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色仕掛け

「奥様!王様との思い出を教えて下さい」


「私脚本書きますんで、それを暗記して王様の枕元に立って!」


まあいいけど…

フィルウェムのために試してみるわ


私は奥様に聞いた思い出話を元に王様にささやくセリフを書いて奥様に練習させた


「うん、よし、完璧です」


「意外に物覚えがいいんですねえ」


「さあ、奥様、行ってください…と…まてよ…」


「そのキラッキラッの衣装じゃあ心象が悪いかなあ」


「いかにも不正で手に入れたお金かけて着飾ってます的な…」


「王様の所に行く前に、屋敷に戻ってもっと地味な服に着替えてから行って下さい」


あら、これが一番地味な服よ〜


「うっ」

「…じゃあ、ネグリジェ」


「ネグリジェなら宝石もスパンコールもついていないでしょう?」


んー、そうね

でもはしたなく無い?ネグリジェ姿だなんて


「大丈夫、かえってそそります!なんならそのままベットに滑り込んじゃって下さい!」


まっ、いやらしい


「何をいまさら、この不倫妻!」


…あ、消えた


奥様!よろしくお願いしますよっ!






ゲルツ…ゲルツ…


ああ、またいつものあの夢だ

夏の日…一緒に水遊びした隣のお屋敷に遊びに来ていた女の子の呼ぶ声…

ふざけてよく私に水かけながら笑っていた

隣のお屋敷が火事になり、会えなくなったあの女の子


「ゲルツ、お願い、起きて…」


「起きて私の話を聞いて」


ゲルツ王は飛び起きた


そして枕元にいた婦人の姿を見てつぶやく


「ロザリア…」


あら、よくわかったわね、最後に会ったの12、3歳の頃だと思うけど

それにルモーネの言った通り私の姿が見えるのね

さて、ルモーネの脚本どうりに上手くやらなきゃ


「ゲルツ…覚えていてくれたのね…うれ…しい…」


…この後の王の寝室での出来事はランズ夫人の立場を考えて伏せておく






そしてフィルウェムの処分が決まった



王はフィルウェムにランズ家の名跡を継がせなかった

ランズ家はフィルウェムの遠縁の者に継がせることにした


新しくランズ家を継ぐものには当然今までの責任は何もないし、ランズ家の名跡を継がないフィルウェムもランズ家の犯した罪を償う必要がなくなった

フィルウェムが不正には全く関わっていなかったことは取り調べで明白になっていたので


こうしてフィルウェム死罪はを免れた


王がランズ家を取り潰さなかったのには理由がある

この国の社交界の二大勢力と言われるブラン家とランズ家

この片一方を潰してしまえば、残りの一方に巨大権力が生まれる

それはまた新たな不正を生む可能性がある

王はそれを避けたかった


そしてフィルウェム自身には農村での暮らしを義務付けた

ランズ家に搾取されてきた農民たちがどんなに慎ましい暮らしをしているか身を持って知るように


王の名誉のために言っておくが、フィルウェムが死罪を免れたのは決してゲルツがランズ家奥方の色仕掛けに屈したからではない


彼はそんな男ではない

元々あったプランなのだ

ほんとにほんと








無事に拘束を解かれたフィルウェム、フラワ、トウルを囲んで簡単なお祝いの会が開かれた


『うさぎ娘のその後』では狭すぎるので城下町の中央公園で


少しやつれてはいるが、おっとりした上品な雰囲気は変わっていないフィルウェムを見てルモーネは思う

カデール様もここに来たかっただろうな

この姿を見て安心したかっただろうなあと


フィルウェム様はしばらく私が預かることになった

なぜならこの団体の中で農村に暮らしてるのは私だけだから


ほんとに猫の額ほどの畑だけど一応農地所有してるし税金もほんのちょっぴり払っている

だから私、農業従事者ということになるのだ

故にフィルウェム様の引き取り手としての資格がある


ここのメンバーはそのまままたランズ家で働くことになった

なにせ新しくご当主になるボルグ様はすんごい素朴な田舎者なのだ

物の分かった使用人がいなければ、社交界でやっていけないだろう


フフ、フラワさんにいぢめられなければいいけど

あと独身らしいから、お色気娘デンファレ頑張れ

頑張って玉の輿を狙え


フィルウェム様救済作戦の立役者はこのデンファレと奥様だったなあ

それに自分の恋を捨ててフィルウェム様を救おうとしたカデール様


皆さんどうぞお幸せに…


ん?そういえば奥様姿を見せないな

どうしたんだろう

安心して成仏しちゃったかな?






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