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25 不遇なイベントの抑止

  

「ううっ、気分悪い」

「うえっぷ」

「ああ、飲み過ぎたな。頭が痛いぞ」

「たいちょー、もう少しぃ、待ってぇ」

「同じくぅぅ、気持ち悪いぃぃ」


 一同撃沈の様子であるが、父さんは責任感から何とか出発したいと思っている様子。


 さあ、商売、商売。


「さあさあ皆様、二日酔いの薬はいかが? 」

「「「「「頼むぅぅぅ」」」」」


 困ったものである。


 素材を吟味して即効性と効果を高めた薬なので、飲めばすぐさま効いていく。

 すっかり元気になったのを見た基地の人達にもその薬は売れ、ちょっとした臨時収入になった。


「大したもんだな。1万でも決して高くはないぞ、キルト」

「良かった」

「まだあるなら基地に在庫にしたい。あるだけ売ってはくれんか」


 とは言うものの、何とか在庫100って事にしてあり、自分の分に4本残し、初日に1本消費して95本の余裕のうち、父さん達に5本と基地に10本

 売って、残りが80本の余裕になっている。


「80本か、よし、100万で買ってやる。それでどうだ」

「どうしよう、父さん」

「良いのか、カツミ」

「二日酔いで緊急出動は危険過ぎるからな、その対策なら安いものだ」

「売ってやれ」

「うん」


 父さん達から5万の後、基地の面々から10万の後、カツミさんに80本100万で売れました。

 それもついでに預かっておいてやると言われ、そのまま父さん経由での取引となる。


「今回は預けてある分をそっくり家に入れるからさ」

「そこまでしなくても良いんだぞ」

「妹達も何かと入用でしょ」

「それはそうだが、今までにかなりしてもらっているからな」

「まあまあ、オレもたくさん稼いでいるし」

「そうか、ならそうさせてもらうとするか。済まんな」

「えへへ」


 飲み代が隊長のおごりとか言ってたし、何かと入用らしいしさ。

 まあ、実質的にオレは振込みの口座額で余裕なので、無くても全く問題は無い。

 それはともかく、元気になった面々はまたしても搭乗員となり、輸送ヘリは一路、山崩れの向こう側に飛んでいく。

 あっちの道がメインなので、あちらのほうが帰るのが早くなるのだ。

 それでもその山の道は使えないので、今後はあの迂回路をそれなりに整備しての行き来になるらしい。

 その報告書を作成してあるとの事で、今回の出張で色々と収穫になったらしい。

 それにしてもオレが同行しなかったらどうなっていたのか。


 それがちょっと怖く思った。


 ◇


 父さんは今後、内勤を少しやって引退になるようで、もう同行しなくても良いかな。

 他の面々には悪いが、オレは父さんの危険対策の為にしか動く予定は無いんだ。

 それでなくても他にやる事が色々あるからさ、とても予備軍みたいな事をする暇は無い。

 帰り道は順調に推移し、そのままトキオに帰還した。

 家の前で降ろしてもらい、父さん達と別れた。


 やれやれ、終わったな。


 同行した事でイベントとしては失敗になるかも知れないが、オレ的には大成功だと思っている。

 たった5人での北陸の旅とか聞けば、嫌な予感にもなるというもの。

 だからこその同行のおねだりの効果はあり、全員無事に帰還になったのだと思いたい。

 頼むから討伐隊未帰還での捜索イベントとか無しにしてくれよな。


 それが家族なら尚更の事だ。


 そういう突発イベントがあるから、このゲームは油断出来ない。

 対象がプレイヤーならまだしも、そうじゃなかった時には取り返しが付かないのだ。

 有能な隊長の最後の任務+少ない人員での強行軍+良くない噂のある隣の都市=イベントの予感ってなもんだ。

 運営には悪いが阻止させてもらったぞ。


 だから次の機会にしてくれ、家族以外でな。


 工房の在庫もかなりの量になっており、入手した核エネルギーを補充しておいた。

 現在950回復の高級HP回復薬と、450回復の高級MP回復薬を製造している。

 その備蓄は日々貯蔵されているが、500回復の薬の処分もやらないとな。

 雑貨屋にメールを送り、今年なら取扱量の増量も可能と送っておいた。

 後は父さんの勇退に関して、各班大量販売も可能と伝え、それぞれの班長と割り当ての相談をするらしい。


「10万本でも構わないからね」

「やれやれ、そんなにあるのか」

「今年中に在庫一掃の予定だからさ、あるだけ売っても良いよ」

「分かった。全ての班長と調整して、可能な限りにするからな」

「うん、これからは父さんというパイプも無くなる訳だし、備蓄は大事だよね」

「そうだな」


 ◇


 そうして年末までに膨大な在庫は一掃され、父さんは問題無く勇退となり、各班は大量在庫で潤っていた。

 オレの口座もとんでもない額になり、雑貨屋の年末セールも順調に終わり、新年からは次なる回復薬を発売する。

 巷の後進連中は未だに、盲点に気付かずに苦労しているようで、そろそろ教えようかと思っている。


 もうね、更なる研究がやりたいからさ、研究資金も充分に確保出来た事だし、大量生産はひとまずお休みにしたいんだよ。

  

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