君が代は日本の歌なのか?
昔はよかったですね。君が代に関しても自由に議論が出来て。
日の丸、君が代の強制教育が行われる前は、当然、君が代は日本の国歌ではなくて、その歴史的背景を問題視する意見ばかりでした。今のように、古来より儀式や祝典に使われていたと主張する人はいませんでした。もし、当時、そのように主張しても、説得力ゼロだったでしょうね。高度経済成長を経験している人は、昔に詳しいんです。
高一の時に、日の丸、君が代容認派で、後に東大に入ったT君と、君が代に関して議論する機会を得ました。
私としては、
国歌に相応しい歴史的背景のある歌
について話し合いがしたかったんですよ。君が代の歴史的背景だけが取り上げられていた御時勢でしたからね。
歴史的背景がある歌というと、リンゴの唄くらいしか知らなかったのですが、まあ、リンゴの唄なら、
戦後の復興に貢献した
という、素晴らしい実績があるため、
国歌に相応しい
と、判断しても良かったのですが、私はそれ以上を求めていました。
でも、直球勝負じゃあなくて、変化球から入ってしまったんです。
「音楽のことは全くわからないんだけれども、オーケストラで演奏しているから、君が代って、日本の歌ではないのでは?」
と、思想信条とあまり関係がない無難な方の話をしてしまいました。
「すると、さくらさくら 辺りがいいのか」
と、T君が思いのほか食いついてきてしまったのです。さくらさくら は、当時、テレビのお正月番組で、よく琴で演奏されていました。
オーケストラは駄目だが、琴なら日本
という感覚だったのでしょう。
私が小学生の頃、渚ゆう子という歌手の京都の恋という歌が大ヒットしたのですが、テレビのベストテン番組に、特別枠で出演していました。その理由は、京都の恋の
作曲と演奏が外国
のベンチャーズだったため、いくら日本で売れても、
日本の歌として認めることが出来ない
というものでした。その後、京都の恋をテレビで流すため、
歌手、作詞、作曲、編曲、演奏、全てが日本人ではなくても、
日本国内で売れてさえいれば、日本の歌として認める
という風に基準が変わりました。
まあ、テレビの歌番組の基準ですからね。テレビ局が勝手に変えてもいいとは思いますけど。
日本の国歌の場合はねえ。
君が代は、作曲に外国人が関わり、日本の楽器でないもので演奏されていたため、この当時の感覚では、
国歌としては、完全にout
でした。
でも、この頃は、君が代の歴史的背景だけが話題となり、ネットもないので、君が代本体に対する情報は全くなく、日本の歌だと皆勘違いしていました。オーケストラで演奏されているので、違和感はあったでしょうけれども。
それよりも、
日本の歌でないものを日本の国歌にしようとする勢力が、日本国内にいる
ということが、夢にも思いつかなかったのでしょう。
国歌だから当然日本の歌
と皆思っていたようです。