薬草ヶ丘〈ミス修正〉
「ねぇ、ウサぴょん。トカゲとかヤモリとかカタツムリとか取ってこれる?」
「出来るよ!ウサぴょんがんばる!」
「ひょえー、ものはつかいようですな。ラミザリアちゃん」
ラミザリア「この子の動力源は多分テイムテイムなのて、こきつかう方が得たと思いますよ」
ミリアム「ひょえー」
ミリアム「じゃあ、攻撃用の中魔法と…対魔法使い用に魔法防御用の魔法も変換してみますかね…」
◇ ◇ ◇
◇ベノム×1 get‼
◇チンドレイク-1
マンドレイク-2
魔術キノコ-20
毒針-10
火炎草-20
虫の羽根-30
◇結界+2 ×1 get‼
◇魔術キノコ-8個
蝸牛の殻-1個
ヤモリの黒焼き-1個
◇自然回復+4×2 get‼
◇弟切草-2束
オオバコ-2束
オミナエシ-2束
銀杏の黄葉-2枚
青コケ50g-2個
蜂蜜50g-2個
虫の羽根-4枚
ベノムは人間を一撃で殺傷しうる中魔法というカテゴリ―の魔法で、対象に数種類の毒と麻痺を与えて、行動を封じる。2m100kg以内のオークであればその場で倒れ、ほっておけば1時間程度で死亡する。無論人間も同じように倒れ死亡する。体長3m程のオーガでさえ、麻痺により動きが鈍り、毒で動く度に体力を奪うため、地形や戦い方、装備によってはギドのパーティですら勝機が見えてくる程の魔法なのだ。
本来はミリアムに使いこなせるレベルの魔法ではないが、消費MPを減少させる効果のあるチンドレイクを使用して、尚且つ希少な触媒のマンドレイクを2つ、ありったけの魔術キノコと麻痺効果のある火炎草、毒針を触媒として手に入れた言わば切り札というものだった。触媒を使う魔術は消費MPの先払いと言う特性があるが、今回はそれが活きた。
結界+2…半径2mの範囲に新聞紙2枚程度のバリアを5分程張る。+2程度ではほぼ意味のないものではあるが、小雨に対する傘や毒霧の進行を止めたりする程度の効果はある。複数張れば、小石の投石くらいなら防げる…かも知れない。物理に対してはその程度ではあるが、魔法に対しては多少の追加防御効果がある。結界に触れた魔法は多少効果を散らされるので、3枚も張ればファイアアロー程度は完全に防げる。
自然回復+4は、複数の薬草を触媒にしただけあって+は4だが、まだまだ大した効果はない。虫の羽根が触媒に混ざっているので多少効果が早く出る。触媒の分の荷物を減らすために魔法に変換した。
◇ ◇ ◇
ギドとアルス達は―
ギド「アルス、ラミザリアの事が好きなのか?」
アルス「お、おう。うん…いきなりだな。好きだが…何と言うか…妹のような感じだな。姉があんなんだから、妹が居たらこんな感じなのかなって…ほっとけないだろ?」
ギド「ああ、ほっとけない。私もそう思うよ。でも、それ以上にアルスもほっとけない。テイムテイムだっけ?1人だったら多分連れ去られてたと思うよ」
アルス「その件は本当にすまなく思ってる。皆を危険にさらしてしまった」
ギド「いや、そんなつもりで言ったんじゃない。謝らないでくれ、むしろ皆を危険にさらしているのは私の方かもしれないんだ。悪魔に狙われる可能性があるんだから」
アルス「そうだな。ここ数日は本当に色んな事があったな。…だが、解散しない限り俺はついていくぞ」
ギド「そうだな、私達は仲間だ。これからも一緒にいよう」
ギド達は話ながらも買い物を済ませて行く。
◇ハイドレザーコート×4を手に入れた!
◇4,240Gを支払った。
◇鉄の短剣×2を手に入れた!
◇1,100Gを支払った。
◇糸鋸を手に入れた!
◇800Gを支払った。
◇小袋入りの塩100gを手に入れた!
◇-400Gを支払った。
◇小瓶入り植物油100ccを手に入れた!
◇-700Gを支払った。
◇小麦粉入り袋100gを手に入れた!
◇-160Gを支払った。
◇瓶入りランタン油×5を手に入れた!
◇-700Gを支払った。
◇ガラスの小瓶×4個を手に入れた!
◇-240Gを支払った。
前回の残金が3,960Gで、酒樽の売却で得た5,200Gを加えて9,160G。ミリアムとラミザリアに持たせた1,500Gを引けば残金0Gまで使いきったのは初めての事だが、食事を拠点でとるようにすれば問題はなかった。
◇ ◇ ◇
一方ラミザリアとミリアムは―
ラミザリアの着替えはミリアムの血まみれの古着で大丈夫と言う事になったが、ミリアムが強引に普段着のセットを1,000Gで見繕った。
◇普段着上着を手にいれた!
◇普段着スカートを手に入れた!
◇下着を手に入れた!
◇1000Gを支払った!
◇ ◇ ◇
ギド達の買った物はいわゆるライフオブクオリティを高める物だった。衣食住の質を上げる事によってパーティの能力やパフォーマンスを高めていく考え方である。まず衣住として拠点の灯りを増やしたり、暖を取りやすいハイドレザーコートを与えて利便性を上げ、精神力や体力の消耗を抑え、体力の回復を増進させる。食として塩や胡椒、食用油を用意する事によって、食事の喜びを増進させ、また栄養素の積極的な補給を助ける。それによって健全で強靭な肉体の成長を助けるのだ。
さておきギドとアルスとミリアムとラミザリアは酒場に集合し、買った物や変換した魔法を説明し合っていた。一段落ついたあたりでマスターから声がかかる。
◇ ◇ ◇ ◇
マスター「お前達、仕事する気はないか?頼みたい事がある」
ギド「へ?」
マスター「受けるか受けないかの返事から依頼はスタートするぞ」
ギド「話を聞いてから断る可能性はありますが…」
マスター「コレなんだか判るか?」
ミリアム「もしかして大天使の羽根ですか?!」
マスターの手には光を帯びた羽根が握られている。
マスター「そうだ、結構貴重な素材や触媒になる物なんだが…コレの出所が5才くらいの女の子なんだ。本人は価値があるのかわかってない様子だった。
こんなもん価値も判らずに持って歩いていたら襲われる可能性もある。だから、その子の後をついていって、親御さんに忠告してくる事、それからどこでコレを入手したかを聞いてくる事、それが私からの仕事依頼だ。大天使の羽根の情報が聞き出せたら報酬は20,000G。どうだ?」
ミリアム「大天使の羽根って…30,000Gはしますよね…。それって安くないですか?」
マスター「お前達に任せないで別の人に任せても良いんだぜ?」
ギド「引き受けます。その子はどこに?」
マスター「次は土曜日の昼にここに来る事になってる。何故か土曜日にしか来ないんだ。その後はその子の事を護衛しつつ尾行してくれれば良い。最悪ばれてもお前達は子供だから何とかなるだろ、それから、情報や羽根をネコババしないって信じてるから依頼したんだぞ?裏切ってくれるなよ」
ギド「勿論です。土曜日は…明後日ですね」
マスター「そうだ、頼んだぞ」
アルス「何だか冒険者らしくなってきたな…!依頼か。そして20,000Gってかなりの大金じゃないか!」
ラミザリア「大天使の羽根…蘇生薬が作れますね」
ミリアム「そうそう!って作り方わかるの!?」
ラミザリア「はい、作れます」
ギド「もし手に入るんだったら…いざという時に作っておくか…!」
ラミザリア「でも、生き返らせても傷が酷ければまたすぐ死んでしまいますから、高度な治療魔法とセットでなければあまり意味がない物ではありますし、そもそも死にたてほやほやでないと意味がないので、戦闘で死んだらその戦闘の最中か、そのあとすぐに使わないと行けませんし、人が死に至るような脅威の除去も同時にしないと…そう簡単には生き返らせられません」
ギド「大変だな。思っていた蘇生薬とは大分違う」
ミリアム「だから高位の魔法使い位しか蘇生魔法使えないのね。触媒も大変だし……」
ギド「高そうだな」
アルス「確か蘇生薬は100,000Gはしたような…。聞いた話だと確かそのくらい…したような」
ミリアム「多分それくらいするよ」
ラミザリア「効果が多少のものであれば大天使の羽根と、スライムゼリーでも出来ます。付属する傷の回復効果は上を見たらきりがないのですが、これまでに手にいれた素材でも何とか蘇生に足りる効果のあるものは作れますよ。そもそも蘇生させるだけなら銅貨で作るワイロカロンや、鳥の羽根で作るプチックスフェザーの方が手軽に作れます。しかし、問題は死に至る原因の傷や病の治癒です。それが達成されなければまた死ぬだけですから…」
ギド「ひょえー」
◇ ◇ ◇ ◇
ミリアム「じゃあ、とりあえず今日はどうしようか?まだ日はあるからもう一回薬草ヶ丘に行ってくる?」
ギド「夜は昼間の倍くらい魔物がいるぞ」
アルス「調度良いんじゃないか?ポチ達の餌も必要だし、素材や触媒は集めておいて損はないだろう」
ミリアム「竹の杖に燃える物を引っ掛けて、トーチライト4回位使えば…ってか月が出てれば多少は戦えるとは思うけど…危ないよね」
ギド「じゃあ、蓬取りに行くか。小麦粉少し買ったので、蓬クッキー何てのも作れる筈。蜂蜜垂らして食べたら美味しいはずだ」
アルス「町の西側に出て、港の反対側の方に丘があって、そこに生えてる。誰かが植えた者かもしれないが、少なくとも主は見たことがないから大丈夫だろ」
◇ ◇ ◇
一行はアルスの言う丘に登って蓬を採集する。結構な量が生えているようだが、摘まれている様子はない。誰かのものと言う訳でもなさそうなのでかなり多目に採集した。
ミリアム「案外パンパンになるまで採れたね。これなら触媒と薬剤と食料の分賄えるんじゃないかな」
アルス「蜂蜜売ってくれば良かったか…蜂の腹ごと持ってきてるからかさばって仕方ないぜ」
ギド「まあまあ、これで全員に傷薬を作っておくから必要なんだ。あとは食事の時に使う分も考えたらこれだけの量はすぐになくなっちまうからな。何と言っても4人パーティだから……な!」
一行は拠点へと足を運ぶが、久々に夕方前には拠点に着く事が出来そうなので、早めに着いたら裏山の探険を行う事にした。とは言え、探険を始める頃には夕方になってしまうので、ほんの僅かな時間になるだろう。
銀杏林を銀杏を拾いつつ通り、麒麟蔓を斬り取りながら進む。何度も同じ場所を切り開いて居るので、何となく短い間であれば蔦が伸びきってない気がする。朝1度切り開いてしまえば1日は通られるようだ。
麒麟蔓地帯を抜け、コボルトの居た岩場に辿り着く。敵の気配もないので、通り抜けて竹林へと辿り着く。空の色が薄くなってきた。そろそろ西側から茜色の夕陽が差してくるのだろう。
拠点に辿り着くとポチ達が出迎えてくれた。無表情ではあるが、心なしか笑っている気がする。
アルス「俺は竹を切って加工しておく。ポチ達もいるから1人でも多少は大丈夫だろ、早く洞窟内に竹のラグを敷きたい」
ミリアム「じゃあ私はラミザリアとキノコ採りに行ってくるね。ベノムがあるから、オークが出ても大丈夫だと思う。コボルトくらいなら竹の杖とファイアアローとかファングボルトで何とかしてみるよ。今パーティで一番強いのは私なんだから!」
ギド「一言多いな。私は竹林の周りを一周してみる。何かあったらすぐ逃げてくるから、加勢よろしく」
ミリアム「ギドだけは1人でも大丈夫そうね!」
アルス「一言…いやなんでもない」
ラミザリア「一言多いのですね」
ミリアム「段々ラミザリアちゃんの発音良くなってきてるね」
ラミザリア「毎日頭が湯だってます…」
ミリアム「ふふふ…」
ラミザリア「くぷー」
◇ ◇ ◇
ギドは天性の身のこなしで洞窟の入り口近くの壁面を登った。5m程登ると四方が見渡せるようになっていた。ギド達の拠点は山の中腹の小高い頂上に収められており、山の形は表彰台のようになっていた。もっとも高い頂上はから見たらば2位の位置にあるのだ。その小山の周りは竹林に覆われては居たが、あまり覆われていない場所が2箇所あった。1つはギド達の拠点の洞窟の入り口、もう1つはその入り口の反対側50m程の所にあった。
ギド「歩数計で測れば…50mか…。50m?もしかして拠点の洞窟の行き止まりのすぐ先は…ここに通じてるのか?」
ギドは反対側の竹林で覆われていない所へと降りると、そこにも洞窟がある事を発見した。
…ここは…。洞窟の奥は地下へと繋がっているように感じる。更にどうも人の出入りがあるような気がする。
下草に踏み荒らしたような足跡があり、もしかしたら反対側はまた誰かの拠点かもしれない。しかし、こんな裏山に誰が拠点を作るだろうか?
嫌な考えがよぎる。盗賊の住み処とかとかち合ったか?もし狩人の休憩所とかであればまだいいが…中に居るのが危ない人だと困る。もっと困るのはモンスターが居た場合だ。
そろそろ夕方になり、陽が赤くなりかかっていた。一旦戻ろう。ギドは素早く山の壁面を登り、アルスとミリアムとラミザリアに声をかけて集めた。
竹林の前で会議をする事にした。
ギド「…と言う訳で、拠点の反対側に別の洞窟があって、そこに何者かが出入りしている形跡があった。もし必要なら調査する必要があるかもしれない」
ミリアム「狩人の休憩所とかだったら話をつけて倉庫として貸してもらえたら助かるね」
ラミザリア「反対側とはあの山の反対側ですか??」
ラミザリアはギドの登った所を指差している。
ギド「そうだ、あの上から反対側に…」
ギドが振り返ると…
その山の上、直線距離にして10m程の距離に2人の人影が見える。1人は見た事のない野性的な女性で、もう1人は…テイムテイムだった。
ギドは、更に振り返って背後のアルスを見ると…頭を抱えてうずくまっている。
アルス「あれが姉貴です…。みんなごめん」




