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01 不遇の始まり

一通り完成したので投稿します。

もちろん、誤字などはかなりあると思いますが、修正しながらアップの予定です。


 

 MMORPG(Massively MultiPlayer Online Role-Playing Game、マッシブリー・マルチプレイヤー・オンライン・ロール・プレイング・ゲーム)が新時代を向かえ、仮想現実(Virtual Reality、ヴァーチャル・リアリティ)となって数十年後。


 24世紀になって確立されたこの技術は、当初はかなりの注目を得て、世界中から参加者を得て、それは今でも続いている。

 この国でも早々に法整備がなされ、若年層の未熟な精神の保護というお題目で、12才未満の参加は推奨されず、6才未満は禁止になっている。


 この、推奨されないというのはどういう意味であるか?


 すなわち6才から12才までは自己責任とされていて、何かの不具合があっても保険の対象外になっている。

 なので未発達な精神に影響を及ぼし、ケアの必要があってもそれは自業自得となる。

 そんな社会情勢の中、15才以上を推奨とされる『仮想都市トキオ』が一般公開された。


 主人公である彼はβテスターに応募するも落選し、一般公開で参加する。


 スタート地点が街の中であり、そして力を付けてゆくゆくは町の外に冒険に出て行くという他のゲームと似ていながらも、異色と言われるある理由があった。


 それはその街の中に大きな公園があり、夜に怪物が出没する。

 最初はこれの討伐から始まるのだ。

 しかもその町はリアルを模したかのような町なのだ。

 だから街にはレストランもあればコンビニもあり、ホテルもあればスーパーもある。


 夜に出て来る怪物を討伐する。


 ゆえに討伐者は『ナイトハンター』と呼ばれ、それが冒険者の通称となっている。

 βテスター達はこの異色作に果敢に挑戦し、検証の果てに不遇と思われる職を発見した。


『調理』 食堂やレストランもあればコンビニもある。そして出前も配達もあって美味しいし、保存食も美味しいので作る意味が無い。


『調薬』 リアル準拠な流通なので回復薬に困らない。自作しても市販の100回復に及ばない。


 これらの情報は『情報掲示板』に掲載され、全ての参加プレイヤーの知るところとなっていた。


 そしてゲームが始まる……


 ◇


 リアルの首都を模したこの街には、中央に大きな公園がある。


 現実のその場所は皇居であったりするのだが、そこには岩山とそれを取り囲む森林公園になっている。

 その岩山の地下には鉱脈があり、専用道が公園の外まで伸びている。

 森林の中には怪物がいるとされていて、適度に間引かないと夜に公園から出ようとする。

 その討伐は国家公務員の職務であるが、人手不足の折から一般にも討伐が推奨されている。


 それらの討伐は冒険者……通称、ナイトハンターの仕事になっている。


 他にも動物も生息しているらしく、獲物を買い取る店はそこかしこにある。

 それらの素材は余すところ無く利用されているようだ。


 ハンター達はそれらを狩る事によって経験値を得て、自らを強化していくことになる。

 そして町の外に出て行く事になるのだが、外の様子は殆ど知られていない。


 -----


 ここで仮想現実のシステムを紹介しておこう。


 22世紀中に提唱された、魂の理論。

 当時は荒唐無稽と言われながらも研究者の苦労の果て、23世紀になってようやく理論の実証が成される事になる。

 そして魂と精神の関係も明らかになり、アクセス方法も次第に分かっていった。

 当初はそれはオカルト扱いされていたが、仮想技術が発展するに従い、2つの技術は融合するに至る。

 そうして精神感応型仮想現実という新たな道が示され、不可能と言われていた仮想現実が現実のものとなっていく。


 邯鄲の夢と言うのをご存知だろうか。


 一夜の間に人の一生を夢に見るという物語だが、これを仮想現実に応用したのが精神感応型仮想現実になる。

 なので従来は脳の限界の為に加速時間など不可能とされていたが、これならば時間はいくらでも延ばせるのだ。

 ただ、体験が余りにリアルだと、短時間でその人の精神は老いてしまう。

 なのでそれを防ぐ為に、限定的な使用に留まったが、それでも数倍から数十倍の時間の加速は、忙しい現代人のニーズに合い、その技術も熟成されていった。


 そうして現在、仮想現実と言えば全てが精神感応型となっており、中での時の流れは自在に変化させているのが現状である。


 ◇


 -情報掲示板・雑談板-


「調薬ってよ、散々やってみたけどまともな薬にならなくてよ。それぐらいなら店売りの品を買ったほうがまし。つまり、調薬なんてゴミスキル確定だぜ」

「全くだな。俺もひたすらランク上げたけどよ、苦労だけしてゴミ薬しか作れない有様だぜ。βで調薬してた奴、全員が取らないと思うぜ」

「てことは、買占めに走る奴が出るな」

「いや、出ねぇだろ。なんせ大都市だからな、流通が半端ねぇから買占めは無理だろうぜ」

「調薬の可能性は本当にねぇのか? 」

「そう思うんならやってみな。多分、いや、絶対、時間の無駄を思い知るぜ」

「いや、ゴミ薬でもよ、自作ならお得だろ」

「あのな、薬草とガラス瓶を買って作ってよ、10回復とかやってられるかよ」

「そーそー、市販品が100回復で売ってんのに、何でそんなゴミ薬をわざわざ作らなきゃいけねぇんだ。材料代がもったいねぇぜ」

「えっ、たった10回復なんですか? 」

「おうよ。レベル上げても25回復がやっとだったぜ」

「オレなんて最初は5回復だったぞ」

「うへぇ、それは酷いですね」

「じゃあ本当にゴミスキル確定ですね」

「ああ、どうしようもねぇな」

「βテスター共通の意見だと思うぞ。調薬はゴミスキル、確定ってよ」

「んだんだ」

「はいはい、確定確定」

「ゴミゴミ」


 -----


「そう言やさ、調理もゴミだよな」

「ああ、あれもきつかったな。なんせそこら中にメシ屋があるから自分で作る意味すら無いしよ、まともに作れないしで役に立たないしよ」

「そーそー、剣と魔法の中世ならまだしも、こんなリアル準拠な世界で自作の料理とかやってられるかよ」

「食堂もレストランもあるしよ、コンビニに宅配すらある世界だぜ。そんなのにわざわざ調理とか、スキル取ってまでやる奴居ないだろ」

「おうっ、俺なんてコンビニ弁当食ってたしよ」

「出前もあるし、常連になったら出先配達までしてくれるしよ」


 -----


「でよ、錬金術は結局、獲得方法分かったのか? 」

「いーや、ありゃ無いんだろ」

「まーな、こんな時代に錬金術も無いか」

「普通ならあるんだろうけど、無いってのも残念だな」

「まあ、仕方ねぇさ」


 ◇


 情報掲示板の雑談板では、βでの感想なんかが書かれていて、その中に不遇職についての雑談もあった。

 どうやら調薬と調理が不遇職で、錬金術は無いらしい。


 おっかしいな。


 確かにこんなリアル準拠な時代背景だけどさ、錬金術ってかなりの人気だよな。

 だから大抵のゲームにはあるスキルなのに、このゲームでは無いのか?


 オレは生来、天邪鬼なところがあり、不遇と言われると燃える性質だ。

 だからこのゲームでも不遇に拘ってみようと思っている。

 そんな訳で、調薬と調理は確定として……


 ちなみにこのゲームだけど、メイン5種とサブ5種のスキルをセット出来て、残りのスキルは控えに置かれる事になる。

 メインは戦闘や生産のスキルを指し、サブは補助的なスキルを指す。

 そして余ったスキルは控えに回し、その交換は随時やれるのが便利であり、だから時と場合によってスキルの交換をしていく事になるとか。

 ログインまでにパソコンでざっくりとキャラクリエイトをやっておく。

 本ログイン時にそのデータを活用すると、キャラ作成が楽にやれるという話だし。


 情報掲示板のスキルを見ながら、オレの予測と閃きのままに、スキル構成を決めていく。

 

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