオチで父と母以外話していない。
「今日はゆみちゃんと勉強会だ。新品の服を着て行こう。」
子供の頃は、故郷を変えたいとか考えていたけど今は違う。
あんな狂った島に住んでる人なんて滅びてしまえばいいとしか思えない。
僕は20歳西大法学部の二年生スーパーエリートの安部野誠。
今は将来の総理大臣のため官僚を目指し、学問に励んでいる。
今日はミス西大の女神ゆみちゃんと勉強会。
僕は勉強に集中できる訳がないと分かってはいるものの、断る理由なんてなかった。
「誠。コーヒー飲まないか?」
父はコーヒーが好きだ。僕に色んな豆のコーヒーを飲ませてくる。
「ごめん!もう歯磨いたんだ!行ってきます!」
僕は期待に胸躍らせ、ゆみちゃんが来る10分前を目指し目的地へ向かう。
「お待たせ〜〜!待ったー?」
可愛い。可愛すぎる。性格が悪く腹黒と影で言われるゆみちゃんだが、そんなことどうでもいい。
可愛い。それだけで、全て許される。
「ゆみちゃん!今日勉強やめて遊園地へ行かない?昨日偶然手に入ったんだ。」
もちろん嘘である。一ヶ月前からこの日のために買っておいた。
ゆみちゃん含む女達が大好きなメルヘンの世界。僕は大っ嫌いな世界。
「えー!うそー!うれしー!!行こう行こう!!」
ゆみちゃんは僕の腕を組み、スキップして遊園地へ向かう。
幸せだ。可愛い女の子とスキップしてる自分最高!!
その後僕は、メルヘンの世界を半日以上体験し、ゆみちゃんとバイバイした帰り道。
「もう嫌。あんなメルヘン世界。僕が総理になったら必ず破壊してやる。」
僕はそう心に誓い、家に帰る。
「ん?来客か。」
玄関には女物の草履が置いてある。