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メタリアトラス!~冒険者達~  作者: 林集一
ギド達の旅立ち
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裏山改造作戦その3《自宅警備員》

 ラミザリアはミリアムの為に犬鬼(コボルト)から睾丸と犬歯を取った後、死骸人形(フレッシュゴーレム)を作っていた。

 

 死骸人形(フレッシュゴーレム)の素材は主に死体の健、筋肉、骨、神経、脂肪、臓器の6つ。それにスライムの核を使って造る。


 作成の際に死骸人形(フレッシュゴーレム)の用途によって部品を使い分ける。燃費が必要ならば素材数を減らして軽量化を図ったり、スタミナが必要であれば燃料となる魔素やMPや栄養素を蓄積しておく脂肪を多目に、手先が器用なタイプは神経を多目に、耐久性のあるタイプは骨を多目に、力が強いタイプは健と筋肉を多目に、指は必要か、目や耳や鼻は必要か、魔素の補給に補食機関が必要であれば消化器系を、呼吸による魔素の補給が必要ならば呼吸器系を―――と細かい分類は沢山あるのだ。


 ラミザリアが作っているのは拠点防御の為に留守を守る死骸人形(フレッシュゴーレム)であった。この辺はさほど強い魔物は出ないと言う話なので、武装して来る人間は少ない。なので、穴に入ろうとする小さな魔物を追い払う程度、せいぜい犬鬼(コボルト)を擬似敵として作成する。

 

 大きさは人間1人分で4体。燃費を保つために脂肪多目ににする。

 

 2体は洞窟に入ろうとする小動物捕獲用にした。体内は補食用の消化器系を中心に組み立てて、敵の補足に備えて目や鼻や耳なども余分に付け足しておく。更に小動物を確実に捕獲するために、手を6本にして、神経を多目に組み立てる。

 

 残りの2体は対犬鬼(コボルト)用に筋肉や骨を多目に形作り、消化機関を一式、夜中月から出る魔素を取り込む用に呼吸器系を内蔵に納めた。内臓には肺が8個も内蔵されているので、空が雲で隠れなければ半永久的に動き続けることが出来るし、いざとなれば補食も可能と言う仕様にした。

 

 余った脚や肝臓等の臓器を早速消化機関に詰め込み、明日1日分位のカロリーを補給させた。

 

 このゴーレムが拠点の入り口にいる限り、魔素が吸引されるので洞窟内に魔物が発生する恐れはなくなるそうだ。一石二鳥。


 ◇ ◇ ◇


「ミリアム、なん"とか出来だよ」

 

「すげぇ……。こんなの作れるんだな……」

 

 アルスは少し引いている。

 

「なんと言うか……便利と言うか……」

 

 ミリアムは口を開けて感心している。

 

「対小動物用のゴーレムはネズミぐらい"なら捕まえられる素早さで手を動かせます。対犬鬼(コボルト)用のゴーレムは多分スペック的には犬鬼(コボルト)より"は強いでずが、戦闘は燃費が悪いので何日かに1回は食事をあげる必要があるかも知れません」


「これ、腐らないの?」

 

 ミリアムは当然の疑問をぶつける。現時点で相当臭い。

 

「今はフレッシュなままですが、日光があ"る程度乾かしてくでると思います。それで2~3日したらもう少しシャープな見た目になりま"す。そうなれば腐りまぜんが、綺麗に身が引き締まらなければ水分が残りますので腐ります。乾けば臭いも殆んどなくなります」

 

「凄い……な。しかし、ラミザリア、このまま寝るのか?」

 

 アルスはラミザリアをチラチラと見る。

 

 ラミザリアは血だらけであった。

 

 皆はラミザリアの手を洗うために竹の水筒とコップを持って水を集めに行く。夕方の雨水が残っている木々から集めた。それを使ってラミザリアを綺麗にした後、再び水を集めて、ミリアムの魔法の水浄化(プリフィン)を使ってから飲み干す。各自1杯だけではあったが、私服の味わいであった。


「精霊の葡萄酒飲んでいいかな……」

 

 アルスはコップを背嚢に仕舞うのを躊躇う。

 

「駄目ですー」

 

 ミリアムが制する。


 さておき、死骸人形(フレッシュゴーレム)に入り口を任せておけば、安心して休む事が出来る。仮に戦闘があっても音で起きる事になるから、豚鬼(オーク)あたりが再び来なければ対応は可能だ。仮に豚鬼(オーク)が襲撃してきたとしても、前衛として死骸人形(フレッシュゴーレム)が4体居るため、多少は楽に戦えるはずだ。

 

 この死骸人形(フレッシュゴーレム)は連れて歩くには目立つし、燃費が悪いので、拠点防衛のみのために留守番のみを頼んだ。

 

 しかし、初日は想像していた襲撃はなく。朝を迎える事となった。そもそも、ここは魔物の多い山ではない。たまたま今年は山の手入れをする人が少なく、犬鬼(コボルト)を始めとする魔物が増えすぎた為、豚鬼(オーク)が発生するほどの濃度の魔素が発生したのだ。

 

 余談ではあるが、豚鬼(オーク)は魔素を取り込んだ豚や猪の進化で誕生する。犬に魔素が蓄積されて犬鬼(コボルト)となり、水包(スライム)は水に魔素が加わると発生する。本来ならキノコ狩りや銀杏拾い、ウサギ狩りや鳥狩りをしに来る狩人が魔物を見かけ次第退治するので、魔物はあまり増えない。しかし、1ヶ所に魔物が増え始めるとその魔素濃度が高くなって希に高レベルの魔物が誕生する事があるのだ。それが先日の豚鬼(オーク)誕生に繋がった。

 

 ◇ ◇ ◇ ◇


 アルスはその後ひたすら作業を行い背負い籠を4つ完成させた。何とか宣言通り月が真上に来るまでには出来た。

 

 ミリアムは発光キノコ5個を消費して隣光(ダンジョンライト)を1つ、犬鬼(コボルト)の犬歯を全て使って獣咬(ビーストバイト)を8つ魔法に変換した。

 

 アルスの籠が全て出来た時、皆で洞窟に入り、身を寄せ合うようにして眠りについた。着替え用の衣服を毛布代わりに使ってはみたが、どうにも寒かった。

 

 ◇ ◇ ◇ ◇


 朝、皆は陽が登りきってより目が覚めた。昨日はかなりハードな1日だったため、殆ど目を覚ます事無く朝までぐっすりだった。


 昨日を振り返ると、朝から裏山の竹林で拠点作成と触媒採集。その際にミリアムとラミザリアは竹の杖を得る。その後バッカスの洞窟に灯りの返却と精霊の葡萄酒を取りに行く。拠点への帰り道で水包(スライム)2匹と犬鬼(コボルト)8匹と戦闘し、ラミザリアは素材から死骸人形(フレッシュゴーレム)の作成。また、アルスとギドは背負い籠の作成を行った1日であった。


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