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拍手喝采我が運命  作者: 白沢トモ
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緋い詠

「まず自己紹介から始めましょうか!皆さんご存知の通り私は山口辿華(やまぐちてんか)です! 城ノ内組の今日から城ノ内組若頭(・・)御付きになりま~す」

 やはりここは城ノ内組の屋敷だったようだ。友希は頬をひくつかせながら苦笑を浮かべる。

 辿華は元気溌剌! といった様子で「じゃあ次は雲雀様!」と話を続けた。


城ノ内(じょうのうち)雲雀(ひばり)じゃ。城ノ内組の跡継ぎ候補の一人じゃ。まぁ、貴様が来てしもうたから可能性は低いがの。」

 ジロリと友希を睨みつける。この人はなぜこんなにも俺のことを親の仇のような目で見てくるのかと友希は思った。


 て言うか城ノ内って本当に親族住んでるじゃないか、なにが噂だ。友希は毒づいた。

 ふと、二人の視線がこちらを向いていることに気が付いた。なにか言わねばいけない雰囲気だ。

「あの……なんで俺がここに連れてこられたのかが未だ理解が出来ないんですが……」


 困ったようにいう友希に雲雀は心底呆れたような顔をする。

「辿華……お主、此奴に知らせておらなかったのか?」

「いや~、ドタバタしてましたからねぇ……」

 えへへへ、とバツが悪そうに頬を掻く辿華。

(嘘をつけ……嘘を)

 あからさまに表情を出さないように気を付けつつ、だけれど目線を送る。


 雲雀はその視線に素早く気付きふたたび、呆れたようにため息をつきつつ、話を続けた。

「お主は昔から本当に変わらんの。まぁよい、遅かれ早かれいずれは貴様の耳に入る話じゃし、若い衆を押さえるのもそろそろ面倒じゃ。妾が説明しよう。」

 雲雀はそこまでいうと姿勢を整え、友希の方へきちんと向き合った。

 目線を上げ、視線をかち合わせる。その瞳には真剣な雰囲気が窺えた。


「名取友希、貴様、城ノ内組を知っておるか?」

「えっと……極道集団……ですか?」

 自分でもかなり失礼な事を言っている自信はあった。ぶっちゃけ、本心をいえばこの失言で殺されないか心配だ。

 だが予想とは裏腹に、雲雀は満足げに頷いた。


「そうじゃ。城ノ内(ウチの)組はバリバリの極道じゃ。けどのぉ、ケジメはきっちりつけとるつもりじゃ。巷では裏で街をおさめてるだのなんだの色々言われてはおるが、その通りといえばその通りじゃ。だが、城ノ内組(ウチ)は普通の極道集団とは少し違う。そして、普通の人間(・・・・・)とも少し違う。」

 そういい、雲雀は立ち上がる。駄々っ広い部屋の一番隅へ向かい、どこからか薙刀のようなものを取り出し掲げる。

 ?マークを浮かべ、状況を全く理解できていない友希を放置して、瞳を閉じ深呼吸をしながら、心を落ち着かせる。

 すうっと息を吸い込み、目を開けて雲雀は……詠った(・・・)


「『(あか)き紅の(いしずえ)よ 我は待ち望む 彼の焔のように

 我が心身を解放するも それは儚き虚飾と化す 

 唸れ我が真意 どれだけ念じ願おうが それは儚き夢と散る

 叶わぬ夢をいつまでも 背負っていたい さようなら』」

 雲雀のもつ薙刀のまわりに緋い輝きが煌めく。額から汗が一筋、流れ落ちる。


 相変わらず状況を掴めず、目の前でとんでもないことが起き、唖然としている友希を置いて、輝きはどんどんと強くなり、緋を通り越して白く染まる。

「『ヴァン……』」

「そこまでですよ~雲雀様。」


 辿華は異常な程の脚力で、一瞬のうちに飛躍し雲雀の口を手で塞いだ。

 雲雀は抵抗することもなく、そのままガクンと体勢を崩し地面に伏せた。完全に気を失っているように見える。

「これで分かりましたか? 普通の人間とは少し違うっていう意味が。」

 辿華は慎重な手つきで雲雀を抱え寝かせると、未だ唖然としている友希に向かって問い掛けた。


 友希の内心としては、なんだこれは?? という考えでいっぱいであり、なんでこんなことが出来るのか、もしかすると自分はいつのまにかどこか知らない異世界かなにかへ、トリップしてしまったのではないか、と心配した。

 八割がた、自分の頭を。


「極道って……全員こんなことできるんですか……?」

「まさか~、できる人の方が少ないですよ~。雲雀様のことなら心配しないで下さいね! あれはただの疲労ですから!」

「そうですか……あの……雲雀さんがやってたあれってなんなんですか?」

「あれ? 思ったより反応しないんですね~。このくらいだともっと取り乱すかと思ってましたよ!」

 質問で返した友希に対し、思ったようなリアクションが見れなくて残念そうにいう辿華。


「あれ、魔法なんですよ! あ、この事は絶対に他言無用ですよ! もしも誰かに言ったらその存在を消しに行かなくちゃいけないんですから~」

「そ……そうですか……」

 真面目に存在を消すという言動に少し怯える友希。その瞬間ふとある質問が脳内に浮かんだ。


「待ってください。それって俺に簡単に教えちゃっていいんですか!?」

 辿華は一瞬、「そこに気付きましたか」というような表情をしてみせたが、人差し指を口元にあて内緒、というポーズをとり。

「いいんですよ。貴方には……ね」


 感情の読めないような顔で、笑みを浮かべた。

 小説の更新はまぁまぁですが、毎回毎回短いです……

 ご了承お願いします……

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