第33話 思い出の鞄
食器を洗って、片付けた後にレサーナさんが台所へやってきました。
「おはよう。ミファーネちゃん、レキス」
「おはようございます。レサーナさん」
左手に鞄、右手に長財布を持っていました。
レサーナさんに言っておくべきことを思い出す。
「昨日は助けていただきありがとうございました」
私の前までレサーナさんが歩いてきます。
「ファリルから渡すように言われていたものです。受け取って」
「ありがとうございます」
ネコの顔が刺繍された皮財布と鞄を受け取りました。
直ぐに気づく。
皮製の鞄に代赭色の皮と桜色の花模様が、あしらわれているこれは……。
「売り物の……」
「深く考えない。私の言ったことを復唱して」
「えっでも……」
心の中では、欲しいという感情が存在していて……。
「本当に良いんですね」
「ええ。それでは」
レサーナさんが頷きます。
「私のものとなれ『確約魔法』発動」
「私のものとなれ『確約魔法』発動」
鞄に魔力を少しだけ、取られたような気がしました。
「レキス。ミファーネちゃんとマサドリ貸本屋の中にある、マサドリ書店まで一緒に行ってあげて。解かったわね」
レキスくん。なぜかさんをつけるとお父さんのようにに見えるから、くんで言うようにしたのですが。
余り効果ありませんでしたね。
レキスくんは既に台所から出て、自分の部屋へ向かったようです。
「解かりました。部屋から鞄とってきます」
「あ! ミファーネちゃん。少し待っててね」
レサ-ナさんも走って2階へ向かいました。
鞄を両腕で確りと抱きかかえる。
この魔法発動鞄は、買い付け専用市にお父さんと出掛けた。
大切な思い出の1つですから。
「お待たせしました」
「グッドタイミング」
「え? 何ですか」
初めて聞く言葉。
レサーナさんとレキスくんが同着。
「古代精霊語ですよ。お母さんその封筒は?」
封筒を共に手渡された。
「それを持って。早く行きなさい! 遅刻しますよ」
「特別進学推薦通知書。行ってきます」
「……行ってきます」
廊下を歩き出す。
「気をつけてね」
玄関口に私の靴が、存在していました。
レキスくんが玄関を開ける。
靴を履く。
「(これから。レサーナさん達と一緒に暮らすことになるのかな……。深く考えない深く考えない)」
玄関の外に出て、地面を踏みしめる。
「何か言いました?」
「全然」
地面を強く蹴って走り始めます。
「食後に走ると体に悪いですよ!」
その声を無視して、私はリーズ・マサドリ貸本屋へと向かうのでした。




