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第29話 襲撃者

 鞄がテーブルに置かれた。

「何それ……」

「え?」

「お母さんトイレ……」

 眠そうな表情のルリラス。

 ミファーネが、左を向こうとした瞬間。

 ファリルが飛び掛ってきた。

 椅子ごとミファーネが、床に倒される。

「痛い……。お母さん?」

 困惑した表情で訊く。

 鞄を行き成り引っくり返して、中に入っていたものを床に散らばした。

「若しかして。さっきのこと、怒っています?」

「そうじゃなくて。鞄に殺傷能力がある魔法円(まほうえん)を刻まれて」

 鞄全体が淡く発光する。

「防御城壁」

 鞄を放り投げる。

 透明な壁に鞄が、天井まで押し上げられた。

「ルリラス。こっちに来て!」

 ファリルがミファーネに飛び掛ったのを見て、少し怯えていた。

「はっ」

 ミファーネがいた場所から8m以上あった。その距離を一瞬で到達し、ルリラスを抱えこんでまた一瞬で戻ってきた。

「お椀形障外壁」

 3人の周りに障外壁が現れて、隙間なく覆った。

 天井で魔法円が姿を現した瞬間に爆発し、周りの空間を消し飛ばしす。

 最初に発動した防御城壁が姿を消した。

 防御城壁は、爆発の威力を下に行かせる事無く。

 爆発から3人を守りきった。

 障外壁に木屑が、当たって床に転がる。

 ミファーネが透明な障外壁ごしに、家を見上げた。

 ただ。途方に暮れる光景だけが、広がっていたのだった。

 ルリラスが泣き出す。

 本当はミファーネも泣きたかったようだが、押さえ込む。

 


 六芒星(ろくぼうせい)の魔方円が落下物で傷だらけになった床の上に出現した。

 所々に鋭利な木片が床から、生えていた。

 1人の女性が行き成り、現れる。

「永続灯火」

 光に照らされたのは、颯爽(さっそう)たる麗姿(れいし)

 ファリルが、女性に駆け寄っていく。

「レサーナさ~ん」

 ファリルが、レサーナに泣きついた。

「お姉ちゃあんーー」

 ルリラスが、ミファーネに抱きつく。

 後頭部を優しく撫でながら。「大丈夫。大丈夫」としか、ミファーネには言えなかった。

「大丈夫ですか?」

 行き成り現れた1人の男性。屋根と柱が吹き飛んだ、家の中にへ不法侵入。

「お気遣いありがとうございます」

 ファリルが涙を浮かべながら呟いた。

「それは良かった。早速だが、この世界から退場して貰う」

 男が、両手に巻物を掴み広げた。

「『堅化』『流速』第4等級発動!」

 巻物に魔法円が現れ発光して消える。

 巻物を床に放り投げた。

 床板が砕ける音が耳に届く。

「おら!」

 左腰に帯剣していた剣を抜剣(ばっけん)

「くっ!」

 レサーナの反応が少し遅れた。

 男がミファーネ達の方へと向かった為だ。

「『堅化』『流速』第8。(かのと)

 家の中で風が巻き起こる。

「ファリル!」

 レサーナが叫んだ。

 男がミファーネを斬りつけようとした瞬間。

 その前にファリルが立ちはだかる。

「一石二鳥!!」

 左腕を上げて受け止めた。

 右腕で突き。

 男が、後ろに跳んだ。

 2人同時に地面を蹴った。

 ファリルが腕で剣を受け止め、突きや蹴りを出す。

 合計で数10回。両方の技がぶつかり音を立てた。

 ファリルが右回し蹴り。

 男がそれを躱して、薙ぎ払いから突きを繰り出す。

 柱が崩れ始めた。

「ここは、危険だから。ミファーネちゃんとルリラスちゃん。私のそばに来て」

 ルリラスがミファーネの服を掴んで引っ張った。

 ファリルが男の攻撃を受け止めて叫ぶ。

「レサーナさんは、私の親友。今は、その女性の言う事を聞いて!」

 薙ぎ払いがファリルに直撃。

「あがっ」

「早く!」

 体勢を立て直す為。床に足を強く打ち付けて、ファリルが叫んだ。

「『転送魔法円』刻印」

 六芒星を円で囲んでいた。

 魔法円が淡く光を発する。

 ミファーネがルリラスの右手を掴んで引っ張る。

 ミファーネとルリラスが円の中に、足を踏み入れた。

「転送魔法発動」

 3人が今にも崩れ落ちそうな家から、消えた。

「連結強化魔法。『流速』『堅化』第9。(みずのえ)

 男の姿が消える。

 左前腕で剣を受け止めたファリルが、口を開く。

「連結強化魔法。『流速』『堅化』第10。(みずのと)!」

 自己強化魔法は、具現化しない。

 そう言う定説があった。

 2人の周りに、この自己強化魔法の影響で循環している外の魔力が反応しファリルの体を漆黒の赤色に染め。

 男の体が緑色に覆われていた。

 薙ぎ払い。

 部屋に風が巻き起こった。

 それを躱したファリルが、右腕で空気を抉り取った。

 床に落ちていた木片が、舞い上がる。

 2人が動くだけで、家が揺れた。

 同時に2人がまた、床を蹴った。


 この勝負はまだ、決着が付きそうに無かったので時間を少し戻して視点を変えよう。


 彼が手を洗い、自分の部屋に入って直ぐ。

 台所に3人が転送された。

「お母さんなら直ぐに来れると思うから。椅子に座ってくれないかしら?」

 レサーナが椅子を引く。

「助けていただき。ありがとうございました」

 ミファーネがお辞儀した。

「ありがとうごじゃいました」

 続けて言ったルリラスに対して、ミファーネが指摘する。

「感謝の言葉は“ありがとうございました”」

「間違えただけだよ」

 ミファーネが椅子に腰を下ろすと、彼女の妹。

 ルリラスがミファーネに引っ付いた。

 鷹の水墨画をミファーネが、珍しそうに見つめた。

 つられて、ルリラスも見る。

 眼光鋭い鷹。その瞳には何を捉えているのだろうか。

『我が力を変換し。彼女らを支配せよ“睡魔”発動』

 数秒後には、ミファーネとルリラスが眠そうだったが何とか耐えようとしていた。

 だが、精神支配魔法に免疫がない2人は抵抗する事が出来なかった。

 床に倒れかけそうになった、2人。

 床に膝を突き安定していたルリラスを後回しにして、ミファーネを椅子から動かし。

 お姫様抱っこ。

 自分の寝室に運んでベッドに寝かせる。

 ルリラスを同じベッドに運び寝かせた。

 部屋の扉を優しく閉め、レサーナが転送魔法円を床に刻印して発動。

 レサーナがこの家から消えた。



 そのころ彼は……。

 部屋で魔力の制御をしていた。

 彼がふと気づく。

 学校の帰りにマサドリ貸本屋で借りた。


【この世界に美味しい料理を広めることにした~ジャパンアヴウィング~。

 日本の風亭と冒険者ギルドを創立したエルフの話】

 

 その本を読んでいなかったことに。

 机に置いていた並製本(なみせいぼん)を手に取り、椅子を引いて彼が座った。

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