謎の回答《5,000Gに始まる永遠の絶望と希望》
ギド「そんで、第1パーティーと第2パーティーは集合。とりあえずフラックレイディ戦の統括を行います。まず、ラミアエキドナとテイムテイムは誰に依頼されてフラックレイディとマイルジョッカーの依頼を受けたのですか?」
テイムテイム「私達はアメリアの貴族のバスコ=テイって奴の使者から頼まれてフラックレイディを追っていたのぉ。本当は話したかったけどぉ、記憶操作を使うって聞いてたから…警戒はしていたんだけどぉ…追ってるつもりが追わされていたと言うか、操られてたのねぇ…」
ラミアエキドナ「しかし今回は助かりました。もうあんな相手は真っ平ごめんです。依頼主に文句言ってお金を巻き上げてきます。依頼は達成扱いでふんだくります」
ギド「じゃあ工事が一段落したら連絡を取ってください」
ミリアム「あ、そう言えばラミザリアがヴァーテブラルさんに記憶を戻す魔法習ってたよ!存在が消えた人達は思い出せないとは思うけど、ラミアエキドナさん達の記憶を戻してみる?」
ラミアエキドナ「じゃあ…」
テイムテイム「まぁ…気持ち悪いしね」
ラミザリア「キオクナオーレ!キェエエエ!」
ラミアエキドナ「ああ…あいつ…!」
テイムテイム「とりあえず生まれ変わったら殺すわぁ」
ギド「聞かない方がいい…?」
ラミアエキドナ「まぁ、エゲツナイ奴だね。記憶操作は一度触れたらあとは見るだけで操作できるみたい。消滅は…多分、長めに触れるだけかな。よくもまぁこんな奴から3回も逃げられたな…。あいつ…本当に死んでよかったです」
テイムテイム「腹立たしいわぁ!」
ミリアム「あ、もし、記憶操作がされていたなら酒場のマスターも記憶を戻してあげたら?」
ギド「そうだな、ラミザリア頼む」
ラミザリア「キオクモドーレ!キェエエ!」
ギド「(呪文違ってね…?)」
酒場のマスター「おお、思い出した。女性2人組が店に来た客を拉致していって…ふむ、どんな客かは全くわからん。なんだこれ」
ギド「記憶操作って解除したらまだらに戻るのか?」
ミリアム「あのおっちゃんじゃない?ほら、吟遊詩人の…」
酒場のマスター「吟遊詩人?詩人なんて何年も来てないぞ」
アルス「は?毎日居て歌ってただろ。俺が来た日から毎日居たぞ?」
ミリアム「もしかして…」
ラミザリア「あっ…」
ミリアム「あの骨の人…がその吟遊詩人じゃない?ほら、薬草ヶ丘に埋まってた人」
ラミザリア「あのメッセージを見た私達しか、吟遊詩人=預言者の存在を感知出来ないのでは…?」
ギド「そういえば…」
アルス「なるほど、あの時の3人組…あのクソ女達…と吟遊詩人=預言者だったのか!」
ミリアム「存在を無かった事にするとか…、吟遊詩人=預言者さんじゃなかったら骨もメッセージも残らなかったって事よね?それって、存在を消されたらギドやアルスや、ラミザリア…私もはじめから居なかった事にされるって事…?」
マスター「私の記憶にない客…も複数居る。もしかして…いや、何でもない。もしよかったらその石見せてくれないか?」
ミリアム「はい、どうぞ」
マスター「もしよかったら、これ譲ってくれないか?」
ミリアム「えっ?」
ギド「まぁ、どの道…預言の事はずっと内緒にする予定でしたし…マスターにだったら良いんじゃないか?」
マスター「5,000Gで買い取るよ」
ミリアム「マスターにだったら」
ラミザリア「私も構いません」
アルス「どうぞ」
ギド「お金は結構です。あ、ご飯奢ってください」
マスター「ありがとう。次来たら特製シチュー腹一杯食わせてやるよ。…5,000Gまでな」
ミリアム「ふぅ、なんかもう疲れちゃった!そろそろ真面目な話やめない?お腹すいたし…」
ラミザリア「そうですね…。貧血気味と言うか…少し休みたいです」
ラミアエキドナ「預言者だとかなんだとか…何の話だ?」
ギド「これは…まぁいずれ話します。それまでは内緒で良いですか?」
ラミアエキドナ「ギドが言うならそれは必要な事だと信用します」
テイムテイム「魅力が火を吹くわよぉ…」
アルス「利き手がこれなんで勘弁してください… …いたたたた!」
ラミザリアが身を乗り出してアルスの利き手を優しく包み込む。
ラミザリア「利き手が痛いみたいですので…魅力は控えていただけますか?」
ラミアエキドナ「ウーン、まずその手を放せ」
テイムテイム「もーぅ気になるじゃないの!」
…収拾がつかなくなったのでとりあえず、預言者の件はテイムテイムとラミアエキドナには話す事にした。夕食を済ませた後も説明に翻弄されて夜は更けていく…。
◇ ◇ ◇ ◇
オマケ1
救護院のミリアムとラミザリアの部屋でのギドが目覚める直前の話。
ミリアム「あー、めっちゃ生きてるねぇ」
ラミザリア「そうですね」
ミリアム「大丈夫かなー」
ラミザリア「あとはギドだけ目覚めればオッケーかな」
ヴァーテブラル「そうですね、グブブブブブブ」
ミリアム「うあ!吃驚した!」
ヴァーテブラル「吃驚させました!グブブブブブブ…」
ミリアム「何か用ですか?テーブルマウンテン工事の事ならギド達に…」
ヴァーテブラル「いや、今日は伝言と別な用事に参りました。ミリアムさん、貴女にです」
ミリアム「え?誰が?私に?」
ヴァーテブラル「リブと言う方を御存知ですね?」
ミリアム「はい、『魔術大全』を私に渡した人です…でももう…」
ヴァーテブラル「はい、そのリブさんは私の同僚で、貴女に『魔術大全』を渡した後は私達の元に戻って来てます。まぁ、渡すのが仕事ですので、それが終われば戻って来てます。死んでもないですよ。まぁ、変身する前の姿は私と似たようなものですし…死んでると言っても過言ではないのですが…グブブブブブブ!」
ミリアム「そうなの!?てっきり死んだと…。まぁ、無事ならいいや」
ヴァーテブラル「はい。伝言と言うか、『魔術大全』についてです。あれは、書いてある魔術を全て使用して、更に書かれている全ての魔導具の製作を終えたら…隠されていた内容が新しく追加されていきます。正確に言えば頁が分裂します。つまり、試せば試すほど使える魔法が倍々に増えて行く訳です。
そこまで言えば分かるとは思いますが、リブからは現状進捗状況が悪いので、もっと魔法の道を行って欲しいとの伝言です」
ミリアム「へぇ!」
ヴァーテブラル「真面目に頑張って下さい、グブブブブブブ…」
ラミザリア「ミリアムに『魔術大全』を渡した理由は何ですか?そしてミリアムをサポートする理由は…?そして何故ミリアムなのですか?」
ヴァーテブラル「グブブブブブブ…。ミリアムに限った事ではなく別に誰でも良かったのです。ただ、運命の光と言うか、何となく彼女を選びました。ミリアムをサポートする理由はたまたま今回フラックレイディとの戦いに関わったので、そのついでです。これもまた運命かもしれません。『魔術大全』に関しては、禁則事項なので言えません。悪しからず…!」
ミリアム「そう言えばリブさんは『魔術大全』の事良く使ってあげてねって言ってた!」
ヴァーテブラル「使ってあげてください。グブブブブブブ…!そして用事の方ですが…御2方にプレゼントを持ってきました、まぁ物ではありませんが…」
ラミザリア「私も?」
ヴァーテブラル「おまけです。グブブブブブブ…!」
ラミザリア「おまけですか」
ミリアム「なにー?」
ヴァーテブラル「まず、ミリアムさんは…魔法使いとして致命的に才能がないと言うか…憐れ過ぎる感があるので、特別にチャクラを解放してあげます。ラミザリアには…記憶操作に関する解除魔法と抵抗魔法を授けます。もし良かったらフラックレイディの被害者やマイルジョッカー対策に使ってください。グブブブブブブ…」
ラミザリア「後始末ですか…!」
ヴァーテブラル「そうです、マイルジョッカーは破片ではありますが、フラックレイディの力を有しております。それは召喚・創造・記憶操作です。特に創造の力が強いみたいですね。
まぁ、それに対しての力がこの世界には無いので、完全記憶操作に関してはサポートしておかないといけないかと思いまして…。ミリアムへのプレゼントは憐れみです」
ミリアム「え」
ヴァーテブラル「身体にある光の粒を数えてみてください。僅か4つくらいじゃないですか?MP4は魔法を使わない人達より低いです。とりあえずチャクラを解放したらば、体内の光の粒は増えるでしょう。まずは普通の魔法使いとして活躍してもらわなければいけませんからね」
ヴァーテブラル「いいですね?」
ミリアム「はい!」
ヴァーテブラル「では…」
ヴァーテブラルの手がミリアムの下腹部へとズブズブと入っていく。
ヴァーテブラル「下腹部のチャクラを開けるようにしておきますので、次からは困った時は下腹部のチャクラを開いて光の粒を出して下さい。…はい」
ヴァーテブラルはぬるぬると下腹部から手を引き抜く。
ヴァーテブラル「あれ…?」
ミリアム「うー」
ヴァーテブラル「もしかして…あまり増えてませんか?」
ミリアム「6粒くらい…増えたかな」
ヴァーテブラル「あー…、まぁ、たまに有りますね。こんな事」
ラミザリア「どう言うことですか?」
ヴァーテブラル「魔法は…MPと呼ばれる光の粒を消費して使うってのは分かりますね。
その光の粒…つまりMPはマテリアルポイントとかマジックポイントと呼ばれています。このマテリアルと言うのは、イメージを顕現させる力と言う意味です。
1粒は最小単位ですが、1粒のその大きさや性質はそれぞれなんです。
そして、チャクラと言うのは、その光の粒のやってくる高次元への扉で、人間には7つ程あると言われています。今回はそのうちの1つを解放したので、ミリアムの身体には、高次元からやってくるMPの通る道が出来たという事です。ここまでは大丈夫ですか?」
ミリアム「うーん、まぁわかります」
ラミザリア「問題ありません」
ヴァーテブラル「そのチャクラはミリアムの魂との通路なのです。ですから、チャクラを解放して流れ込んでくるMPが少ない原因について考えられる事として、ミリアムの魂が弱い魂または弱っているという事。若しくは、MPの粒1粒1粒の質が良くて大量生産出来ていないと言う事です。光の粒が大きかったり、色がついていたりって事はありませんか?」
ミリアム「白いなー、小さいし…。」
ヴァーテブラル「まぁ…封印されてる訳でもなく…呪われている訳でもなく…謎が謎を呼びますね。まぁ、それがリブが貴女に『魔術大全』を預けた理由かもしれませんし、その話はこれ迄にしましょう」
ミリアム「そうですね。はー」
ミリアム「そう言えばラミザリアはMPどれくらいあんの?」
ラミザリア「私のMPはチャクラ未解放ですけど、100は越えてますよ」
ミリアム「ほへー」
ヴァーテブラル「グブブブブブブ…因みにテイムテイムさんは1000くらい有りますよ。チャクラ未解放でこれは大魔導師と呼ばれるくらい凄い事ですが、本人は無駄に気付いてませんね…!」
ミリアム「そうなんだ!」
ヴァーテブラル「そろそろギド君が目覚めそうですので私はこれで…」
ヴァーテブラルは普通にドアを開けて出ていく…。
ラミザリア「急に出てきた割に出ていく時は普通なんですね」
ミリアム「MP切れたんじゃない?」
…遠くの廊下で看護婦さんの悲鳴が聞こえた気がした。
ギド編はもう少し続きます。予定話数は軽くオーバーしてますが、書いていて楽しいので…。




