表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
27/40

第27話 久しぶりの学校

 彼が魔力に圧力を加える。

 部屋の床に座って、魔力を制御しようとしていた。

 晩ご飯のおかずが、ハンバーグだったからか気分が良いようだ。

 素直に「美味しかった」と言ったのだった。

 人から見れば、彼は優れている。

 10歳で魔力の原理をここまで把握した者は、私が観た限り。

 クワイエット、ベルフ・クリヒヤ、ミファーネ・クリヒヤ。

 レサーナ・アスリット、レキス・アスリット。

 この5人だ。

 この中で誰が1番強いのか、それは私にも解からない。

 感情に因って能力が、増減する魔力。

 それが関わっていることで、予想をすることは神である私でも。

 難しいことだ。

 

 彼の部屋に転送魔法円が、背後で光った。

 彼女が現れる。

 レサーナ・アスリット。

 右足で彼に対して、回し蹴り。

 彼が、床を転がって躱す。

「お母さん。何をするんですか!」

「どんな状況でも。攻撃を躱しなさい」

「(まだまだレキス、あなたは弱い。このままでは……)」

 彼女が、レキスと呼んだ彼に殆んど聞こえない声量で呟いた。

「何か言いました?」

「何も。はい、右!」

 彼の右側に右足の踏み込み一回だけで、数メートル離れていた2人の距離を詰める。

 彼女が、右手で拳を握った。

 彼の右肩にジャブ。

「痛! 速……」

 2人共、腕を上げて構える。

 彼女が、(みぎ)(せい)(けん)()き。

 彼が、右回(みぎまわ)()り。

 攻撃を途中で止め、彼の後ろに回った。

 彼女が拳から力を抜いて、攻撃しようとするが動作に鋭さ。

 それが無い。

『レキスを強くする。それだけにこだわれば、魔力の魔の部分に取り付かれかねない……』

 意識が他の方に向いていた時間は、彼に振り返る時間を与えた。

 彼が左ストレートを放つ。

 彼女が右腕を左に振り、弾く。

 彼女が放った、右正拳突きのは切れも鋭さも無かった。

 彼が右足を後ろにずらして、躱す。

「今日は、この辺で良いかしら。おやすみなさいレキス」

「……おやすみなさい」

 部屋の扉。取っ手に手を掛け、扉を引いて彼女が部屋の外に出ていった。

「おっと……」

 彼が保有している魔力。

 それが騒ぎ始める。

 魔力に意識を集中させ、彼が魔力を少しだけ押さえ込んだ。

「ラナカトーサ護身術か……」

 木造の部屋は、立冬(りっとう)が過ぎ寒くなり始めた外とは違い、快適であった。

 彼は部屋の床に座り。

 眠る直前まで、魔力に意識を傾け続けたのだった。



 

 彼のベッドを照らしていたのは、ガラス窓に掛けられた薄白いカーテン越しに入ってくる。

 日光。その明かりは彼に、暖を与えていた。

 目蓋を開き、背中を起こした彼が一言。

「朝か」

 ベッドから出て、床に降り立った彼が仕度(したく)を始める。



 母親に朝の挨拶をして、彼はいつもの3人と朝ご飯を食べていた。

「ごちそうさまでした」

「食器は、片付けなくて良いから。学校へ行く準備をしてきなさい」

 彼は、レサーナ・アスリットのお爺ちゃん。レヴァン・アスリットだ。

「行ってきます。お母さん、レヴァン曾お爺ちゃん」

「まだ6時半よ?」

「朝練です!」

 自分の部屋に彼が向かった。



 幻影杉街道を駆けて、引き返す。

 馬車広場を通り越し、ライツ1丁目を駆け抜けた。

 小学校の校門が、彼の目に入る。

 彼が足を踏み入れた。


 学校を入って直ぐにある、靴箱に履いてきた靴を入れて、部屋(へや)()きに履きなおして教室へと向かった。

 階段を昇る。

 彼が手に持ったタオルで、汗を拭く。

 学校に入ってから数分で、4年3組の扉を引いた。

「おはようございます」

 それに対して数人の生徒から、返事を頂けたようだ。


「おっ。レキス」

 右手を上げて、彼を呼んだ人物はルッセント・ワーク。ルックと呼ばれている。

 レキスの親友だ。

「レキスさん。おはようございます」

 彼女はレシアー・カレリス。レリスと呼ばれている。

 カレリス総合病院の院長。

 リシャナス・カレリスが、お母さんでその次女になる。

 彼女が、橙色の髪を右手で後ろ首に持っていった。

「ミファーネちゃんには、怪我が無いようです。レキスさんも大丈夫でしたか?」

「俺は、大丈夫だ。そうか……良かった」

 そのように呟いた彼が袈裟懸(けさが)けで肩に掛けていた鞄の紐を掴み。

 木製の机の鞄を置き、教科書とノート。

 タオルをしまいながら。

 最後に筆記用具を取り出して、黒板とは反対の場所に位置する。

 鞄棚(かばんだな)、彼に割り当てられた数字が刻まれた場所に鞄を収めた。


 着席。

 椅子がガタッと音を立てた。

「カン、キーン。カンカンキーン」

 チャイムが鳴るのと同時に。

 教室の中にいた生徒達が動き。全員、自分の席についた。

 彼らから見て、右側に位置する扉が水平に引かれる。

「おはようございます」

 彼女はシティア・セリール。

 そうして、いつも通りの学校生活が始まった。




「おい! レキス。レキス!」

 机をガタガタ動かされたら、彼が目を覚ましたようだ。

「やっと起きたか……。お別れの挨拶しなかっただろ?」

「あぁ……。そうだな」

 鞄棚の上に掛けてある壁時計は、5時53分を指していた。

「不味いな……」

 しばし沈黙。

「不味いのはそっちじゃねえから。シティア先生から放課後職員室に来るようにって言われていたのを忘れたのか?」

「あれ、他の生徒がいない……」

 4年3組の教室には、そうこうしている間にレキスとルック、レリスだけとなっていた。

「レキスさん。鞄です」

「早くしろレキス!」

 レリスから鞄を受け取ったレキスが、急いで教科書とノート、筆記用具を鞄に詰め込んだ。

「よし職員室に向かおう」


 教室から人が居なくなる。

「それは、俺が言う筈の!」

 ルックの大きな声が、廊下に当たり。

 教室の中まで届いたのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ