8話 決意
………………。
コレ、見なかったことにしていいかな。
正直に言って、見なかったことにしたいわ。
いやだってさ、本当に人間じゃなくなってるし、能力とかもすごいじゃん!
見なかった事にしたくなるに決まってるでしょう?
そもそもこんなすごい能力、私には到底扱えきれません!
て言うか、なんでこんなすごい能力が一個人にあるのさ!?
おかしいだろ!!!
何してんのアランくん!!!???
やり過ぎだよ、有り難いけど、やり過ぎだよー!!
こんな能力あるって知られたら、目をつけられるじゃん!
今のうちに逃げる?
いや、まだ誰にも私の存在を知られていないから、逃げるも何もないか……。
それならこのままここで隠居生活する?
食料と衣服とかあるし、出来ないことはない。
いや、でもそれはなんか嫌だな……。
せっかくの異世界だもん。
冒険したい!!
じゃあ、囲い込まれる前に自分で国とか作っちゃう、とか?
やっぱりそのほうがいい?
そもそも国とか一個人に作れるかな?
うーん、どうだろう………。
それか、能力を隠す!
でも隠せるかな?
私、能力隠して生活できるかな?
うーん、どうだろう?
なんか私にはできなさそう……。
だって好きにスキル使いたいし、ないと思うけど大切な者が壊された時とかは能力制御できる気がしないもん。
て言うか、絶対にできないわ。
まぁ、大切な者とか作る気ないし、作らないけどね?
もしも、そんな者ができて、誰かにそれが傷つけられたり、壊されたりしたら私は、たぶん能力を隠すことなく全力で相手を殺しに行くだろう。
奪われたら、壊されたら、傷つけられたら、殺されたら、私は絶対に自分を隠すことができない。
もう2度と奪われたくないから。
目の前で大切な者が居なくなるのは嫌だから………。
だからそんなことになったら、そんな状況に追い込まれたら、私は私ではなくなるだろう。
まぁ、大切な者を作らなければいい話なのだけれど。
未来は不確かだから。
この先何が起こるかわからないから。
だって、異世界に来るなんて誰も想像ができないことが、今起こっているんだもの!
この先の未来なんて想像もできないでしょ?
だから今を精一杯生きたい。
未来に何が起こるか、何が待っているのかは神ですらわからないかもしれない。
だけど、私はこの世界で生きていくかぎり、必ず何かを成し遂げてみせる。
アラン君が言った通りなら私は簡単に死なない。
なら、この世界で生きていこう。
私にできることがあるかもしれない。
あの世界では幸せなんて全然なかったけれどこの世界ならあるかもしれない。
何年かかってもいい。
私がやりたいことを、守りたい者を、幸せを見つけたい。
私に出来ることなら何でもやって見せる。
今の私にできることを………。
この世界で!!!