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メタリアトラス!~冒険者達~  作者: 林集一
ギド達の旅立ち
3/61

VS犬鬼(コボルト)

 

 さて、酒場にて買取り依頼を見たギド達は、少々の擦り合わせの後、酒場から歩いて1時間程の裏山に来ていた。


 一応程度の隊形を組ながら裏山に足を踏み入れる。木々は秋に入りつつあり、道々には一面銀杏の黄葉が散らばっていた。ギドは目的の一つ、銀杏の葉を拾いつつ、ついでに銀杏の実も拾いながら歩く。


「ギド、ミリアム……。銀杏の実を拾ってると思ったら、葉っぱも拾ってるがどうしたんだ? 銀杏の葉なんて何に使うんだ?」


「包帯の傷当てに使います」


「再生の魔法の触媒に使うのよー!」


「再生の魔法? 親父の手帳に銀杏の葉が傷に効くって書いてあるが、魔法の触媒にする程の効果があるんだな」


「いや~! それが効果が微量過ぎて、触媒として使うなら同じような素材を5種類くらい集めないと目に見える効果は出ないんスけどねー!」


「そうか、それは知らなかった。しかし、大変だな素材集めって……。俺も矢の材料を集めるのは苦労するが……」


 ギド達は雑談を行いながら森の奥へ入っていく。森は、浅い位置には街の人の植樹した銀杏が立ち並んでいるが、50mも奥に進むと、原生林のようになっており、明らかに植生の違う植物が生い茂っている。


 そこから先は麒麟蔓と呼ばれる繊維質の強い蔦草が絡み合って、行く手を阻んでいた。麒麟蔓は多少荒れた地面でも育つ雑草のようなものなのだが、魔素の濃い場所にしか生えないと言う特徴があった。


 魔素――とは、長い間触れていると毒となる空気の事で、澱んでいる場所によく溜まる。これに長期間触れる事で動物や植物、また土までもが魔物化するのだ。麒麟蔓もある種の魔物化した植物と言われている。特に襲ってくる事もないが、その再生能力は凄まじい。


 つまり、麒麟蔓が生えていると言う事は、この先に魔物が出る可能性があると言う事だった。


 ギドは麒麟蔓をショートソードで切り払いながら手でしごいて葉を落として採集していく。道を作りつつ素材も集める一石二鳥作戦だ。それを見たアルスが話しかけてくる。


「ギド、その蔦草、俺にも分けてくれないか?」


「いいよ、沢山あるし。あ、この短剣貸すから、これ使って斬るの手伝ってくれないか?」


「すまん。金が入ったらまず先に短剣を買うわ」


「アタシも何か出来るかな?」


「この蔦は紐にして沢山使うから、蔦を手でしごいて葉っぱを取っていて欲しい」


「背嚢に入れたらかさばるから、幾らかはこの杖に巻いておこうか?どうせ使わないしー」 


「あー、うん。頼むよ。紐は沢山あればあるほど良いからね」


「俺も身体に巻いておくぞ」


「アタシも身体にぐるぐる巻くー!」


 1時間ほど麒麟蔓と言う名の森を切り開いて奥まで進んだ。ギド達の全身は蔦草がぐるぐると巻き付いており、人が見たら 魔法の蔦で拘束されていると言っても過言ではない状態となっていた。


 それから暫くすると、ギド達はふと麒麟蔓がなくなる広間へと出た。皆の顔が引き締まる。ココから先が裏山攻略の本番となる。


人々が魔物を森から出さないように臭気を放つ銀杏の木を森の入り口に植えた様に、魔物達を守る揺り籠として魔物達の巣を麒麟蔓が取り囲んでいる。つまり、此処から先は魔物のゆりかごとも言える場所なのだ。


 森は魔素の影響を受けた奇形の木や、よく分からない植物が生えている。ここから先は魔物が出る可能性がある。しかし、それでもこの森には水包(スライム)程度の魔物しか居ない筈だった。犬鬼(コボルト)なんて年に数回しか出てこない。


「……居るな」


 アルスは耳の裏に掌を広げて音の反響を確かめる。


「ああ」


 ギドもなにか危険なにおいを感じとる。


「え、どこ?」


 アルスが指差す方向に目をやると、10mほど先の岩の影から犬鬼(コボルト)の鼻がはみ出ていた。ギド達の臭いを嗅いでいるのだろう。口先から舌が出ており、明らかにギド達を餌と認識していた。


「これ、返しておくぞ」


 ギドはアルスから短剣を返してもらう。


 アルスは自由になった右手で弓を構え、岩場に向かってキリと引き絞った。


 アルスのアイコンタクトを受けて、ギドは岩場の鼻の反対側に回り込むようにして石を放り投げる。


 ガサッ!


 不意に立てられた音に、犬鬼(コボルト)は岩場から追い出されるように姿を表した。そこにアルスの放った矢がビィン!と突き刺さる。


「グギァ!」


 犬鬼(コボルト)は左肩に刺さった矢に一瞬躊躇するものの、ギド達を子供と認識してか爪を振りかぶって突っ込んでくる。


「援護を頼む!」


 ギドがショートソードで犬鬼(コボルト)の爪を受け止め、弾き返す。犬鬼(コボルト)はギドより少し小さい130cm程の身長なので、まともにぶつかれば犬鬼(コボルト)の方が後ろに飛び退く事になる。


 犬鬼(コボルト)は後ろに飛び退いて体勢を崩した。そこで放たれたミリアムの援護投石が頭にヒットする。


 恐らくダメージはないが、犬鬼(コボルト)に一瞬のスキが出来た。そこを狙って、アルス第2の矢が放たれ、犬鬼(コボルト)の脇腹に刺さった。第1の矢を射ってからおよそ5秒程の早業だった。


 2発の矢を受けたまま、ギド達3人それぞれに気を配らねばならないコボルトは明らかに動きが悪くなっている。正眼で対峙するギドが犬鬼(コボルト)の集中が切れる瞬間を見つけるのは容易い事だった。


 ショートソードを片手で持ち前に突きだして身体を半身にする、リーチを増した構えからの一撃。ギドは犬鬼(コボルト)の喉を切り裂き、返す剣で突き倒した。


「やった!」


「やったー!」


「ふぅ、何とか当たったな」


「……初めてコボルトを倒した」


 ギドは興奮を隠すようにショートソードを振り回して血を飛ばした後、鞘に納める。


「私も!」


「俺もだ」


「みんなもか」


 皆は水包(スライム)程度の退治は経験があるが、強さでは比にならない人の形の魔物討伐という共通の初体験にギド達は変にテンションが上がっていた。


「しかし、犬鬼(コボルト)って解体しても買取り品が殆んど居ないんだよな」


 アルスの呟きに現実に帰る3人。犬鬼(コボルト)の皮は鞣して衣服等に使えるのだが、解体費用を店に委託するのであれば、±0に近い値段でしか引き取ってもらえない筋金入りの害獣なのだ。解体士が居るのであれば、解体しても悪くないのだが、あまり気分のいいものではない。しかし、犬歯は魔法の触媒に、爪は武器やアクセサリーに、睾丸は薬に使われる事があるので、一応取引自体はされている。


「ごめん! ギドかアルス、犬鬼(コボルト)の犬歯は触媒にするから抜いて貰って良いかな?」


「……ああ、私がやる」


 ギドは犬鬼(コボルト)の顔の前に座り、短剣を使って犬鬼(コボルト)の犬歯を4本くり貫く。ついでに股の間にある素材も切り取る。その場にいた2人はその場面から目を反らしたが、ふぐりの無いミリアムはニコニコしながら見ていた。


 こいつはエグい。


 それ(・・)を側に生えていた葉っぱでくるんで布袋に入れ、背嚢に入れ……ん?


 ミリアムが両手を突き出して微笑んでいる。


「もしよければ、それもくれないかなー?」


「ぇ? ぁ、いいけど」


「そっちも一応魔法の触媒になるんだ。使い道はあんまりないんだけどねー」


「どうぞどうぞ」


 ギドはそれをミリアムに手渡した。


 アルスは犬鬼(コボルト)に刺さった矢を回収し、外れた鏃とシャフトを分けて予備の矢筒に保管した。帰ってから修理するのだろう。


 パーティは犬鬼(コボルト)の飛び出してきた岩場の先へと進んで行く。


 岩場の先には薄暗い竹林が広がっており、根本には伸びすぎた筍のような物や、キノコのようなものもあった。それを見たアルスはギドとミリアムを呼び止めた。


「少し伐採していいか?竹を採取しておきたい」


「どうぞどうぞ」


 アルスは背嚢から伐採用の糸鋸を取り出して竹を切り始める。


 ギドとミリアムは、先程の犬鬼(コボルト)の件もあるので、あまり離れないようにしながら、竹の根っこの方にあるキノコを物色して歩いた。


「これが爆裂キノコか、物騒な名前だな」


 ギドは冒険の手帳のキノコ判別法を見ながら採取していく。


「なにそれ凄い! その手帳見せて見せて! アタシも一緒に見ていい?」


「ああ、勿論。手は多い方がいいからね。私は爆裂キノコと発火キノコと閃光キノコを探してるんだ。発光キノコは確か今酒場で買取りしてたはず」


「あぅ、私の欲しい素材と被ってるわ」


「私は自衛の道具を作るだけだから少しでいいんだ。だから、必要以上見つけたらあとは全部あげるよ」


「ホントに!? やっほぅ!」


「……ミリアムは天然だし、ギドはお人好しだし、俺達、駆け出しのメンバー同士で組めた事はかなりの幸運だな…」


「そうだな。ミリアムはほっておけないタイプだな」


「そうだね! 今とっても楽しいよ! この3人でパーティが組めて本当に楽しい!」


 ギド達は談笑しながらさらに一時間ほど採集した。


「悪いな、待たせた。何とか矢筒一杯の竹籤を補充できたぜ」


「こっちも沢山キノコ採取できたぞ。私の欲しい分は確保できた。あと竹も少し手に入れたしな」


「余った私の分もこんなにあるんだよ! 発火キノコ7つと爆裂キノコ2つ! 買取りの発光キノコは5個も見付けちゃった! あとこれしいたけだって! 10個くらいあるよ!」


「これは2人にお礼だ、竹で水筒を2つ作った。あと、後でミリアムには竹の巻物を作ってやるよ。魔法の触媒に使ったりするんだろ? 矢を作るついでに竹札を幾つか作ったからな。それとギドにはこれやるよ。素材採取した時に入れる竹筒×2だ」


「アルスいい人ーー!!!」


「ありがとう」


「みんなの必要な素材は揃ったか? 俺はこんなもんで良い。酒場を出たのが昼過ぎだから、そろそろ日が落ちる。特に欲しい物がなければ引き返そう」


「あ、あと蓬と青苔と月桃の葉っぱが欲しいです」


「蓬は町の近くに沢山生えてる場所があるから後で行こう。俺が教えてやるよ。青苔は……生えてるとして洞窟か、参ったな」


「あ、あそこに洞窟あったけどそこに無いかなー?」


 ミリアムの指差す方向に確かに洞窟らしきものがある。


「あんな薄暗いところ良く見えるな……」


「私夜目は利くのよ! アルスは昼の目と耳がいいんでしょ?」


「良くわかったな! ただのアホと思ってたぜ」


「アホとは何よ! ぷんすかー!」


「確かに犬鬼(コボルト)を一番早く察知したしな。やっぱり射手は目が良いのか」


「ともあれ、急ごう。陽が暮れる」


「助かる」


 ギド達は竹林の奥、洞窟の入り口に駆け寄って行った。

覚える事


ギド(短剣)

アルス(弓)

ミリアム(魔法)


パーティーの名前は階段状になります。


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