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メタリアトラス!~冒険者達~  作者: 林集一
ギド達の旅立ち
29/61

☆6人クランの初会議その1・2

ギドは小鳥の鳴く声で目が覚めた。

 

ギドはハイドレザーコートの温もりに包まれている眠りより目覚めて、頭をあげる。すると洞窟に光が差しているのに気付く。そういえば昨日は拠点のY字路の先に眠ったのだが、今やそこにはラミアエキドナの鉄槌によって出来たもう1つの出口があった。


その出口から小鳥が見える。


ヒュッ―!


ヘッドショットにて一撃。矢が刺さったまま鳥が転がって行く。

 

振り返るとうっすらニヤケ顔のアルスが弓を構えていた。

 

仲間の小鳥が射られたのに気付いた小鳥達が飛び立つ――

 

その瞬間。

 

ッ―バサババサッ―

 

斜め上より閃光のような矢が地面に突き刺さる。矢には今まさに飛び立った小鳥が2羽串刺しになっていた。

 

アルス「姉さんか……」

 

矢が降ってきたあたりから鱗の鎧の上に金属製の防具を着けた女性が降ってくる。手には竹と麒麟蔓で今作ったような弓が握られている。

 

  

ラミアエキドナ「おはようアルス……と皆さん」

 


ギド達は各々頭をあげて座り、頭を下げて挨拶をする。

 

ギド「おはようございます」


ミリアム「おはようございますー」


ラミザリア「おはようございましゅ…」


アルス「おはよう、姉さん。おはよう、みんな」


 

ラミアエキドナ「テイムテイムが朝食の準備をしてくれているので、皆で行きませんか?鳥は今の3羽を足せば20羽は獲れてますから、1人3羽は食べられますよ」 



ギド「じゃあ遠慮なく行かせて貰います…」


ミリアム「3羽も…」


ラミザリア「手伝いましょうか?」 


 

ラミアエキドナ「手伝いは必要ありません。他の鳥はもう解体してありますから、あとこの鳥だけなのです。昨日解散した後に急いで掃除して仕上げた私達の地下拠点へご案内します」


ミリアム「昨日夜中までガゴガゴ聞こえてたのは…」


アルス「多分、鉄槌で洞窟の形を整えてたんだろ」

 

ギド「凄いですねー」

 

ギド達はラミアエキドナの案内で、ギド達の拠点を裏口より出て、隣3m程にあるラミアエキドナ達の拠点へと案内される。地下への道だったが、ギド達の拠点の2倍は明るい。日光は入り口すぐのところまでしか入らないのだが、それよりすぐの壁面に灯りがついている。

 

ラミアエキドナ「この灯りはトーチストーン。作り方がわかれば簡単に作れる魔導具よ。私は出来ないけれどテイムテイムは5分くらいで作るの。ここの拠点には20個くらいついているよ」


ミリアム「凄い…」


ラミザリアはおもむろに石を拾って試す様に力を入れる。

 

ラミザリア「……」


アルス「危ない!」

 

アルスは目の前のラミザリアが倒れそうになるのを、抱き抱えて支える。その手から壁面で光っている物と同じトーチストーンが転がり落ちる。

 

テイムテイム「あらぁ、ラミザリアちゃんは見ただけで作り方がわかったみたいねぇ…。そして皆さんおはよぉ、そしてそしてようこそ私達の拠点へぇ」

 

ギド達は入り口から下りの階段のような坂を7m程下に降ると真四角の4m程の部屋が現れた。階段の下は雨水避けに少し凹んだ水路が出来ている。脇にはギド達の分まで入る靴置き棚と椅子が3脚ある。床には隙間なく竹の敷物が敷かれており、壁には1m50cm間隔でトーチストーンが設置されており、部屋の奥にある竈の火と相まって結構な明るさになっている。竈付近は台所となっていて、竹で出来た水筒などの機具が沢山下がっている。部屋の中央には真四角な竹の机があり、5つの竹の椅子に囲まれていた。また、部屋の隅には…恐ろしい事に井戸があった。

 

ギド「これは…」

 

アルスはラミザリアを椅子に座らせて靴を外す。


ラミザリア「ありがとうアルス、ちょっと立ちくらみしただけだから…大丈夫です」

 

ラミアエキドナ「いやお姉さんは大丈夫じゃないわよ…」ワナワナ

 

アルス「何でもないったら」


………。


ミリアム「あ、あのテイムテイムさんがこのトーチストーンっての作ったんですか?」

  

テイムテイム「そうよぉ、昨日だけで10個も作らされてMP限界よぉ!このトーチストーンってのは火魔法のトーチライトの魔法式と大量のMPを石に念じ込む荒業なんだけど…、3日くらい明るいまんまだからかなりごっそりMP持ってかれるのよ!」

 

ミリアム「ラミザリアちゃん凄い!私のMPだと普通のトーチ1回分で切れちゃうよ!」

 

テイムテイム「それはあなたが魔法使いを名乗って良いのかわからなくなるくらい致命的よぉ…」


ラミアエキドナ「それは私並の魔法音痴ね…」

 

ミリアム「ァウー」


ギド「でも、使える魔法数はかなり沢山の種類があるよな。本に載ってる50だかなんだか全部使えるんだろ?」

   

テイムテイム「魔力の制御とかは上手みたいねぇ、まぁ伸ばせる所を伸ばして尖った魔法使いも良いかもねぇ。一杯使えるなら万能タイプとも言えるしねぇ」


ミリアム「鍛え直します…」 


ギド「しかし、ここ完全に人の住む家ですね…」     

 

ラミアエキドナ「でしょう?部屋を真四角にするのに結構な時間がかかってしまいました。一応ここは狩人さんの休憩場だったらしく、元々多少は四角形ではあったんですが、真四角にこだわってやってみました」

 

テイムテイム「大変だったわよぉ、私は瓦礫を50回くらいは捨てにいったわぁ」

 

ラミアエキドナ「家具も私が作りました」

 

テイムテイム「竈と朝御飯作ったのは私ですからねぇ」

 

机に手作りの料理が並ぶ。それぞれ竹の食器や箸、コップが存在感を出している。


◇ ◇ ◇ ◇

 

◇小鳥の肉を焼き塩と胡椒で味付けしたもの

 

◇牛干し肉としいたけのスープ

 

◇キクイモの蜂蜜和え

 

◇竹の葉茶

 

 

ミリアム「町で食べるのと同じみたい…!」

 

ラミザリア「美味しそうです…」

 

テイムテイム「私達の役割分担は、灯りや魔法関係、調理は私、狩猟やクラフト、力仕事はラミィにしてもらってるわぁ」

 

ラミアエキドナ「私は料理に向いてないのよ」 

 

ギド「食べていいですか?」

 

テイムテイム「どうぞぉ」

 

テイムテイムは先程獲った小鳥を調理しつつ料理をすすめた。

 

みんな「「「「「いただきます!」」」」」

 

ギド「ぅまぃぅまぃ」

 

アルス「ゥマー」

 

 

ミリアム「とっても美味しいです!」

 

テイムテイム「ありがとぉ、食べてくれる人がラミィしか居なくてもて余してたから、嬉しいわぁ」

            

ラミザリア「これ、何ですか?」

 

テイムテイム「キクイモよぉ、竹林に入る手前に草が沢山生えてたでしょお?アレよぉ」

 

ラミザリア「食べられる草が生えてるんですね!」

 

テイムテイム「この辺は沢山生えてるわよぉ、後で教えてあげるわぁ」

     

ラミアエキドナ「それも含めての話なんだけど…、これからについて話をして良いかしら」

 

ギド「はい」

 

ラミアエキドナ「まず、これからは毎日みんなで夕飯を食べようと思うんだけど、それはいいかな?」

 

みんな「はい」

 

ラミアエキドナ「そこで、1日にあった事を共有する。そして、1人1つ、私達に質問をして貰います。私達はその質問に答えます。お互いに冒険の経験を高めるためにこれをしたいと思います。あと、1日に1人1つと言うのは、あまり詰め込みすぎても身にならないと考えるからです。なるべくはこれまでと同じく失敗しながら覚えていった方が血肉になりますから」

 

テイムテイム「スリーサイズを聞いてもいいけどぉ、計ってないから答えられないわよぉ。触って確かm」

 

ギド「助かります」

 

ラミアエキドナ「あと、モンスターがいる所に出掛ける時は必ず私達にも伝えてから行く事。夕飯までに帰って来なかった場合や、何かあった場合には迎えに行くので、なるべくは正確に伝えてください」        


ギド「はい」

 

テイムテイム「まぁ、依頼とかで何処に行くかわからない時や、不意に変な場所に飛ばされたりする時もあるから、その時に何かあったら…のたれ死ぬしかないからねぇ」


ラミアエキドナ「この拠点からの移動距離だと、魔物の出る場所はバッカスの洞窟、バッカスの洞窟の山の部分にあるテーブルマウンテン、薬草ヶ丘、浜辺、その辺に点在する森くらいかしら、灰火山や魔王城の近くの荒野は…少し遠いからいいか、それについて少し話をします」

 

ギド「はい」

 

テイムテイム「じゃあまずバッカスの洞窟からぁ、ここは酒場のマスターから樽を預かって行くと思うんだけど、自分で樽を作って持っていくやり方もあるわよぉ。お酒を飲みたいなら少し余分に容器を持っていった方がいいわよぉ。あと、モンスターが出る場所は入って右側の道に多いわよぉ、普通は左から行くから気付きにくいけど、スライムの素材もついでに欲しいなら右側の道も通ってみてぇ」

 

ギド「知らなかった…」


ラミザリア「スライムの核が欲しいです…」


ギド「スライムゼリーが欲しいです…。常備薬が切れてますので」

 

ラミアエキドナ「スライム10匹~20匹位は出くわすみたいですね。1週間位ほったらかしてる期間があるとレッドスライムとかも発生するみたい」

 

アルス「そう言えば酒の精霊が近頃酒が溜まってたとか言ってたな…」


ラミアエキドナ「続いてバッカスの洞窟の真上、テーブルマウンテンですね。ここは、山頂までの道にコボルトとゴブリン、たまにホブゴブリン、山頂付近はハーピィが出ます。集団で襲ってきますので、まだ少しギド君達には早い場所ですが、魔石や精霊石が落ちてますので、稼ぎ場には丁度良いダンジョンになってます。いずれ一緒に行きましょう」

 

ミリアム「行きましょう!触媒が沢山ありそう!」

 

ラミアエキドナ「次は薬草ヶ丘。薬草の精霊が居るらしいので、ほぼ薬草か毒草しか生えてません。高いものは生えてませんが、その日の食材や必要な触媒があるなら取りに行っても良いと思います。モンスターはキラービーと洞窟ミミズが主です。

間違えてキラービーの巣を突っつくとそこのアルスちゃんみたいになってしまいます。もしやりたいなら4人とも竹の弓を装備してから行って下さい。遠距離全滅が基本です」

 

テイムテイム「今日の朝御飯の残りと言うか、むしった羽根で矢は沢山作ってあるよぉ。竹の弓も作ったから必要なら物々交換してあげても良いわよぉ」

 

ラミザリア「物々交換!いいですね」

 

ラミアエキドナ「あと、洞窟ミミズが居るって事はわかると思うけど、時々地面に穴が開いてて、地下ダンジョンに落ちる事があるから気を付けてね。洞窟ミミズは土の中の光り物を集める習性があるから、ダンジョンには宝物がある可能性が高いけど、同時に魔素も濃くなるから魔物に注意する事。階段があっても地下2階以下には降りないでね。何が居るかわからないから…。せいぜい1階なら豚鬼(オーク)も居ないだろうし」

 

ミリアム「豚鬼(オーク)に襲われたらひとたまりもないです」     


ラミアエキドナ「あとはその辺の森ですが、やはり高い所や窪地、人の入りにくい場所には魔素が溜まりやすいので、魔物に注意です。場所によっては邪樹(トレント)なんてのも出るかもしれません」

 

テイムテイム「その場合は火矢(ファイアアロー)5~6発撃ってほっとけば30分くらいで死ぬからねぇ。近距離攻撃しようとしたら怪我するよ。ってかあなた達そんな武器もないのねぇ…」

 

ミリアム「火矢(ファイアアロー)1発しか無いです…」

 

テイムテイム「じゃあ食事終わったらキノコ採りにでもいかなきゃねぇ…」   

              

ラミアエキドナ「あと、魔王城近くの荒野は遮蔽物が無いので、かなり遠くまで見渡せます。何か居たらすぐに逆方向…町の方向に全力で走ってください。巨人鬼(オーガ)は我々の倍以上足が速いので、下手すると追い付かれます。追い付かれそうになったらミリアムの猛毒(ベノム)で足止めして逃げてください。荒野の外までは追いかけてこないと思いますが、とにかく姿を見たら数日は荒野に行かない事。私達でも巨人鬼(オーガ)は倒せるか倒せないか五分五分なのです。そもそもほぼ用もない場所なので、行くのは控えてください」

 


ラミザリア「ほぼ?」


 

ラミアエキドナ「行方不明者の捜索や硝子質の砂の採集、地面にある穴蔵に住む盗賊の討伐なんて依頼もたまにあります。たまにですけどね。受けても良いのですが、もしもの事を考えるとオーガの足止めや逃げ切られる足の確保をしてからの方がいいです。しかし、駆け出しの冒険者は盗賊狩りが出来る程強くないし、頼まれる事自体ないと思います」

 

アルス「先にここに来てた俺より詳しい…」

 

テイムテイム「情報収集は基本よぉ。新しい町に来たら酒場で半日は情報交換しないと、情報の裏の裏まで取らないと、ガセだったら死んじゃう事もあるのよぉ」

 

アルス「ぬぅ」


ラミアエキドナ「あとは浜辺は…御存知の通り海魚人(サハギン)とかが出るのでちょっと危ないです。貝殻や食べるための貝、海草取りとか釣りなんかに行く事はあるけど、寒いし、髪がガビガビになるからあまり行きたい場所ではありません。」



テイムテイム「ガビガビと言えばラミザリアにあげた石鹸n…」



アルス「浜辺にはあまり用がなさそうだな」



ラミザリア (石鹸でアルス君の服等()を洗った事は言わない方がいいのよね)



ラミザリアはテイムテイムを見つつ、地雷を避ける技術を身につけた。  


 

ラミアエキドナ「最後に灰火山だけど、朝行って夕方帰ってくるならギリギリの距離で、多分探索までは出来ないから行く事はないと思うけど、一応…説明すると、ここアメリアの国とハイヒールの国の国境になる凄い広くて大きな山なの。鳥女(ハーピィ)がウジャウジャ居るのは勿論、ドラゴン系もちらほら居るみたい。あと、この山の特徴は悪魔系が沢山発生する事。(ふもと)は特に小悪魔(インプ)が沢山いるんだけど、高い所には爵位悪魔(グレーターデーモン)っぽいのも住んでるらしい」

 

     

テイムテイム「と言う事なので、暫くは裏山の竹林か薬草ヶ丘かバッカスの洞窟のどれかで経験を積みつつ、触媒集めと装備の調達になるんじゃないかな。あ、時々マスターが依頼をくれる時もあるから、酒場にも寄ってみてね」

 

ギド「あ、もう依頼を受けてます。酒場に子供が大天使の羽根を売りに来るみたいなんですけど…その子の尾行と護衛と入手先の特定と親御さんへの注意です。明日の昼頃に酒場に来るらしいので、明日はその依頼をしてます」

 

テイムテイム「やるじゃなぁい、大天使の羽根なんてマンドレイクよりも高級品でしょお?何が来ても良いように準備はしていくのよぉ」

 

ミリアム「はい!」

 

ギド「じゃあ、明日の依頼に向けてミリアムの触媒集めと、今日の昼食と明日の朝食の食材集め、あと…香水作るから香草集めだったか、を平行して行うか」

 

アルス「賛成、とりあえず今回は働刺蜂(キラービー)の巣への特攻は無しでいこうか、傷薬代とか考えると赤字だからな」

 

ギド「その節はスマンかった」

 

ミリアム「次は作戦を考えてから行きましょう」

 

ギド「はい」

 

アルス「じゃあ、午前中はポチCとミリアムとラミザリアでキノコ採り&薪拾い。」

 

テイムテイム「あと、もし良かったら私達の拠点入り口にもポチさん欲しいわぁ」

 

ラミザリア「犬鬼(コボルト)とスライムの核があれば作れますので、何処かで見かけたら作っておきますね」

 

テイムテイム「頼むわぁ」

 

ラミザリア「どのみちこっちの拠点も出入口が2つになりましたから、ポチ達も増やさないといけないとは考えてました。とりあえず暫定的にポチBとCはこちら側に配置しましょうね」

       

ラミアエキドナ「助かります」

 

ギド「とりあえず私とアルスは昼食の用意と、竹細工で拠点施設の拡充をしておきます。何もなければ解散で良いですか?」

 

ラミアエキドナ「良いと思います」

 

テイムテイム「私達はテーブルマウンテンの偵察と狩りをしてくるから、何かあったらまた夕食の時にでも」

 

ギド「はい」

 


話を終える頃には食事は残らず食べられており、ギド達はお礼を言い、皿を地上に持っていって洗った。皿を返しに行く時にはラミアエキドナとテイムテイムは出掛ける準備ができたようだった。私達がよく使うルートを使って下山するらしく、午後の薬草ヶ丘への移動は、麒麟蔓を切り払う手間が省けた。



こうして朝食会は終了し、新しい日常が胎動を始めた。   

 

5000文字で1話なのですが、ハッスルして書きすぎたので…ちょっと書き足してその1その2としました。10,000文字には少し足りません。

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