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《テープの始祖》

あの魔王復活の日から一週間が経った。


魔物の襲撃はそれほどの被害は出なかったため、すぐに復興は出来た。


そんな中シールスヴェルトは自分の家で頭を抱えていた。


「はぁ・・・」

深い溜息をつくシール。そこに、

「どうしたのシール。」

キッチンの方から声をかけられる。

「いや、あの謎のスキルがな・・・」

「あー、あれね。」

マナが困ったような顔をしている。

「そう、あれだよ。《テープの始祖》とかいうスキルのことでな。」



《テープの始祖》



それはシールがバードリアと戦って偶々手に入れたスキル。

そんなスキルの能力はこんな物だった。



《テープの始祖》


スキルlv1


熟練度0/100


発射(シュート)

•テープを飛ばす

•Bランクまでの魔物の拘束が可能

•魔力消費1



何故このスキルのことで頭を抱えているのかというと、まず、テープという謎の物体。これは前の実験で出来たあの粘着質の物質の強化版みたいなのを紙につけたもので、それが何故スキルとして発現したのかは全くわからない。そして何より魔力消費が1という点。これがそもそもの世界の理を超越しているのだ。普通、魔法というものは誰が使おうが関係なく魔力をそれなりに使うのだ。ましてやこれは一から物質を作り出すものだ。そんな魔法が魔力消費1で行えるなんておかしいのだが・・・


「で?今はどこまでいったのかしら《テープの始祖》さん?」

マナが微笑みながらからかうような口調で言ってくる。

「その呼び方はやめろ。」

「あら、いいじゃないの。私にはいい名前だと思うけれど。」

「そろそろふざけるのはやめろ。怒るぞ。」

そう言うとマナはふふっと笑って誤魔化した。


「それで今、そのスキルはどうなのかしら?」

本当に気になっているらしいマナ。

「それは・・・今はこんなだよ。」

シールは自分のステータスプレートをマナに渡す。



シールスヴェルト

職業…研究者

攻撃…126

防御…75

俊敏…172

魔力…208

魔法適正

無し

スキル

《テープの始祖》






《テープの始祖》


スキルlv7


熟練度286/700


発射(シュート)

•テープを飛ばす

•Sランクまでの魔物の拘束が可能

•魔力消費1

•一気に5発射出可能

[粘着]

•テープが物に張り付く

•最大50m射出可能

[両面化]

•テープの両面に粘着質の物質がつく

[硬質化]

•テープが硬くなる




「・・・すごいわね、これ・・・」

「ああ、意味がわからないぐらいすごいよ、これは。」


そうなのだ、頭がおかしくなりそうなくらいすごいのだこのスキルは。詳しく説明すると、さっき言ったことに加え、スキルlvの上がりやすさ、普通ならば、スキルlvが1から2になるには誰でも一か月はかかるのだ。そもそもlvの上げ方はスキルを使い、熟練度を上げてスキルlvも上がるのだ。そしてlvが上がるにつれて熟練度の最大値も上がり、スキルlvは上がりづらくなるものなのだ、普通は・・・普通はだが・・・


だがコレには常識が当てはまらないらしい。村の周りにいる魔物にこのスキルを100回ほど使うだけでスキルlvが上がったのだ。その後も多少は上がりづらくなったとはいえ、それでも多少なのだ。そして[発射(シュート)]は魔力消費1に対し、Sランクまでの魔物が拘束できるらしい。Sランクの魔物は普通に災害級の魔物が大半である。その魔物達を拘束出来るものを一気に5発打てるのだ。コスパどころの話ではない。物質の状態変化といい、スキルの内容の多さといいこのスキルには常識が無いのだ。


だから今シールは頭を抱えているのだ。そして今、まずは常識とは何かをシールは考えていたのだが、やはりこれは常識が当てはまらない何かということらしい。


「シール、これはバレでもしたらあなた、大変な事になるわよ。」

バレれば必ず騒ぎにはなるだろう、だがそれも時間の問題だと思うが・・・

「わかってるさ、それくらい。だから頭を抱えてるんだろう。」

これほどのスキル、勇者レベルでなければ手に入れられない代物である。言ってしまえばチートみたいな能力なのだ。

「というか、スキルlv7は今まで聞いたことが無いのだけれど・・・」

「安心しろ、俺もだ。」


全然安心出来ないのだが・・・


そうやって二人で話している時。

コンコンと家のドアをノックする音が聞こえた。


「誰だ?こんな時に」

そしてドアを覗くと

「シール?いないの〜?」

といつものように見ている幼馴染の顔があった。


「どうしたんだよ、シル」

「あっ、シールいたのね、よかったよかった。」

「いや、こっちは良く無いんだが。」

えっ、とショックを受けるシル。

「そうよシル、私とシールの時間を邪魔しないで頂戴。お邪魔虫。」

「なっ!どういうことよマナッ!」

「こういうことよ。」

「ちょっ、おまっ」


そう言ってシールスヴェルトの腕に抱きつくマナ。

ふにふにと胸を当てている。

「なっ、シールから離れなさい!この貧乳!」

「な、何を言っているのかしらこのアホの子は」

マナが顔を引き攣る。

「ひっ、でも事実じゃない!この貧乳!」

少し怖かったらしい。が、耐えてもう一度言い直す。ただ、それはダメだったみたいで、

「それ以上言うなァァッッ‼︎」


ビクッッ!


マナがキレた。

シールが怯えている。

シルは怯えながらももう後には引けないのか、耐えながらも悪口を言う

シルとマナが互いにバカだのアホだの貧乳だのと喧嘩(?)を始める。シールを挟んで・・・


「またかよ、勘弁してくれよ。はぁ・・・」


シールスヴェルトは綺麗な女の子二人に腕に抱きつかれても遠い目をしながらも冷静でいるのだった。


それから二人の喧嘩(?)が終わるのに数十分かかった。


「それで二人は何を話してたの?」

「あのスキルだよ。」

「あのスキル・・・ああ!あのスキルね」

シル、あのスキルの存在を忘れていたらしい。

「で?そのスキルがどうかしたの?」

「どうもこうもこのスキルの性能がおかしいんだよ。」

「そうなの?見せてもらってもいい?」」

「あぁ、いいぞ」


「・・・ナニコレ」

シルが壊れた!

「まぁこうなるのもおかしく無いよなぁ」

「それどころじゃないと思うけど・・・何か魂みたいなものまで出てきてるわよ」


こうやって一週間前の出来事が嘘かのようにこうやって三人の日常は過ぎていく。










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